「理想の噛み合わせ」は3つの状態から成り立つengagement


良い噛み合わせとは

「理想の噛み合わせ」とは、下記の3つが全て揃った状態を指します。
・歯の上下左右が対称
・オーバージェット・オーバーバイトが2㎜~3㎜である
・上顎第一大臼歯の近心咬頭と下額第一大臼歯の近心咬頭がきちんと噛み合っている
では、この3つの理想の状態が揃うための条件を詳しく見ていきましょう。

―前歯の状態―
◇オーバージェット(overjet)
横から見たとき、中切歯の前後のずれが正常範囲内であることです。オーバージェットは、上の中切歯が下の中切歯より2〜3㎜前にあるのが正常です。「ずれていていいの?」と疑問に思われるかもしれませんが、ずれがなくぴったり合わさっていると、物を噛む時に唇を噛んでしまったり挟み込んでしまいます。

◇オーバーバイト(overbite)
垂直的なクロス(嚙み合わせの深さ)が正常範囲内であることです。オーバーバイトも、2~3㎜が正常です。このオーバーバイトが2~3㎜確保されていることで、物を噛み切ることができます。
噛み合わせの深さが全くクロスしていなければ、上下の前歯が接触しません。水平方向に2~3㎜、垂直方向にも2~3㎜ずれていて、初めて正常に物を噛むことができるのです。

※開咬(オープンバイト)
奥歯は嚙み合っているのに、上下の前歯が開いてしまっている状態のことです。
オーバーバイトのずれがゼロ以下(マイナス)になるのが、オープンバイトです。常に前歯が開いていて、舌が見える状態です

―奥歯の状態―
◇1級関係
上顎の第一大臼歯(前歯から6番目の歯)の頬側にある近心咬頭(歯冠の尖っている部分)が、下顎の中心溝ときちんと噛み合っている、というのが正しい噛み合わせです。
前後・上下の関係とともに、左右のバランスも重要です。上下の歯の中心部が一致していないと、第一大臼歯の位置関係もずれてきます。

良くない噛み合わせ「過蓋咬合」の原因と治療法

◇過蓋咬合とは
良くない噛み合わせの代表が「過蓋咬合」です。
過蓋咬合とは、前歯の噛み合わせが深く被りすぎている状態です。正常な噛み合わせの場合、物を噛んだときに下の前歯が3~4㎜見えますが、過蓋咬合だと下の前歯が2㎜くらいしか見えない、または全く見えない状態になります。
過蓋咬合が引き起こしやすい症状としては、口呼吸、笑ったときに歯茎が目立つ(ガミ―スマイル)などがあります。

◇過蓋咬合になる原因
過蓋咬合になる原因は、「上顎が大きくて下顎が小さい」など、9割が遺伝によるものが多いですが、後天的な要因もあります。

ひとつは、奥歯の状態が良くないことです。
奥歯は、噛み合うことで前歯の噛み合わせを調整するストッパーの役割をしています。しかし、この奥歯がひねった状態で生えていたり、虫歯などで一部が失われていたり、高さが低い場合、うまく噛み合わせることができません。奥歯がストッパーにならないため、前歯の噛み合わせが深く入り込み過ぎてしまうのです。

また、乳歯の早期脱落により6番の歯が前にずれて生えてくることも原因のひとつです。
歯科では片側5本ずつ生える乳歯を前側から順に、「ABCDE」と呼びます。
通常はE(最も奥に生えている乳歯)のさらに奥、乳歯が生えていない部分に、最初の永久歯が生えてきます。ところが、Eの乳歯が虫歯などで早めに抜けてしまうと、空いているスペースに最初の永久歯が1~2㎜ずれて生えてきてしまうのです。その後に生えてくる永久歯も、重なったり押し出されることで、歯並びが悪くなってしまいます。これは叢生(八重歯、出っ歯、受け口)などの原因にもなります。

ほかにも、日常的な習慣からくる、下記のような要因もあります。
・子供の頃にいつも同じ方向に頬杖をついていた
・左右均等に寝返りをせずいつも同じ向きに寝ていた
・指しゃぶりの癖が抜けない

指しゃぶりは、オープンバイトになりやすい典型的な癖のひとつでもあります。
また、大人になってからも注意が必要です。前途したとおり、虫歯や歯周病で歯が失われると、隣の歯がスペースのある方向へ倒れ込んで歯列が乱れてしまいます。
過蓋咬合を予防するためにも、歯を抜いた後は放置せず、ブリッジやインプラント、人工歯根などを早急に入れることをおすすめします。

◇過蓋咬合の矯正治療の流れ
第一小臼歯(前から4番目の歯)を抜いて、上の前歯6本を内側に引っ込め、上に持ち上げます。この処置により、前歯の噛み合わせが浅くなり、正しい位置にすることができます。

矯正器具をつけるのが難しいほど噛み合わせが乱れている場合には、一般的に「バイトプレート」というマウスピース矯正をします。それからワイヤー矯正に移行する場合もあります。
ただし当院では、ほとんどの場合、初めからワイヤー矯正での治療が可能です。
過蓋咬合がひどくなってしまうと、上顎を切断して引っ込めるという外科手術が必要になるケースもあるため、早めの治療をおすすめします。

歯科治療と関係の深い「顎関節症」

顎関節症の定義は、「開口障害」「クリック音」「関節の痛み」の3つが揃った状態です。この3つの症状は、まとめて起こることが多いです。

開口障害は、文字通り口がうまく開かない状態です。手の、中指と人差し指の2本をくっつけたとき、その2本の指の幅よりも開かない状態を、開口障害と呼びます。
クリック音(顎がカクカクする感覚)と関節の痛みは、「関節円板」がずれることが原因で起こります。上顎骨と下顎骨がぶつかるショックをやわらげるために、クッションの役割をする軟骨が「関節円板」です。この関節円板がずれてしまうと、ぶつかるショックを緩 和しきれず、クリック音や関節の痛みが発生します。
大きなあくびをしたときに、カクッと音がする程度なら、顎関節症ではありませんので、ご安心ください。

◇顎関節症の原因
顎関節症の原因として圧倒的に多いのは、寝ている間の「くいしばり」です。
歯をくいしばっている状態は、腕にたとえると「カバンを持ちっぱなしで筋肉がずっと収縮している状態」です。この状態では腕がだるくなり、筋肉痛になります。顎もこれと一緒で、寝ている間ずっとくいしばっていると、顎が数時間もずっと緊張していることになります。
唇を閉じているだけなら良いのですが、歯が接触してくいしばっている状態は良くありません。
歯ぎしりも同様に、顎関節症の原因となることがあります。

睡眠中のくいしばりの原因には、ストレスが多いといわれます。顎関節症を根本的に改善するには、ストレスのない生活を送るのが一番ですが、そうは言ってもなかなか難しいものです。
せめてストレスを溜め込まないように上手に発散したり、夜寝る前にはリラックスできる環境を整えることが、顎関節症の予防にも繋がります。

また、噛み合わせが原因で顎関節症になる場合もあります。
例えば、「左右アンバランスになっている」、「噛めていない歯がある」、「一部だけ強くぶつかっている」というケースです。こうしたケースでは、まず歯の治療をする必要があります。
噛み合わせを治療したうえで、それでも顎関節症が改善されない場合は、マウスピースなどの治療に入っていきます。

◇顎関節症の治療法
■マウスピース治療
顎関節症の治療法として最もよく用いられるものは、「ナイトガード」というマウスピースです。
厚さ3㎜くらいのゴムで出来たマウスピースを、上顎側に装着します。
マウスピースがあることで、くいしばりが起きても、筋肉の収縮を物理的に抑えることができます。筋肉を緩めて、休ませてあげることが可能になるのです。
マウスピースは、きちんと装着すれば物理的に筋肉を伸ばすことができるため、劇的な効果が見込めます。しかし、だいたいの方が違和感をもつため、寝ている間に無意識に外してしまわないよう注意が必要です。
また、マウスピース治療には保険適用が認められているため、数千円で治療が可能です。

■ボトックス治療
当院では、ボトックス治療も取り入れています。
ボトックスという言葉は、美容整形などで耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
筋肉を麻痺させるボツリヌス菌を、眉間や顎に注入します。筋肉が少し麻痺するため、くいしばりで緊張することがなくなるのです。麻痺と言っても、噛む少し力が弱くなる程度で、通常の食事などには支障ありません。
ボトックス治療は、マウスピースほど急激な効果は見込めませんが、ストレスフリーであるという強みがあります。ただし、下記のような注意点もあります。
・ボツリヌス菌はもともと猛毒なので、きちんと同意書を取り交わし、制約も設けられます。
・妊婦の方にはお使いいただけません。
・ボトックスを打ってから3カ月間は妊娠してはいけません。
・保険が適用されません。1回16,000円×3回で、48,000円ほど費用がかかります。当院では、セット料金として40,000円で行っています。

マウスピース治療とボトックス治療には、それぞれ向き不向きがあります。
どちらの方法で進めていくかは、費用面も含め、お気軽にご相談ください。

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