前歯だけの部分矯正で治せる5つの症状partial correction

歯列矯正とは

見た目の印象を大きく左右する歯並びについて、悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。特に、前歯にある隙間や、でこぼこなど歯並びが悪いと気になるものです。

一般的に、歯列矯正は10~16歳くらいの時期にすると、より効果があるといわれていますが、大人になってから歯列矯正をする方もたくさんいらっしゃいます。実際、歯並びの重要性と必要性を認識し、大人になってから歯列矯正を始める方が多いです。

その一方で、歯列矯正は高価なイメージがあり、なかなか踏み出せないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、安価かつ短期間で歯を矯正できる方法もあります。

歯列矯正には様々な種類がありますが、大きく分けると「全体矯正」と「部分矯正」に分けることができます。

―全体矯正―
全体に装置をつける必要がありますが、力を支える固定源が得られやすいため、歯並びの調整をしやすいのが特徴です。個人差もありますが、おおよそ1年~3年で矯正することができます。

全体矯正の費用は70~120万円です。

―部分矯正―
一方、部分矯正は装置を付ける本数が少ないため、全体矯正に比べると違和感が少ないのが特徴です。おおよそ3ヵ月~10ヵ月と、全体矯正に比べると短期間で矯正することができます。

費用は15~45万円と、全体矯正に比べてかなり安価なことも部分矯正の特徴です。部分矯正は、全体矯正に比べて短期間で安価なことから「プチ矯正」ともいわれています。

ご自身の気になるところを矯正することができるため、女性に特に人気があります。中でも、入学、就職、結婚といった人生の節目で歯を矯正する方が多いです。

前歯だけの部分矯正で治せる5つの症状

―軽度乱杭歯―
乱杭歯とは、歯がずれて生えていたり、隣の歯と重なることで曲がってしまったり、歯並びがでこぼこしている状態のことです。乱杭歯は叢生の一種で、ガチャ歯、八重歯とも呼ばれ、歯並びが良くない状態のことをいいます。乱杭歯の場合、開咬や反対咬合、過蓋咬合など、他の症状を伴うケースが多く見られます。

乱杭歯が起こってしまう原因は、顎に比べて歯が大きく、歯が収まるスペースが足りないためです。顎が小さかったり、歯が大きかったり、歯と顎のバランスが悪いと、歯列から歯が飛び出してしまいます。そのため、笑った時に犬歯が見えたり、歯の間に食べ物のカスが残りやすくなります。また、歯と顎のバランスが大きく崩れているほど症状は顕著で、虫歯や歯周炎、さらには歯周病を引き起こしてしまうこともあります。

  • 治療前before

    治療前治療前

    上・下顎、6前歯の乱杭歯が気になるとのこと。

  • 治療中progress

    治療中治療中

    上・下顎6前歯舌側に装置を接着。歯と歯の間を少しずつ削合(ディスキング)しながら、歯の回転を修正。

  • 治療後after

    治療後治療後

    約4ヶ月で整列し、保定へ移行。

―軽度出っ歯―
出っ歯とは、一般的に、前歯が前方に向かって生えている状態のことです。口を閉じていても前歯の一部が見えたり、笑った時に歯と歯茎が極端に見えてしまいます。また、出っ歯により、咬合機能に問題が起こる状態を「上顎前突症」といいます。

出っ歯には3つのタイプがあります。1つは上顎の骨が大きすぎるタイプ、もう1つは下顎の骨が小さすぎるタイプ、そして顎のバランスには問題はなく、前歯が飛び出しているタイプです。

出っ歯の原因には、遺伝による先天的なものと後天的なものがあります。

先天的な出っ歯は、顎の骨の形や大きさはもちろん、歯列の形や歯の大きさが遺伝子によって既に決定されています。しかし、これらは育った環境によって柔軟に変化するものなので、多くの場合は矯正で改善することができます。

一方、後天的な出っ歯は、主に幼少期の癖や生活習慣によるものです。出っ歯の原因となる代表的な癖としては、下記のものが挙げられます。

・指しゃぶりや舌で前歯を押す

・舌や下唇を前歯で噛む

・爪を噛む

・口呼吸

これらの行為は、前歯を前に押し出す作用があるため、たとえ強い力を加えていなくても、継続的に行っていると出っ歯の原因につながる可能性があります。

また、普段から口が半開きになってしまっている方は要注意です。口を半開きの状態にしてしまうと、口の周囲の筋肉から前歯へ力が加わりにくくなるため、前歯が前に出やすくなってしまいます。

  • 治療前before

    治療前治療前治療前

    上顎前歯の出っ歯感と下顎の乱杭歯が気になるとのこと。

  • 治療中progress

    治療中治療中

    上顎舌側、下顎表側セラミックの装置を接着。歯と歯の間を少しずつ削合(ディスキング)しながら、出っ歯にならないよう注意して整列。

  • 治療後after

    治療後治療後治療後

    約6ヶ月で上・下共に改善し、保定へ移行。

―軽度反対咬合―
反対咬合は「受け口」とも呼ばれ、下の歯が上の歯よりも前に出てしまい、噛み合わせが悪い状態のことをいいます。

出っ歯と同様、遺伝による先天的なものと後天的なものがありますが、出っ歯に比べると遺伝による先天的要素が強い症状です。具体的には、歯の位置や傾き、顎のバランスの悪さによって起こるものと、噛み癖によって起こるものに分けられます。また、幼少期に上顎が良好に発育できなかった場合や歯の生え変わりが正常にできなかった場合、鼻の病気などでも起こり得ます。

反対咬合の場合、噛み合わせが逆になっているため、前歯で食べ物を噛み切ることができません。また、奥歯でよく噛むこともできず、上顎と舌で食べ物をつぶしたり、丸飲みしたりする癖がつきやすいため、咀嚼障害はもちろん、胃腸障害を引き起こす可能性もあります。中には奥歯だけ噛み合っている方もいますが、その場合、噛み合っている奥歯のみを酷使するため、奥歯だけがどんどん擦り減ってしまいます。そのため、残された前歯が早くからダメージを受けるだけでなく、歳をとるにつれて顎関節にも負担がかかり始めます。さらには、顎がしゃくれてしまうなどの顔の変形や、発音がうまくできないといった機能障害が出てしまう可能性が高くなります。

  • 治療前before

    治療前治療前治療前

    上顎の真ん中から2番目の歯の反対咬合が気になるとのこと。

  • 治療中progress

    治療中治療中

    上・下顎8本ずつの舌側に装置を接着。歯と歯の間を少しずつ削合(ディスキング)しながら、出っ歯にならないよう注意して整列。

  • 治療後after

    治療後治療後治療後

    約8ヶ月で整列し、左側2番目の歯の反対咬合も改善。

―すきっ歯―
すきっ歯とは、歯と歯の間に隙間が空いている状態のことで、「空隙歯列」といいます。

生まれつき歯が小さい場合や、生えてくる予定だった歯が生えてこなかった場合になりやすい傾向があります。また、すきっ歯は歯の大きさや本数だけでなく、下記のような生活習慣からも引き起こされる可能性があります。

・頬杖をつく
奥歯の噛み合わせがずれやすくなることから、すきっ歯になりやすいといわれています。

・就寝時にいつも同じ姿勢で寝る
本来、人の骨格は仰向けで寝るように形成されています。そのため、小さい頃からうつ伏せや横向きで寝る癖があると、顎の骨や歯列が歪みやすくなるのです。

・普段から舌を前歯の裏側に押し付ける癖がある
前歯が開いてしまう可能性があるので注意が必要です。

  • 治療前before

    治療前治療前

    上顎中切歯間のスペースが気になるとのこと。

  • 治療中progress

    治療中

    上顎6前歯舌側に装置を接着。裏側に装置を付けると下顎前歯がぶつかってしまうので、奥歯に白いプラスチック(レジン)を一時的に盛り上げて咬み合わせを浮かせておき、治療後除去。

  • 治療後after

    治療後治療後

    約2ヶ月で閉じ保定へ移行。

―開咬(オープンバイト)―
開咬とは、奥歯しかきちんと噛み合っておらず、上の歯と下の歯の間に隙間ができている状態のことをいいます。開咬は前歯が常に開いているため、前歯で食べ物を噛むことができなかったり、喋る時に息が漏れるなどといった症状が起こります。

開咬になる原因としては、遺伝による先天的なものと後天的なもの、さらに呼吸器系の疾患の3つが挙げられます。先天的な原因で開咬になっている方は、非常に特徴的な顎の形をしている場合が多いです。特に、顎の骨が下に向かって成長してしまう場合に、開咬の症状が現れやすくなります。

また、後天的な原因としては、幼少期に哺乳瓶を長時間咥えたままにさせたり、おしゃぶりを日常的に使用する癖が挙げられます。

呼吸器系の疾患の例としては、鼻炎や蓄膿症により鼻が常に詰まっていると、口呼吸する癖がついてしまいます。口呼吸は、口周りの筋肉のバランスを崩したり、舌の位置にずれを生じさせてしまうことから、開咬になりやすくなるため注意が必要です。

  • 治療前before

    治療中治療中治療中

    上下の開口が気になるとのこと。上下顎8本ずつの歯の裏側に装置を接着。歯と歯の間を少しずつ削合(ディスキング)して、出っ歯にならないように配慮しながら整列。

  • 治療後after

    治療後治療後治療後

    上下顎の乱杭歯と、オープンバイトが改善。

部分矯正の方法

部分矯正に使用する装置はいくつかあり、使う装置によって費用も変動します。装置の種類は、ブラケットとマウスピースがあります。矯正の装置は歯の表側に付けるのが一般的ですが、矯正中の見た目が気になる方などは歯の裏側に付けられるものもあり、当院では裏側矯正をおすすめしています。

―ブラケットによる部分矯正―
ブラケットとは、ワイヤーで歯を固定する矯正装置のことです。金属製の留め具をブラケットといい、矯正したい歯の表面に付けて、歯並びを調整していきます。前歯の歯並びをしっかり治したい方におすすめです。

全体矯正の場合は約24個のブラケットを装着しますが、部分矯正では平均して6~10個のブラケットを装着して治療します。歯並びの程度によっては、歯を削ってスペースを作る必要があります。また、ブラケットを内側に付けて矯正することもできます。

ブラケットによる治療が終わると、ワイヤーの代わりにリテーナーという保定装置を装着します。この装置を付けることで、ブラケットで矯正した歯が元の位置に戻る(後戻り)のを防ぎます。

ブラケット矯正による治療期間は、おおよそ3~10ヵ月です。

―マウスピースによる部分矯正―
マウスピースは、すきっ歯や歯並びのずれが軽度の方におすすめの装置です。マウスピースで矯正をする場合、はじめに矯正後の歯並びをシミュレートし、それに合わせてソフトタイプとハードタイプのマウスピースをいくつか作ります。そして、作製したマウスピースをステップごとに使い分けて歯列を矯正していきます。2週間ごとに噛み合わせの状態を確認し、必要に応じて新しいマウスピースを作ります。

マウスピースでの矯正は、成人の方や金属アレルギーのある方に適した矯正方法です。例えば、スポーツをしている方、金属アレルギーの方、金管楽器を演奏している方はマウスピースでの矯正が向いています。というのも、ブラケットは金属で凹凸があるため、外から力が加わってしまうと予定通りに歯を動かすことができなかったり、口の中を切ってしまう可能性があります。その点、マウスピースであれば凹凸がないため、外からの力に受ける影響は少なく、口の中を切ってしまう心配もありません。

また、マウスピースでの矯正はご自身で取り外しが自由にできるため、装着時間によって効果が変わります。しっかりと矯正するのであれば、1日20時間以上は装着しておく必要があります。1日20時間以上マウスピースを装着していた場合の治療期間は、おおよそ半年~1年です。

前歯の部分矯正のメリット

前歯の部分矯正は、全体矯正と違い、矯正用の装置を全ての歯に付ける必要がありません。そのため歯磨きがしやすく、矯正中でも虫歯や歯周炎を防ぎやすいというメリットがあります。また、ご自身の気になるところだけを矯正することができるため、全体矯正に比べて大幅に費用を抑えることができます。

前歯の部分矯正の治療期間は、どの矯正装置でも1年以内に治療を終わらせることが可能です。そのため、仕事が忙しいなどの理由で治療時間を確保できない方や、結婚式に間に合わせたいといった方におすすめです。特に、乱杭歯や叢生(八重歯)、出っ歯、すきっ歯、開咬(オープンバイト)、反対咬合などの症状がある方には、前歯の部分矯正が効果的です。その他にも、前歯の部分矯正の場合、期間や費用だけでなく、矯正中の痛みや噛み合わせの変化による違和感が少ない点も魅力です。

前歯の部分矯正のデメリット

前歯の部分矯正は、全体矯正に比べて短期間で安価なことから手軽にできますが、歯の一部しか動かさないため、全体の噛み合わせは調整できません。

そのため、前歯以外の噛み合わせに問題のない方が対象の矯正方法になります。また、前歯の部分矯正は、歯や歯のエナメル質を削る量が多くなることがあります。歯のエナメル質がなくなってしまうと、冷たい食べ物や飲み物がしみやすくなります。その他にも、矯正後の仕上がりが全体矯正より劣る場合や、妥協しなければならない点が発生する場合もあります。

まとめ

矯正は、「治療期間が長い」「矯正中の痛みや違和感が気になる」というイメージをお持ちの方も多いかもしれません。しかし、部分矯正であれば期間はもちろん、矯正中の負担や費用を最小限に抑えることができます。

また、部分矯正をすると外見的な美しさを得られるだけでなく、歯周病などの口腔内のトラブルの予防や、顎への負担の軽減も期待できます。

歯をきれいに永く使うためにも、前歯の部分矯正をご検討ください。

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