インプラントに寿命がきたらどうする?再治療にかかる費用を解説!
インプラントとは、歯を失った際に施す歯科治療のひとつで、天然歯と見分けがつかないほど自然な見た目を持ち、しっかり噛めるのがメリットです。
入れ歯やブリッジに比べて「インプラントは長持ちしやすい」といわれることも多いですが、実際の寿命はどのくらいかご存じでしょうか?
また、インプラントが寿命を迎えたときに再び治療する場合の費用も、気になるポイントのひとつでしょう。
今回のコラムでは、インプラントにまつわる「寿命」「再治療が必要なケース」「再治療にかかる費用」「長く保つために必要なこと」をそれぞれ徹底的に解説します。
インプラント治療を受けられた方をはじめ、治療を検討中の方も、ぜひ参考にしてください。
インプラントの寿命はどれくらい?
インプラントは寿命が長いことから、永久歯に続く「第3の歯」と呼ばれることがあります。
一般的にインプラントの寿命は10~15年とされており、適切なケア・メンテナンスを施していれば、20年以上使用できることもあります。
一方で、歯を補う方法のひとつである入れ歯は4~5年、ブリッジは7~8年で使えなくなることが多いため、寿命の面ではインプラントが最も長いといえるでしょう。
インプラントの再治療が必要なケースは?
長く使い続けることが叶うインプラントですが、寿命がきたり問題が起こった場合には再び治療する必要があります。
この項目では、インプラント治療をやり直すケースについて説明します。
①インプラント周囲炎が生じた場合
インプラント周囲炎は「インプラントの歯周病」とも呼ばれており、インプラントとその周囲の骨組織に炎症が起きる病気です。
炎症が進むと、インプラントを除去する治療やインプラントが脱落する可能性があります。
炎症の進行具合によっては、骨を再生する手術が必要になったり、再治療が困難になったりすることもあるでしょう。
②人工歯にトラブルが起きた場合
インプラントがしっかり固定されていないことや、口腔内環境・噛み合わせが原因で人工歯が外れたり、人工歯とインプラントをつなぐ部品がゆるんだりすることがあります。
その際は、インプラント治療をやり直す必要があるでしょう。
③金属アレルギーを発症した場合
インプラント治療では、インプラント体にはアレルギーがでにくく体に馴染みやすいとされるチタンを使用しています。しかし、100%チタンというわけではなく、ほかの金属材料も使用されています。
そのため、治療時点で金属アレルギーがない方でも、長期間、金属に触れいていることで発症する可能性があります。
万が一、金属アレルギーになってしまった場合、原因となるものを取り除く必要があり、アレルギーに配慮した素材・方法で再び治療を行います。チタンアレルギーだった場合は、再度インプラント治療をすることは難しいでしょう。
④手術後に痛みや腫れが続いた場合
インプラントの外科手術後に、一定期間、痛みを感じることがあるでしょう。
多くの場合、1週間程度で症状はおさまりますが、2~3週間経ってもしびれや腫れ、痛みが続くのであれば、なにかトラブルが発生している可能性があります。
このような場合も、治療のやり直しが必要になるでしょう。
インプラントがぐらぐらと揺れる、痛みがあるといった症状を放置すると、歯並びや噛み合わせが崩れたり、ほかの健康な歯やあごの骨にダメージを与え、頭痛や顎関節症を引き起こしたりする可能性もあります。
さらに、全身の骨格にも影響を及ぼし、肩こり・腰痛が生じることもあります。
インプラントに違和感があるときは、歯科医院に速やかに相談しましょう。
それでは、インプラントの再治療にかかる費用はどのくらいなのでしょうか?
次項でくわしく見ていきましょう。
インプラントの再治療にかかる費用は?
ここでは、インプラントの再治療にかかる費用について解説します。
インプラントが再治療になる原因として、
- インプラント周囲炎
- インプラント体の破損
- 金属アレルギー
などがあげられ、これらの場合はインプラントを取り除く必要があります。
除去したあと、あごの骨の状態によっては骨を補う手術を行うこともあります。
また、
- インプラントの部品の調整
- 人工歯の作り替え
- 噛み合わせの調整
といった場合は、インプラントを除去することなく対処できる可能性が高い傾向にあります。
状況によりかかる費用が異なり、安価で済むケースもあれば、最初にインプラント治療を行ったときと同等の金額、もしくはそれより高額になる可能性もあるでしょう。
ですが、インプラントには「メーカー保証制度」があります。
保証制度とは、インプラントが脱落・破損した場合に、保証期間内であれば無料、もしくは低価格で再治療できる制度のことです。
メーカーによって保証内容は異なりますが、5~10年ほどの保証期間が設けられていることが多いでしょう。
また、人工歯は〇年・インプラントは〇年と部品ごとに異なる保証期間を設定している場合もあります。
ただし、保証期間内に無料で治療を受けるには「定期的なメンテナンスを受けている」などの条件がある場合がほとんどです。
インプラントに問題が起こった際に慌てないように、保証内容や条件をしっかり確認しておきましょう。
インプラントを長く保つために必要なことは?
最後に、インプラントを長く使い続けるために必要なことを4つお伝えします。
①セルフケアを丁寧に行う
インプラントは人工歯と比べ、パーツの細かい部分に汚れが付着しやすい傾向にあることから、日々のケアがとても重要です。
お口の中を清潔に保つことで、インプラント周囲炎などのトラブルを未然に防ぐことが可能です。
毎日のブラッシングでは、歯ブラシの角度や正しい磨き方を意識しましょう。
とくに歯と歯の間は汚れがたまりやすいため、デンタルフロスや歯間ブラシを用いることをおすすめしています。
②歯科医院で定期的なメンテナンスを受ける
お口の中の健康を維持するためには、歯科医院での定期的なメンテナンスが欠かせません。
メンテナンスを受ける回数は一般的に、はじめの1年間は3ヶ月ごと、そのあとは年2回以上が推奨されています。
定期メンテナンスでは、専門医によるクリーニングをはじめ、インプラントの検査、状態により噛み合わせの調整などが行われます。
インプラントの不具合も早期発見し対処できるので、インプラントを長持ちさせることができるといえるでしょう。
③生活習慣を改める
インプラントの状態と健康状態は深く関係しています。
例えば、たばこを吸う方は、歯ぐきの血流が悪くなることから、インプラント周囲炎になりやすかったり、インプラントと骨が結合しなかったりといった問題が発生するリスクが高いといわれています。
また、糖尿病などの全身疾患もインプラント周囲炎になってしまう原因のひとつです。
インプラント治療を受ける前や治療後は、禁煙を行うなど健康的な生活習慣を意識しましょう。
④歯ぎしり・食いしばりを改善する
インプラントは人工物のため、歯ぎしりや食いしばりによる負荷を大きく受けてしまいます。
その癖の結果、インプラントが破損したり、脱落したりするおそれがあります。
歯ぎしりや食いしばりはご自身の力だけで取り除くことが難しいため、歯科医師に相談してマウスピースを装着するなど、インプラントへの負担を軽減するようにしましょう。
まとめ
今回のコラムでは、インプラントにまつわる「寿命」「再治療が必要なケース」「再治療にかかる費用」「長く保つために必要なこと」を解説しました。
インプラントの寿命は、ブリッジや入れ歯に比べて長持ちしやすいといわれています。
ただし、長く使い続けるためには定期的なメンテナンスやセルフケアがとても重要です。
またインプラントに不具合が生じた場合でも、インプラントの保証制度により低価格で再治療が可能な場合があります。
ただし、定期的なメンテナンスなどを怠った場合、保証制度が適用されないこともあるので、事前に条件・保証内容を確認しておくことが大切です。
インプラントを長く使い続けるためにも、定期メンテナンスやセルフケアを欠かさないこと、違和感が出たときは早急に歯科医師に相談することを徹底しましょう。