歯科用語あれこれ

受け口

受け口とは、上顎と下顎の嚙み合わせが「反対咬合」になっていることを言います。通常であれば上の歯が下の歯より前に出るものなのですが、この噛み合わせが反対になり、下の歯が上の歯より前に出る噛み合わせのことを指します。 反対咬合を放置すると、顎の成長に影響が出てしまうことがあります。顎の成長について、スキャモンの発育曲線というものがあります。 スキャモンの発育曲線上では、上顎は脳みその近くに位置しているため、脳みそや頭蓋骨の発育曲線に近い成長をします。つまり、上顎は「神経系型」の発育パターンをとります。

脳みそや頭蓋骨は6歳まで成長します。そのため、上顎も同じような成長を辿り、6歳まで成長します。 一方で下顎は、スキャモンの発育曲線上では筋肉や骨格の成長曲線に一致しています。つまり、下顎は「一般型」の発育パターンをとります。 筋骨格系は思春期に成長のスパートがあります。女の子の場合は小学校5~6年生、男の子の場合は中学1~2年生くらいです。この時期にすでに反対咬合になっており、上顎より下顎が前に出ていると、下顎がどんどん成長してしまいます。

反対咬合とは、9割が遺伝です。遺伝以外の要因としては、「乳歯が早く抜けてしまうことで、最初に生えてくる永久歯の位置が少し前にずれてしまう」ということが挙げられます。この少しのずれが、後に生えてくる永久歯の生える場所をなくしてしまい、 ・歯が重なり合って生えてしまう「叢生」 ・受け口である「反対咬合」 などになってしまう可能性を生みます。そのため、子どもの時期は成長に合わせて治療していくことが重要です。

歯科矯正をする場合、治療に段階があります。 第一期治療は、前歯4本の永久歯が生えた状態でする治療のことを指します。前歯4本が上下生えそろっている年齢は8~10歳です。 第二期治療は、永久歯が生えそろった状態でする治療のことを指します。だいたい思春期にあたる場合が多いです。 反対咬合では、第一期治療の必要があるケースが多いです。前述の通り反対咬合を放置してしまうと、体の成長に伴い下顎がどんどん成長してしまいます。 それを防ぐため第一期治療として、前歯4本の嚙み合わせを先に改善しておきます。その後、犬歯やそれより奥の歯が生えてくる頃になったら、前歯4本を矯正していた装置を一度撤去してしまうことが多いです。

出っ歯

出っ歯とは、上顎の前歯が突出している状態のことを指し、別名「上顎前突」といいます。 上顎前突の原因は、口呼吸や指しゃぶり、舌を前に出す癖、頬杖などが挙げられます。反対咬合とは異なり、上顎前突の場合は第一期治療をせずに永久歯が生えそろうのを待つことも多いです。 後述するマルチブラケットを使用して矯正していきます。必要であれば、抜歯をすることもあります。骨格性上顎前突症の場合、原因の大半は先天的なものであると考えられます。

叢生(そうせい)

叢生とは、歯が重なり合って生えてしまうことをいいます。叢生の原因としては、顎が小さいなど、顎と歯の大きさのバランスがうまく取れないことが挙げられます。

治療方法には「連続抜去法」があります。これは叢生になりそうな場合に、乳歯の段階で犬歯を抜き、少し時間をおいてからその後ろに位置する第一乳臼歯を抜きます。 するとその後、第一乳臼歯があった場所に永久歯が生えてくるので、治療のためにそれも抜きます。 歯を人に例えるならば、6人掛けの椅子に8人が座ろうとすると窮屈で仕方ありません。叢生もこれと同じで、歯がぎゅうぎゅうになった結果、重なり合って生えてしまうのです。 しかし、8人でぎゅうぎゅうならば、事前に2人減らすことで人数は6人になります。「(第一乳臼歯があった場所に生えてくる)左右の永久歯」が、減らすべき2人にあたります。 歯の数を事前に調整することで、まるで6人掛けの椅子に6人が座れるように、重なり合わず生えてくることができます。 この処置をすることで、矯正器具を使用しなくても自然に歯が並びます。この方法は一気に行うのではなく、小さい頃から時期をみて進めていきます。

また、逆に椅子の方を拡げるという治療法もあります。6人掛けの椅子を8人掛けの椅子に拡張するのです。 これは「急速拡張装置」といい、上顎を横に広げる治療法です。上顎には真ん中に亀裂があり、左右に分かれています。その結合部分を急速拡張装置で拡張します。 上顎が広がることによりスペースが確保されるので、歯が重なり合わず綺麗に生えてくるのです。 急速拡張装置にはネジが付いており、それを1日に1/4回転させます。1/4回転させることで0.2mm拡張されます。1日に0.2mmなので、5日で1mm、30日で6mm拡張されることになります。 様子を見ながら1~3か月程度継続します。ただし、この方法は顎が完成されて真ん中の亀裂が完全に結合してしまっている成人には適用できません。 そのため、早いケースだと乳歯と永久歯が入り交じっている状態(混合歯列)の時期からスタートし、思春期頃まで治療を行います。

連続抜去法、急速拡張装置の装着、両方の説明をして、患者さまに選んでいただきます。しかしどちらを選択されたとしても、十分なスペースが確保できるという断定はできません。そのため、様子を見ながら実施していきます。

開咬

開咬とは、英語で「オープンバイト」といい、不正咬合のことを指します。 歯を噛みしめたときに、「奥歯は合っているが前歯に隙間ができてしまう」、または「前歯が合っているが奥歯が浮いてしまう」などのケースが挙げられます。これには遺伝的な要因もありますが、指しゃぶりや舌を前に出す癖が原因となる場合もあります。

第一期治療として、タングクリブという装置を使用します。これは口の中の内側に向かってトゲが出ている装置で、舌が前に出ないよう訓練するためのものです。 第二期治療としては、永久歯が生えてきてからワイヤー治療で並べます。一般に、このような方法で治療するケースが多いです。

マウスピース矯正

マウスピース矯正とは、取り外しが可能なマウスピースを装着して歯列を矯正する方法です。 治療修了までにいくつかのステップがあり、それぞれのステップ毎にマウスピースを変えて、歯を動かしていきます。 各ステップで予定通り歯が動いているのを確認したら、歯型をとり、次のステップへと進んでいきます。顎の形態が完成された大人への適用となり、基本的には1日20時間以上マウスピースを装着していただきます。

取り外しが可能なマウスピース矯正タイプに「インビザライン®」というものがあります。これは、最初の歯型の模型をコンピューター上で3D情報に置き換え、1日当たりの歯の移動量・方向を計算し、シミュレーションして歯を並べ直します。 そして最終ステップまでのマウスピースを、アメリカで一括作成し、それを順番に装着していく方法です。何度も歯型をとらなくていい、通院回数が少なくてすむなどのメリットがあります。

これら取り外しが可能なマウスピースによる矯正は、簡単に治療ができるという誤解をされがちです。 そのためか、最近では一般歯科の医師でも、インビザライン®に関して「アメリカから送られてくるマウスピースを1ヵ月に1回患者さまに渡していくだけ」という具合に、安易に考えている場合が多々見られます。

そして、患者さまの歯がスムーズに動かないと「あなたの使い方が悪いのでは」と、患者さまに責任転嫁するようなケースも見られます。 本来、マウスピース矯正に入る際には、まずきちんと歯を動かすために「歯と歯の間のスペース」が必要です。そのため、必要な分だけ歯を削る必要も出てきます。

あるいは、マウスピース矯正で歯がスムーズに動くように、歯の根っこを活性化する必要があります。活性化するには、たとえば透明のボタンとゴムを歯に装着し、事前にある程度歯の根っこを動かしておいて、それからマウスピース矯正に移行するなどの工夫が必要です。 マウスピース矯正を実施する際は、事前の十分なカウンセリングが大切です。当院では矯正のための精密検査後、患者さまの希望を伺い、治療計画についてじっくりお話していきます。

矯正治療における抜歯

矯正治療をする際に、抜歯が必要なケースがあります。これを判断するには、顎の大きさと歯の本数が対応しているかどうかを見極める必要があります。

たとえば、「顎が小さく現状の歯の本数では多い」という場合や、「著しく出っ歯や受け口の傾向があり、口元を今よりも大幅に引っ込めたい」といった場合などが挙げられます。 当院ではこのような場合、矯正を始める前に、最新のコンピューターによるシミュレーションを行います。 「抜歯をすると、この程度口元が引っ込みます」 「抜歯をしないと、歯が重なっている部分が横に膨らむ場合が多いです」 など、必ずシミュレーションをご覧になっていただいて、「この治療方法を選択すると、顔がこのように変化する」といった違いを理解していただきます。 健康な歯を抜歯することに抵抗がある方は多いものです。しかし抜歯をしないことで、患者さまが思い描いた理想とは異なる結果になってしまうこともあり、それでは元も子もありません。シミュレーションで治療後の結果を目で確認し、患者様にも理解して頂くことは非常に大切だと考えています。

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