放置厳禁!進行具合で異なる、虫歯の治療法

虫歯は進行具合「C0」で発見するのがベスト

虫歯は進行具合により、C0からC4までの5段階に区別されます。そのうちC0というのが最も軽く、Cのうしろの数字が大きくなるにつれ、進行度が上がっていきます。進行度が上がれば当然、それだけ虫歯は重症化しているということです。

C0:歯が白っぽく濁る

C0は、「脱灰」と言って、歯の表層が溶け始めた状態にあたります。虫歯の中ではもっとも軽い段階で、この時点では痛みもほとんど感じません。 痛みを感じないためかえって治療に結びつかないことが多い、という難点もあります。しかし本当は、このC0の段階で治療を開始することが理想的です。 というのも、C0の段階ではまだ歯の表面が少し溶け始めているだけなので、治療もごく軽度で済むからです。たいていの場合は、フッ素塗装のみで対応できます。歯を削る必要もありません。虫歯治療では、C0の段階で治療に結びつけられるかどうかがとても重要なのです。

でも、痛みのない段階で「虫歯がある」と自覚することはできるのでしょうか? じつは、できます。歯というのは通常ガラスのように透明なものですが、虫歯になると、まず白く濁り始めます。C0の段階でも、よく見ると少し白っぽくなっているのが分かります。普段から鏡でお口の中を観察する癖をつけると良いでしょう。

C1:歯のエナメル質がおびやかされ始める

C0の虫歯を放置してしまうと、C1と呼ばれる状態に進行します。C1では、歯の表面のエナメル質が、さらに浸食されていきます。 虫歯の中では、まだ浅い症状と言えます。痛みもあまり感じられず、治療時の麻酔も必要としないケースがほとんどです。 もっとも、見た目はC0よりもだいぶ分かりやすくなってきます。虫歯の部分が小さな茶色い穴になるため、このあたりからご自分の虫歯に気がつく方も増えます。

C1の治療では、虫歯の部分を削り取り、穴になった部分にレジンと呼ばれる合成樹脂を詰めていきます。治療中にもほとんど痛みは感じません。この段階までに治療を開始できれば、歯への負担も少なく済みます。

C2:虫歯が象牙質まで浸食し、痛み始める

C1を放置していると、虫歯はいよいよ本格的に進行してきます。C2では、エナメル質の下にある象牙質にまで虫歯が到達し、自覚症状が出てきます。 冷たいものが染み始めるのは、このあたりからです。見た目にも目立ち始めます。歯の表面のエナメル質に大な穴が空き、その下の象牙質まで侵されていくので、鏡で見てもはっきり分かる状態に変化していくのです。

C2にまで進行すると、治療も少々大変です。虫歯を削るだけでなく、今度は歯型をとって詰め物を作ることになります。この詰め物を、インレーと呼びます。 インレーの見た目は、希望する治療が保険適用かそうでないかにより異なります。保険適用なら銀色のインレーを、保険適用外(自費)であればセラミックやゴールドなどを使用します。 インレーの種類は、患者様ご自身の意思で選択が可能です。ちなみに、自費治療を選択する方は、治療跡の目立たないセラミックを希望されることがほとんどです。 費用はクリニックにより異なります。当院では、保険適用内なら2~3千円程度、保険適用外なら3万円程度が平均的な額です。

インレー(詰め物)がきちんと作られていれば、歯に違和感が出ることはありません。しかし作りが粗悪な場合違和感を感じたり、すぐに外れてしまったりといったトラブルが起きてきます。また、歯と歯の隙間が空いてスカスカになり、そこから新たな虫歯に繋がる可能性もあります。 きちんとしたクリニックであれば、噛み合わせの際に何度も確認しながら慎重に詰め物をしていきます。虫歯治療には、そのようなクリニックを選ぶことが大切です。

C3:虫歯が神経に到達!痛みが激しくなる

C3では、進行した虫歯が象牙質を越え、神経にたどり着いてしまいます。こうなると、治すには根管治療と呼ばれるものが必要です。 根管治療とは、歯の神経を根っこから取り除く治療のこと。つまり神経まで虫歯に侵されているため、根っこから取り除かざるを得ないのです。治療期間も長引いてきます。

治療では、まず麻酔をかけて、表面の柔らかい部分を削ります。それから歯の根っこにある神経を取り除いていきます。 C2の場合はインレーを穴に詰めるだけですが、C3になると「クラウン」といって歯に被せるタイプの人工物を使います。クラウンと呼ぶのは、虫歯にすっぽりと被せる形が「王冠=クラウン」そのものだからです。

C3では、表面上は小さな虫歯に見えるけれど、レントゲンで確認するとじつはかなり深いところまで進行している、といったケースも増えてきます。 また冷たいものだけでなく、熱いものも染みるようになってきます。もっと酷いと、何もしなくても痛むという場合もあります。 自分の歯を残すことはギリギリ可能ですが、治療にはかなりの痛みと長い期間を必要とすることになります。「虫歯かな」と思ったら、迷わず早めの受診がおすすめです。

C4:もはや根っこも残らない!?

C3でも重症ですが、さらに進行するとC4と呼ばれる段階を迎えます。これは虫歯の最終段階です。 C4になると、もう歯の固い部分はあまり残っていません。根っこだけが残るか残らないか、という状態になっています。こうなってしまうと、根っこから歯を抜いてしまうしかありません。

歯を抜いた後は、 ・インプラント ・ブリッジ ・入れ歯 という3つの方法のうち、いずれかを選択していただくことになります。 ちなみに、抜いた後そのまま放置してしまうと、空いた隙間に左右の歯がどんどん倒れこんできて噛み合わせが大きく崩れます。適切な治療を選び、最後まで継続しましょう。

虫歯Q&A

自然に治ることはある?C4より悪化することは?

虫歯が自然に治るということは、通常ありません。ただし、表面が少し溶けただけの「C0」の段階ならば、自然に治癒する可能性もゼロではないようです。

また、虫歯の進行具合はC4が最高で、それ以上の悪化はありません。しかし、だからといって治療をせずに放置することは決しておすすめできません。 問題は痛みだけではなく、C4で放置していると歯肉炎にもなりやすいのです。 C4では歯の根っこに膿がたまってしまうため、放っておけば膿はどんどん歯茎の中に広がっています。すると口臭にも影響が出てきます。 虫歯で口臭が強くなると言われるのは、歯肉炎と、根っこに溜まった膿が発する臭いのためです。

余談ですが、「冷たいものが染みるから、C2以上の虫歯がある」とは限りません。冷たいものが染みるときは、知覚過敏の可能性もあります。 また、「硬いものを食べると痛い」という場合、「咬合痛」という症状の可能性が高いです。これもまた、虫歯とは根本的に異なります。 このように、自己判断は危険です。気になる症状があるときは、きちんと医師の診断を仰ぎましょう。ぜひ無料相談や無料検診にお越し下さい。

虫歯の完治にかかる期間はどれくらい?

虫歯の進行具合によって、治療期間も大幅に変わります。 C0〜C1ならば、一回の通院で済むことがほとんどです。 C2ならば2回程度。一回めの治療では虫歯を除去し、歯型をとります。その歯形をもとに作られたインレーを、二回めの治療でセットし、固定します。

C3は少し時間がかかって、通院は最短でも4回ほど必要です。一回目は神経を取る治療、二回目は取った神経の跡に芯を詰める治療です。三回目でやっと歯型を取って、クラウンを作り、四回目でできあがったクラウンを歯に被せて固定し、ようやく治療が完了です。

C4の治療は、人それぞれです。虫歯の状態だけでなく、インプラント・ブリッジ・入れ歯、どんな治療法を選択するかによっても変わってきます。 C4の段階の治療でまず最初に行うのは、虫歯に完全に侵されてしまった歯を抜くことです。歯を抜いた直後の歯茎は柔らかくて弱いため、歯茎が固まるまである程度の期間、待つことになります。およそ1、2か月は必要です。その後で、選択した治療法ごとの工程を行っていきます。

虫歯の進行に年齢は関係ありません。若い方でも、C4まで虫歯が進行して自分の歯をなくしてしまうケースもあります。中には、生えたばかりの六歳臼歯(永久歯)がボロボロになっているお子さまも、時折見かけます。 まだ若いからと油断せず、歯磨きはしっかりしましょう。そして虫歯を見つけた際には、決して放置せず、一日も早く治療を行うようにしてください。

また治療後は、虫歯の再発防止のためにも、定期健診を受けることをおすすめします。

虫歯菌をお口の中で拡散しにくくする方法は?

人は3歳までに虫歯にならなければ、基本的に一生感染しないと言われます。虫歯になるには、お口の中に虫歯菌を保持していることが条件です。全く保菌していない人は、極端な話、歯を磨かなかったとしても一生虫歯になりません。

では、虫歯菌を保持していても、虫歯になりやすい人となりにくい人がいるのは何故でしょう?お口の中で虫歯菌が拡散しやすい原因があるのでしょうか?

じつは虫歯菌の拡散には、個々の体質と生活習慣が大きく関係してきます。 体質面では、唾液の分泌量が多い方が虫歯にかかりにくいと言えます。そして生活習慣面では、歯磨きがきちんとできているか否かが虫歯の拡散具合の決め手となります。 その他にも、甘いものを好んで食べる、食べてから歯みがきまでの時間が長いなど、生活習慣に関わる理由は多く挙げられます。

食べてすぐ歯を磨くのは難しいという場合は、せめて糸ようじを通しておくだけでもかなり違います。中には「TVを見ながら歯の表面をずっと磨いている」という方もいるようですが、これはあまり効果がありません。 歯の表面は、意外と虫歯になりにくいのです。最も虫歯になりやすいのは「歯と歯の間」。一日一回、糸ようじを通す習慣をつける方が、虫歯予防には効果的です。

どう選ぶ?インプラント、ブリッジ、入れ歯

C4の治療法として挙げた、インプラント、ブリッジ、入れ歯の3種類。それぞれメリットとデメリットがあります。 まずは、違いをご説明していきましょう。

「インプラント」とは、抜歯したあとにチタン製のネジを埋め込んで土台とし、その上に人工の歯を固定する方法です。抜いた歯の跡に土台を作るため、周囲の歯への負担はほとんどありません。

一方「ブリッジ」は、抜いた歯の両隣にある歯を少し削って土台を作り、二本の歯の間に橋を渡すように人工歯を渡して固定するという方法です。

インプラントの場合、周囲の歯を削る必要がないため、健康な歯に負担をかけることなく治療を完了できます。その代わり、保険外の治療となるため、費用が比較的高額です。

ブリッジの場合、保険適用ができるため、インプラントより安価な治療が可能です。ただし、周囲の健康な天然歯を傷つけること、新しく入れた人工歯からの負荷がかかることなど、周囲の歯への影響を考慮しなくてはなりません。 「入れ歯」は、治療法としては比較的手軽で、かつ安価でもあります。ただし、毎日のお手入れが大変というデメリットがあります。

どの方法を選ぶにせよ、よく考えて自分で納得することが大切です。ちなみに現在は、インプラントを選択する患者さまが増えています。

知っておきたい治療後のトラブル

虫歯の治療では、詰め物や被せ物を使用し、削った部分を補います。 この時にちょっと怖いのが、歯と歯の隙間が大きく空いてスカスカになってしまうことです。利用する医療機関によっては、運悪くこうした治療をされてしまう可能性もあります。

歯と歯の間に隙間があると、そこから食べカスが侵入します。すると虫歯が再発してしまうことがあるのです。この虫歯の再発を「二次カリエス」と言います。 二次カリエスでは歯の隣接面(隙間)が黒くなります。これは歯の表面を侵す単純な虫歯よりたちの悪いものです。隙間から入り込んだ虫歯菌は、歯の中の見えない場所までどんどん蝕んでいきます。

二次カリエスの治療には、被せ物を一度取り除くことが必要です。二次災害が起きている部分を削り、新たな歯型を作って、今度こそは被せ物がピッタリとくっつくようにします。 注意しなくてはならないのは、こういった治療→再発を繰り返してしまうと、穴がどんどん大きくなってしまうということ。例えば、最初は象牙質の部分でとどまっていた虫歯でも、二次カリエスでは神経まで到達してしまいかねません。 二次カリエスで歯を失う、なんてことのないように、歯の詰め物や被せ物をした際には、違和感のないようにしっかり確認していきましょう。

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