裏側矯正のメリットとデメリット
裏側矯正のメリットは、何と言っても「目立たない」という事が大きいです。 装置が見えませんので、矯正をはじめようとする時の敷居が低くなると思います。 成人の方というのは、基本的にお仕事しながらの矯正となるでしょうから、装置が見えては困るという方が多いと思います。 ですから、日本、韓国、ヨーロッパでは非常に需要が多くあります。けれどもアメリカ人は矯正している事を全く隠さない方が多いので、あまり裏側矯正をしたがらないです。 デメリットはコストが高いという事になると思います。
また、話す際に舌がひっかかってしまい、滑舌が悪くなる方がいらっしゃいます。 全員がそうなるわけではなく、人によってですが、上の方に矯正器具をつけた場合は滑舌に影響がある方がいらっしゃいます。 影響が出る場合は、さ行とた行の発音です。アルファベットで言うと、SとかTになります。 なお、下の前歯の裏に裏側矯正の器具をつけても発音には影響ありません。 もし滑舌に支障をきたしている場合は音読の練習をして下さいとお話しています。
また、非常に技術が難しいというのも難点です。表側と比べて非常に高度な技術を要します。 例えば、バームクーヘンを1/8くらいにカットするとします。 そうすると内径と外径は全く違います。そのイメージで、歯並びのアーチがあったとしますと、表側の歯に2つの装置をつけたその距離と、内側に2つの装置をつけたその距離は全います。 その狭い距離の中についている物をワイヤーで修正するという事は、やはり難しい技術になります。 距離が短くなればなるほど、ワイヤーのベンディング(ワイヤーを色々な形に曲げること)、その屈曲のテクニックというのが非常に要求されます。
矯正器具の主な物としては、ブラケットという歯に直接接着する四角い金具を使用します。 大半の医院では結紮(けっさつ)タイプ、縛るタイプで、ブラケットに細い糸のようなワイヤーで結紮して固定します。
しかし当院では、シャッター方式やセルフライゲーション方式と言うタイプを採用しておりまして、結紮で縛らずに固定します。 トミーのクリッピーLという装置なのですが、セルフライゲーションという独自のクリップ構造は、開閉が簡単でリンガルでの面倒な結紮を必要としません。 また、ロープロファイルというブラケットは厚みが非常に薄く、装着後の違和感を軽減いたします。 ボンディングベースは裏側形態に合わせた形状のボンディングベースを採用しており、リンガルフォッサ(窪み)の深いところに接着可能なものです。 こちらを使用することで、歯の動きを断然早くしています。縛るという事は、摩擦が生じてしまいます。でもこちらの矯正方法は全く縛っておりません。太いワイヤーとシャッターを下ろしているだけです。 溝の中を自由にワイヤーがスライドすることができるので、動きが速いです。通常の倍くらい早くなります。痛みがほぼないというわけではありませんが、ある程度痛みも軽減されます。しかしやはり噛むと痛みはあります。 シャッター方式でメジャーなのが、クリッピーLと、オームコのアリアスです。 クリッピーLの方がアリアスより少し薄く、世界最小の器具で違和感が少ないので、当院では全てクリッピーLを採用しております。 動きが速い、痛みが少ない、異物感が少ないということで、患者様にお喜びいただいております。