矯正治療中の痛みの種類と緩和方法
歯並びがあまりきれいでは無い事について悩んでいらっしゃる方は比較的多くいらっしゃると思いますが、悩んでいても様々な要因で矯正治療に踏み切れない方も多くいらっしゃるのが現実です。
矯正治療に踏み切れない大きな要因としては、治療にかかる費用面であったり矯正治療に対しての様々な不安などが考えられます。
「本当に自分の歯並びが良くなるのか」また、「治療中に痛みが伴わないか」などの様々な不安があると思います。今回は矯正治療中の痛みについてご紹介し、矯正治療を検討している方の不安を少しでも解消できるような情報をご提供します。
本当に矯正治療中に痛みは伴うのか

矯正治療で「終始痛みを全く感じなかった」と言う患者様は少なく、多くの方はどこかの段階で、何かしらの痛みを感じていらっしゃいます。 痛みが伴わない矯正治療などの不確実な情報を見ることもあるかもしれませんが、まず矯正治療の際に痛みが全く伴わないと言う認識を持つのはやめたほうが良いでしょう。
しかし治療に伴う痛みを加味しても、見た目の美しさはもちろんのこと、虫歯や歯周病のリスクを抑えるなど、矯正治療を行うことで得られるメリットは大きなものがあります。
矯正治療中に痛みは伴いますが、「どの段階で」「どのような痛みを感じ」「それに対してどのように対処していけばいいのか」を治療前にしっかりと理解しておくことで、せっかく費用をかけたにも関わらず、痛みに耐えられず治療を断念してしまう可能性を抑えることができます。
矯正治療に伴う、痛みの種類
矯正治療中の主な痛みの原因は大きく4つに分かれます。人によって痛みの感じ方は違いますが、どのような種類の痛みがあるのか把握しておくだけで、不安を大きく抑えることができます。
◇矯正によって歯が動くときの痛み

矯正器具をつけると歯には「矯正力」という力がかかります。人によって感じ方はそれぞれですがこれを「歯が引っ張られて痛い」と感じる方もいれば「歯に違和感がある」と感じる方もいるので、一概に痛みとは言い切れませんが多くの方は矯正器具をつけ始めた頃に痛みを感じやすい傾向にあるようです。
またこの痛みに関しては、歯が動き始めてからは次第に緩和していく傾向にありますので、最初の数日間を乗り切ればその後はそこまで大きく痛みを感じる事は少なくなるでしょう。
◇食事をするときの痛み

矯正器具をつけた直後や、まだ歯が動く際の痛みを感じている時期に関しては食事で物を噛む際に痛みを感じることがあります。 人によって痛みが治まるタイミングはそれぞれですが、一般的には矯正器具をつけてから2週間前後が経過するとこの痛みは緩和されあまり痛みは感じなくなります。
◇矯正器具が口内に当たる痛み

矯正器具の種類によって違いはありますが、一般の方が最もイメージしやすいブラケットと呼ばれるワイヤーを使った矯正治療を行う際などは特定の箇所に対して常にそのブラケットが当たっている状態になるため、口内炎ができることがあります。
歯の表面にブラケットを装着し矯正を行う場合は、ほっぺたに口内炎ができることが多くなりますが、ブラケットを歯の裏側に装着し矯正を行う裏側矯正の場合は、舌に口内炎ができることが多くなるでしょう。 この矯正器具が口内にあたる痛みや、口内炎の発生も、矯正治療が進み歯列が整ってくると次第に少なくなっていき気にならなくなる方が多くなります。
◇ほっぺたを噛んでしまう痛み

上記の矯正器具が口内にあたる痛みは「矯正器具と粘膜が擦れて起こる痛み」ですが、ほっぺたを噛んでしまうというのは、矯正器具に慣れていないため咀嚼する際などに単純にほっぺたを噛んでしまう痛みを指します。 この痛みに関しても、矯正器具の感覚に慣れてくると次第に少なくなってくるはずなので、あまり心配しすぎなくてもよいでしょう。
いずれにせよ矯正治療に伴う痛みに関しては「治療効果の現れ」になりますので、それぞれの痛みに対して適切な対処方法をとることで将来的には満足できる治療効果を得ることができます。
矯正による痛みへの適切な対処方法
◇矯正治療用ワックスの使用
矯正器具が口内に当たることによる痛みに対しては、歯科医師に相談することで矯正器具の周りに粘土状のワックスを塗布することができます。ワックスを塗布することにより、矯正器具と粘膜の擦れによる痛みを緩和することができるので、「器具が擦れて痛い」「口内炎ができて痛い」という方におすすめです。 この矯正治療用ワックスは飲み込んでも安全な成分でできているため、安心して利用することができます。
◇ソフトプレートの使用
歯列に合わせた形をしており柔らかい素材で作られています。はに鈍い痛みを感じる際にソフトプレートを使用すると、痛みが緩和されます。 ソフトプレートを使用する際に他に特殊な器具なども必要ないため、痛くなったときに自分のタイミングで使うことができます。また持ち運びもしやすいため、痛みが出た時にすぐに使うことが出来るのもメリットの1つです。
◇プレイスガードの使用
矯正器具には基本的に尖ったような部分はありませんが、慣れるまでは口の中を刺激してしまうことがあります。これにより口内炎などのリスクも高まります。 その際に矯正器具と粘膜との間にこのプレイスガードを多いように押し込むことで痛みを軽減させることができます。物を噛む際には外れてしまいますが、飲み込んでも体に害のあるような素材は使われていないため安心して使用できます。 もともとは骨折時の中治癒促進などの目的で主に整形外科などにおいて使用されていた器具ですが、矯正治療においても歯槽骨の代謝を高め、結構改善等の効果が認められています。
◇高周波治療
矯正治療中に痛みが出ている歯に対して高周波治療を行うことではが移動するスピードを早めたり、歯の移動による痛みを軽減する効果も期待できます。
◇痛み止めなどの薬を服用する

上記の対処方法を行っても、どうしても痛みが改善されない場合は歯科医院で処方される薬や、市販の痛み止めを飲むことによっても痛みを緩和することができます。 しかし矯正治療のメカニズムは、基本的に版の炎症によって骨の位置を改善していくものになりますので長期的な服用することであの移動の妨げになる可能性があります。
まとめ
いずれにしても矯正治療は痛みが伴うことを認識した上で治療を開始しましょう。そして、痛みが出ていると言う事は治療効果がしっかりと出ていることの表れになりますので、痛みが出たからといって不安になる必要もありません。
痛みが出た際、まずは自分でできる対処法を行い、それでも痛みがおさまらない場合はあまり舌などで治療器具をいじったりせずに、歯科医師にしっかりと相談をしましょう。 相談する際にも、どういう痛みなのかを歯科医師に伝えることで医師側も適切な処置を行うことができます。
また矯正治療中に極端な食事制限をする必要はありませんが、痛みが出やすい時期に関してはできるだけ柔らかいものなどを口にするように心がけることで痛みが出にくくすることができます。 矯正治療を行う前には、このような痛みに対しての不安だけでなく自身が考えている不安要素をしっかりと医師側に伝え、不安を解消した上で治療を開始しましょう。