今さら聞けない!マウスピースの使用方法を徹底解説
マウスピース矯正は、透明なマウスピース型装置のため目立たず、周囲の人に気づかれにくいことで、近年人気が高まっている矯正方法です。
とくに、人と会ったり話す機会が多い方、矯正をしていることを他人に気づかれたくない方、金属アレルギーがある方に需要があります。
マウスピース矯正は「患者さん自身が行う歯列矯正」とも言えますが、具体的にどのようにマウスピースを使うのかご存知でしょうか?
今回は、マウスピース矯正の使用方法について解説します。
マウスピース矯正とは
マウスピースの使用方法をお伝えする前に、簡単にマスピース矯正についてご紹介します。
マウスピース矯正は、0.5mmほどのプラスチック製の透明な装置のなため、目立ちにくく、発音にも影響が少ない矯正装置です。
また、食事や歯磨きの時に外せるため、食事のストレスがなく歯磨きがしやすいことが特徴です。
一方で、ワイヤー矯正と比べ歯に力をかけにくいため、1日の20時間以装着する必要があり、難しい歯並びだと対応できない場合があります。
また、自分でマウスピースを保管し、交換していく必要があるため、自己管理ができないとなかなか歯並びが改善しないこともあります。
マウスピースの使用方法
先程も述べましたが、マウスピースは1日20時間以上装着することが大切です。つまり、食事と歯磨きの時以外は装着していることになります。
まずは、マウスピースの着脱についてお伝えします。着脱の際は、口の中に指を入れるため、爪が長い方は歯ぐきを傷つけないように気をつけてください。
マウスピースのはめ方
必ず両手でマウスピースを持ち、奥歯からゆっくり歯に合わせて、指で押してはめます。
マウスピースを手でつけたら、シリコン製のチューブ「チューイー」を噛んでしっかりマウスピースを装着してください。チューイーは、マウスピースと歯にできる隙間を完全になくすために使用し、非常に重要なアイテムです。
チューイーを噛む順番は、前歯と奥歯どちらからでも構いませんが、前歯は特にマウスピースが浮きやすいので、前歯同士がしっかり噛むようにしましょう。
チューイーを噛んだ後に違和感や圧迫感が出ることがありますが、マウスピースがしっかり装着した証拠でもあるので、それほど心配する必要はありません。
チューイーは使用していると段々と劣化してくるので、定期的に交換しましょう。
マウスピースをはめる際、ほっぺたを巻き込みやすいので注意してください。
また、中途半端に合わせた状態で噛んではめようとすると、マウスピースが割れたり変形する可能性があるので、必ず指で押してからチューイーを噛み、しっかりはめるようにしましょう。
マウスピースの外し方
マウスピースを外す時は、左右どちらかの奥歯の内側から、ゆっくり少しずつ外します。反対側も同様に歯から外し、前歯に移動しましょう。
無理に外そうとしたり、曲げる、ねじるなど過度な力をかけると、割れたり変形の原因になるため避けてください。
また、歯の表側や前歯から外そうとすると、マウスピースの縁を傷つけたり欠ける可能性が高いため、必ず奥歯から外すようにします。
特に、初めてマウスピースを装着する場合や、新しいマウスピースに交換した場合は外しにくいので、慎重に行うようにしましょう。
マウスピースがどうしても外れない場合は、外すための補助道具「リムーバー」があるため、歯科医院にお電話いただくか、来院時に歯科医師や歯科衛生士に確認しましょう。
マウスピースのお手入れ方法
長時間はめているため、マウスピースには細菌や汚れがたくさんつきます。
水で流すだけでは細菌や汚れは取れず、菌の温床になったり臭いの原因になりますので、正しくお手入れをすることが大切です。
ここからは、お手入れ方法について紹介します。
ブラシで洗う
マウスピースを外した時またははめる前に、やわらかいブラシを使い、流水で磨いてください。
外側、内側、噛む面を、特に内側はくぼんでいるため念入りにブラシで磨いてください。磨いた後は必ず十分にすすぎましょう。
この時、ゴシゴシと力を入れて磨いたり、研磨剤が入っている歯磨き粉を使ってしまうと、マウスピースが傷つき、余計に汚れがつきやすくなります。
歯磨き粉を使う場合は、研磨剤が入っていないジェルや泡のものを使うようにし、優しく磨きましょう。
専用の洗浄剤を使う
ブラシだけではなかなかとれない汚れや臭いがついた場合は、専用の洗浄剤を使うことをおすすめします。
使っているマウスピースそれぞれに専用のものがあるため、そちらを使うことがベストですが、薬局などで買う場合は、「マウスピース専用」と書かれているものを選んでください。
よく見かける「入れ歯洗浄剤」やマウスウォッシュを使ってしまうと、マウスピースの表面が変化し、透明感が失われて見た目が悪くなる場合があります。
また、それぞれ浸け置き時間や水の温度、使用頻度など異なる場合があるため、必ず使用方法をよく読みましょう。
患者さんの中には消毒のために熱湯を使われる方もいますが、マウスピースが変形するため、熱湯は使用してはいけません。
殺菌や消毒のためにマウスウォッシュに浸け置くことも、マウスピースが劣化する可能性があるため避けましょう。
マウスピースの保管方法
基本的に装着しているマウスピースですが、食事や歯磨きの時は外します。マウスピースを外した時は、専用のケースに保管しましょう。
ケースに入れずに置いておくと、ホコリを被ってしまったり、誤って落としたり踏んで、壊してしまうことがあります。
また、ほんの少しの間だからと、ティッシュやペーパーに包んでしまうと、間違って捨ててしまうことがあるので注意しましょう。
マウスピースの種類によっては、何十枚も自分で保管する必要があります。その場合は、ケースをいくつか用意し、現在使用しているマウスピースを入れるケース、以前使っていたマウスピースを入れるケースと分けておくといいでしょう。
前のマウスピースをすぐに捨ててしまう方もいますが、できれば1つ前のものだけでも保管しておくのをおすすめします。
使用中のマウスピースを無くしたり、壊れてしまった場合、または使用状況が悪い場合は、ステップを戻して使用する場合があるためです。
また、ペットを飼っている方は、マウスピースをおもちゃにして、かじって変形させてしまう場合もあります。注意してケースに保管し、ケースごとおもちゃにされないよう届かない位置に置くようにしましょう。
マウスピースが壊れたら?
万が一、取り外しの時や使用している時にマウスピースが壊れた場合は、無理して装着せず、すぐにかかりつけの歯科医院に連絡して受診しましょう。
受診するまで日数がある場合は、歯科医師に確認の上、1つ前のマウスピースを装着するようにしましょう。
マウスピースを装着せずに過ごしてしまうと、歯が後戻りで動いてしまう可能性があります。
だからといって、自己判断で1つ先のものを使ってしまうと、マウスピースが装着できなかったり、装着できたとしても痛みが伴ってしまいます。
マウスピースが大きく壊れていなければ修理できる場合があるため、壊れたからといってすぐに捨ててはいけません。
もちろんマウスピースを再製作することになり、追加料金がかかることもありますので、かかりつけの歯科医院に、壊れた旨を伝える時に一緒に確認してみましょう。
豆知識―水分をとる時はマウスピースをはめたままでいい?
食事や歯磨き時にはマウスピースを外しますが、飲み物の時はどうでしょう?
結論から言うと、水以外の飲み物の場合は外しましょう。
マウスピースを装着したまま清涼飲料水など糖分を含んだ物を飲むと、唾液が行き渡らず虫歯になりやすくなります。
また、コーヒー、紅茶、赤ワインなど着色が強いものは、装着したまま飲んでしまうとマウスピース自体が着色してしまいます。そして、熱い飲み物の場合は、マウスピースが変形する可能性があります。
このことから、マウスピースを装着している時は水を飲むように、それ以外の物を飲む時は、マウスピースを外して飲むようにしましょう。
まとめ
今回は、矯正用マウスピースの使用方法について解説しました。意外と知らなかったことが多いのではないでしょうか?制限されることが多いと感じた方もいるでしょう。しかし、慣れたり、ルーティーン化してしまえば気にならないことがほとんどです。
また、マウスピースを使っていく中で、疑問や不安に思ったことは、歯科医院でのカウンセリングや歯科医師に直接聞いてみましょう。きっと納得して矯正治療を始められると思います。
すでにマウスピース矯正を始められていて、正しい使用方法ができていなかった方は、今からでも改善することをおすすめします。