インプラント後の腫れの原因と腫れをおさえるためにできること6選
失った歯を取り戻すことができるため、インプラント治療は近年人気が高まっています。
しかし、インプラント治療を検討する際に気になることの1つが術後の痛みや腫れでしょう。
インプラント術後の腫れは2〜3日から1週間ほど持続するのが一般的ですが、腫れをおさえるポイントがいくつかあります。
この記事では、インプラント術後の腫れや痛みを軽減するためのポイントを紹介します。
インプラントとは
インプラントとは歯を失った部分にチタン製の人工歯根を埋め込み、その上に人工の歯を被せ物として取り付ける治療方法のことです。
歯を失った際に考えられる治療方法は他にもブリッジや入れ歯がありますが、インプラントは最も天然歯に近い構造を持ち、周囲にある健康な歯に負担をかけない治療法です。
インプラント治療後の腫れと持続期間の目安
インプラント治療の流れは一般的には下記の通りです。
Step1: カウンセリング・視診・レントゲン撮影・写真分析
Step2: ドクターによる治療の種類・費用・リスク・治療計画などの説明
Step3: 虫歯や歯周病などの治療
Step4: インプラント埋め入れ手術(1回目)
Step5: 骨とインプラントの結合
Step6: インプラント2次手術
※手術を2回に分けずに1回で行うケースもある
Step7: 型取り
Step8: 人工歯のセット
Step9: メンテナンス
この流れの中で腫れを最も感じるのはインプラント埋め入れ手術後でしょう。手術後は2〜3日目をピークに1週間ほど腫れが持続します。
インプラント術後の腫れの原因
インプラントの術後の腫れはおよそ1週間で落ち着くことが多いですが、長引くこともあります。
そのような場合は下記の4つのいずれかが原因であることが多いです。
- 細菌感染による腫れ
- インプラント周囲炎による腫れ
- 手術本数の多さ
- オーバーヒートによる骨の火傷
それぞれの原因について詳しく解説します。
細菌感染による腫れ
細菌感染は歯科医院の衛生管理に問題があったり、術後の不十分なケアによって起こることが多いです。細菌感染の場合は痛み止めや抗生物質だけでは腫れを軽減させることが難しいため、腫れが長引く場合は我慢せずに歯科医院に相談しましょう。
インプラント周囲炎による腫れ
インプラント周囲炎とは、インプラント周辺組織で炎症が起こる疾患のことです。歯ぐきを縫ってある隙間から汚れが入り込みせっかく埋め込んだインプラントが骨と結合しない可能性があります。
手術本数の多さ
埋め込むインプラントの本数が1〜2本の場合は、処方された痛み止めや抗生物質を指示通りに服用することで、術後の腫れや痛みを感じることはあまりありません。
しかし、埋め込むインプラントの本数が多いと、薬で腫れや痛みを抑えきれないため腫れを感じてしまう可能性がありますが、この腫れも術後数日から1週間でおさまることが一般的です。
オーバーヒートによる骨の火傷
顎の骨にインプラントを埋め込む際には専用のドリルを使います。ドリルの扱いが不適切であると、オーバーヒートと呼ばれる顎の火傷が発生する可能性があります。オーバーヒートは腫れを長引かせる原因の1つです。
オーバーヒートを防ぐためにはインプラント手術を受ける歯科医院選びが大切です。インプラント治療の経験が豊富で実績のある歯科医院を選びましょう。
インプラント術後の腫れをおさえるためにできること
インプラントの術後の腫れは1週間程度でおさまるものの、腫れがおさまるまでは生活に支障があり、辛いと感じる人も多いかもしれません。
下記の6点を心がけて、腫れをおさえ、また腫れを長引かせないようにしましょう。
- 処方された薬を正しく服用する
- 血流が活性化するような行動は控える
- 患部に刺激を与えない
- 濡れタオルで患部を冷ます
- 固いものや刺激的なものを食べないように心がける
- 飲酒や喫煙は控える
それぞれのポイントについて説明します。
処方された薬を正しく服用する
インプラントの術後にはドクターから鎮痛剤や抗生物質が処方されます。これらをきちんと服用することで、感染症の予防、痛みや腫れの抑制につながります。ドクターの指示に従って、処方された薬、特に抗生物質はしっかり服用しましょう。
また、薬の効果が薄れてしまう可能性があるため、アルコールで服用することは避けてください。
血流が活性化するような行動は控える
血流が活性化する行動とは入浴と運動です。
運動については、ウォーキングやジョギング程度の軽い運動の場合は術後2〜3日、バスケットボールや水泳のような激しい運動は術後1週間は控えてください。
入浴については、術後は熱いお風呂への入浴は避けて、シャワー浴だけにしましょう。
入浴や運動によって血行が促進されるため、腫れが悪化または長引くことにつながる恐れがあります。
患部に刺激を与えない
インプラント術後1〜3週間ほどは、歯磨きやうがいで患部に刺激を与えないように気をつけてください。思わず腫れや痛みを感じる部位を舌で舐めたくなってしまうかもしれませんが、これも避けましょう。患部に与える刺激が多いほど、縫っている糸が解けたり、治癒に時間がかかってしまう可能性があるからです。
術後の歯磨きは歯磨き粉を使用せずに磨き、最低限のうがいの回数にとどめましょう。
術後約2週間後の抜糸の日までは、専用ブラシ以外での患部の歯磨きは避けてください。
患部を冷やすときは濡れタオルで
濡れタオルで患部を冷やすことは痛みや腫れの軽減に役立ちます。しかし、保冷剤や凍ったものは使用しないでください。血が凝固し治りが遅くなったり、腫れが長引く要因になるからです。
固いものや刺激的なものを食べないように心がける
特にインプラント術後の2〜3日は、カレーライスなどの辛くて刺激的な食べ物やお煎餅のような固い食べ物を控えるように心がけてください。
スープやゼリーなど柔らかいものを小さくして、患部の反対側の歯を使って食べましょう。
飲酒や喫煙は控える
タバコはインプラントに下記のようにさまざまな悪影響を及ぼします。
- インプラントの寿命を短くする
- インプラントの定着を妨げる
- 傷の治りを遅くする
- 感染症にかかる危険性を高める
- インプラント周囲炎にかかるリスクを高める
上記にもありますが、インプラント周囲炎はインプラント術後の腫れを長引かせる要因の1つです。インプラント術後は禁煙することをおすすめします。
そして飲酒にも気をつけてください。術後1週間はアルコールの摂取を控えましょう。アルコールによって血流が良くなり、患部の出血や腫れが起こりやすくなり、傷の治りに時間がかかってしまう可能性があるからです。
まとめ
インプラントの術後はしばらく腫れが続くことが一般的ですが、場合によっては腫れが長引くことがあります。
腫れが長引く要因はさまざまですが、下記のような点に注意したり工夫したりすることで腫れをおさえることが可能です。
- 処方された薬を正しく服用する
- 血流が活性化するような行動は控える
- 患部に刺激を与えない
- 口内環境を整える
- 濡れタオルで患部を冷ます
- 固いものや刺激的なものを食べないように心がける
- 飲酒や喫煙は控える
これらの点に気をつけながら生活をしても腫れが引かないようであれば、我慢せずに歯科医院にすぐに連絡して、診察を受けましょう。