今さら聞けない!マウスピース装置の保管とお手入れの仕方
マウスピース矯正は目立たない矯正として人気があります。現在、治療中もしくは検討中の方も多いのではないでしょうか?
マウスピースは歯磨きや食事の時は外しますが、1日20時間以上装着しているものです。お口の中に装着していることがほとんどですが、外している時のマウスピースの保管やお手入れが正しくできていないと、劣化や破損に繋がります。
そこで今回は、マウスピースの保管とお手入れの仕方について解説します。自分は正しくできていると思っている方も、再確認も含めてこのコラムをお役立てください。
マウスピースの保管方法
保管方法を間違ってしまうと変形や破損の原因に繋がります。
食事や歯磨き、予定があって一時的にマウスピースを外す時やこれから使うマウスピースの保管方法をお伝えします。
食事や歯磨きの時に外す場合
お家でも外出先でも、食事や歯磨きでマウスピースを外す場合は、専用のケースに入れて保管しましょう。少しの時間だからと言ってティッシュやペーパーなどで包んでしまうと、間違えて捨ててしまうことがあります。
また剥き出しの状態にしておくと、落とした時に破損したり、ペットにかじられるということもあります。
なお、お家にいて洗面台などに専用の置き場所がある場合は、少しの時間でしたらケースに入れずに置いておいても問題ないでしょう。
予定があって1日外す場合
基本的には装着しているマウスピースですが、どうしても1日装着できない日もあるでしょう。その場合、必ず専用のケースに入れて保管しましょう。
ケースに入れる前はマウスピースを丁寧に洗浄し、しっかり乾燥させてからにしましょう。ケース内は通気性が悪いため、水分が残ったまま保管してしまうと雑菌などが繁殖しやすくなります。
また、専用の置き場所があるからとマウスピースを剥き出しにしてしまうと、ホコリやゴミが付着して不衛生になってしまうので、長時間外す場合はケースを使用してください。
今後使うマウスピースの保管方法
マウスピース矯正の種類によっては2週間や毎月のペースで交換していきますが、すぐに使わないマウスピースの保管場所に悩む方もいるでしょう。保管場所はすぐに取り出せて忘れない場所にしてください。
保管する場所で気をつけることがあります。マウスピースはプラスチックで作られていることが多いため、熱に弱く、直射日光が当たる場所や高温になる場所、車内に保管してしまうと変形や劣化に繋がるため避けてください。なるべく冷暗所に保管して、小さいお子様やペットが届かない場所に保管するようにしましょう。
マウスピースのお手入れの仕方
マウスピースはお口の中に入れているため、細菌や汚れがつくものです。そのため、毎日きちんとお手入れをする必要があります。
マウスピースの洗い方
マウスピースの洗い方は、歯ブラシを使い流水下で軽くこすりましょう。
マウスピースは歯磨きする時に一緒に洗うとよいですが、使う歯ブラシのかたさに注意してください。かたさは「やややわらかめ〜やわらかめ」がよく、かための歯ブラシで磨いてしまうと、マウスピースに細かい傷がついてしまい、細菌や汚れが溜まりやすくなります。
また、歯磨き粉を使用するのは避けてください。歯磨き粉に含まれている研磨剤が、マウスピースを傷つけてしまうことがあります。フォーム状や研磨剤不配合の歯磨き粉でしたら使用しても問題ありません。
マウスピースは毎日のお手入れにプラスして、週に1回程、洗浄剤を使ってきれいにすることをおすすめします。
マウスピースを流水下で洗う時や洗浄液を作る時は使用する水に注意が必要です。「汚れが落ちやすいから」「消毒を兼ねて」と高温のお湯や熱湯を使われる方がいますが、変形や劣化を招きますのでやめましょう。
洗った後はしっかり乾燥させる
すぐに装着をする時は濡れたままでもよいのですが、少し経ってから装着したりケースに入れる場合は、マウスピースをしっかり乾燥させてください。マウスピースを濡れたままの状態にしておくと、細菌が繁殖しやすくなってしまいます。
ちなみに、ナイトガードという歯ぎしり・くいしばりがある方が使うマウスピース(ハードタイプ)の場合は、乾燥させないために水の中で保管してもよいといったこともあるので、取扱いについては単横歯科医師にしっかり確認しましょう。
マウスピースのお手入れをしないとどうなる?
「マウスピースは食事の時は外すからきれいなはずなのに、どうして歯ブラシで洗ったり洗浄剤を使う必要があるの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。
マウスピースを清潔にするのは、口の中が菌だらけだからです。お口の中には常時700種類ほどの菌がいて、良い菌もいれば虫歯や歯周病の菌もいます。
お口の中の菌は、もちろん装着するマウスピースにも付着します。この付着した菌がどのような影響を与えるのかみてみましょう。
黄ばみや臭いを発生させる原因になる
お手入れをきちんとしないとマウスピースに汚れや雑菌が付着したままになります。そうするとマウスピースの黄ばみを加速させたり、マウスピースが臭くなる原因となります。また、歯磨きでお口の中をきれいにしていたとしても、マウスピースに付着している汚れや雑菌がお口の中に入ってしまい、口臭の原因にもなります。
毎日きちんとお手入れをしていても、材質の関係でどうしてもマウスピースが黄色く変色する場合もあります。
歯石が付く
歯に歯石が付くように、マウスピースにも歯石は付きます。唾液の中のミネラル成分(カルシウムやリンなど)がマウスピースに付着し、歯ブラシでは取れない白い汚れの歯石が付いてしまいます。
マウスピースはプラスチックのため、細菌や汚れが付着しやすく、しっかりお手入れをする必要があります。
また歯石が付く場所によっては、わずかの歯石でもマウスピースが歯にぴったりはまらなくなくなる可能性があります。そうすると治療効果が十分に得られなくなるため注意しましょう。
カビが生える
正しいやり方でマウスピースを洗わず、保管も適正でないと、菌が繁殖して着色や臭いの原因になるとお伝えしました。それをさらに放置していると、マウスピースに黒いカビが生えることがあります。
黒いカビが生えたマウスピースは衛生面が悪いため、装着しないほうがよいでしょう。そうすると、マウスピースの再製作になり治療が中断してしまい、期間が延びてしまう可能性があります。
虫歯や歯周病になるリスクが高くなる
マウスピースに汚れや細菌が付いたままだと、お口の中に入れた時に細菌の活動が活発になり、虫歯や歯周病になりやすくなります。虫歯は歯に糖分や汚れが長時間付着し、そこに集まった細菌が酸を出すことで引き起こされます。
マウスピースは歯に密着させる矯正器具のため、お手入れしていないマウスピースを使用すると、汚れや細菌も一緒に密着させてしまいます。
ちなみに、虫歯や歯周病を発症すると、いったんマウスピースでの矯正を中断させて治療を優先させることもあるため、治療期間が長期になることがあります。
まとめ
今回はマウスピースの保管方法やお手入れについてお伝えしました。
ただ装置をつければいいという訳ではなく、保管やお手入れを間違うと治療がうまくいかなくなってしまいます。
再度守っていただきたい内容をおさらいしましょう。
- 研磨剤配合の歯磨き粉を使用して磨かない
- かたい歯ブラシや強い力でゴシゴシ磨かない
- 熱湯やお湯を使用しない
また、マウスピースによっては市販の洗浄剤を使用してしまうと、マウスピースの成分と合わず変色や変形、劣化を早めてしまうことがあります。専用の洗浄剤がある場合は専用の物を使い、市販品を使う場合は歯科医師に使用できるか確認しましょう。
保管とお手入れは毎日することなので、しっかり意識して取り組んでいきましょう。