矯正治療は途中でやめたくなったらやめてもいい?
歯並びや噛み合わせを改善するために矯正治療を始める方が多いと思います。
しかし、実際に初めてみると、想像していたより痛い、装置が邪魔など、治療を途中でやめたいと思うこともあるでしょう。
では、矯正治療を途中でやめることはできるのでしょうか?
そこで今回、矯正治療は途中でやめられるのか、やめるとどういったリスクがあるのか解説します。
矯正治療は途中でやめられる?
矯正治療を途中でやめたくなった場合、結論から言うとやめることは可能です。
矯正治療を開始すると、歯を動かすのに平均で2年ほど、歯並びの程度っが軽度の場合でも半年ほどかかり、さらにそこから歯の位置を定着させる保定期間を1年以上経て矯正治療は終了となります。
治療期間中に、痛みが辛い、装置が煩わしい、治療費の負担が予想以上、引っ越しをするため通院できなくなると理由で、治療をやめるといったことも考えられます。
矯正治療は歯科医院と患者様の双方の合意の元で成り立つため、患者様が治療をやめることを希望した場合、歯科医師が強制的に治療を継続させることはありません。
しかし矯正治療を途中でやめる場合は歯への影響やリスクが大きく、やはり始めたからには最後まで続けることが大切です。
矯正治療を途中でやめたくなる原因は?
矯正治療を途中でやめたくなる、やめざるを得ない原因は何でしょう。
ライフスタイルが変化した
矯正治療は長期間に及ぶため、治療期間中に患者様のライフスタイルが変化することは少なくありません。
お子様の場合、受験や進学、部活動などが考えられます。成人になると、転勤で通院ができなくなる、女性は妊娠・出産・子育てといったライフスタイルの変化に伴い矯正治療の優先度が下がり、矯正の途中でやめることになるケースもあります。
矯正治療に対してのストレスが強い
矯正治療を開始する前に、治療方法だけでなく痛みや違和感の対策、装置の管理方法について歯科医師からしっかり説明を受けていても、実際に矯正治療を開始すると、
・ワイヤー矯正装置の調整後やマウスピースを交換した時の痛みや違和感
・話しにくい
・ワイヤー矯正装置をつけたまま歯磨きがしにくい
・マウスピース装置の装着時間の確保が難しい
・お手入れ、自己管理が大変
といったことが大きなストレスになることがあります。
矯正治療では理想的な歯並びになるように歯を動かすため、個人差はありますが違和感や痛みが生じてしまいます。治療を開始する前に聞いてはいたものの、実際に経験することで、矯正治療を途中でやめたくなる方もいらっしゃいます。
引っ越しで通院できなくなる
矯正治療を開始してから、転勤や引っ越しに伴い、通院していた矯正歯科医院に行くことが難しくなるケースがあります。
矯正方法によっては、数ヶ月に1回のペースであれば多少遠方でもなんとか通えるという方もいるでしょう。
しかしワイヤー矯正の場合は装置の調整のために1ヶ月に1度の通院が必要です。噛み方によっては装置が外れることもありますが、遠方のためその都度通院ができず、装置が外れたまま通院をやめてしまうケースも見受けられます。
こまめな通院が難しい
矯正治療は定期的な歯並びのチェックだけでなく、定期的なクリーニングも重要です。
というのも、矯正治療中は虫歯や歯周病のリスクが高いため、お口の中の細菌数を減らして予防をすることが大切です。そのため、歯磨きがうまくできていない方は、クリーニングのために通院回数が増えることがあります。
それ以外にも「ワイヤー装置が外れた」「マウスピースが欠けた」といったトラブルがあった場合は、すぐに歯科医院に連絡し、受診する必要があるため、こまめな通院が面倒、難しいといった方は、矯正治療を途中でやめてしまうことがあります。
矯正治療を途中でやめるリスクは?
次に矯正治療を途中でやめることで、どのようなリスクがあるのか見ていきましょう。
歯並びと噛み合わせが悪化する
矯正治療は、「見た目が悪い」、「噛みにくい」といった歯並びや噛み合わせが悪いことによって起こる問題を改善する治療です。そのため、治療を途中でやめてしまうと歯が正しい位置まで動かず、歯並びや噛み合わせが悪いままになってしまいます。
特に矯正治療のために抜歯をして、空いたスペースが閉じる前に途中でやめてしまうと、両隣の歯が動いたり傾いて、治療前よりも噛み合わせが悪化するリスクがあります。
歯並びが治療前より悪くなる
矯正治療を途中でやめると、歯の位置が定着していないため、「後戻り」という元の位置に戻るリスクがあります。元々の位置にきれいに戻ればよいですが中々そうはいかず、中途半端に動いた所から後戻りをして、歯並びや噛み合わせのズレがより悪化する可能性もあります。
費用が無駄になる
矯正治療は特別な場合を除き自由診療で行われ、矯正費用の大部分は精密検査と矯正装置が占めています。
歯科医院によって異なりますが、費用を全額前払いしていたとしても患者様都合で途中でやめる場合、精密検査や矯正装置の費用は返金されないことが多いです。
治療の再開が難しい
引っ越しなどで矯正治療を一旦やめることになり、落ち着いてから新しい歯科医院で治療を再開する場合、再度、精密検査を行う必要があります。
通院していた歯科医院からの紹介状やデータがあると、ある程度治療を引き継ぐことはできます。しかし、引っ越し後の生活が落ち着くまでには一定期間かかり、データ情報と実際の口腔内の状況が違っていたり、歯科医師によって治療方針や取り扱っている器具・器材が違うため、うまく治療が再開できないこともあります。
虫歯や歯周病になりやすい
矯正治療で歯を動かしていると、歯と歯の間にスペースができます。そのスペースを埋める前に治療をやめてしまうと、物がはさまりやすく汚れが取りにくいため、虫歯や歯周病になりやすくなります。
またワイヤー矯正の場合、装置がついたままやめてしまうと、歯磨きがしにくいだけでなく装置周りに汚れが付着しやすいため、虫歯や歯周病になるリスクが高まります。
矯正治療を途中でやめないためには
矯正治療を途中でやめてしまうと、様々なリスクがあることがわかりました。では、矯正治療を途中でやめないためには、どうすればよいのでしょうか。
矯正治療を始めるタイミングを見極める
矯正治療は長期の通院が必要なため、数年先までのライフプランを考えることが大切です。
お子様は受験や進学、部活動による環境の変化、大人の場合は結婚や妊娠・出産の予定、仕事が忙しくなるか、転職や転勤があるかなど考慮し、いつ矯正治療を始めるのがよいか検討しましょう。
また、転勤の可能性があったり妊娠・出産を考えている方は、事前に歯科医師に伝えましょう。そうすることで、ライフイベントを考慮した治療計画を立てたり、矯正を開始する時期を一緒に検討することができます。
信頼できる歯科医師に治療をお願いする
矯正治療は自由診療のため費用がかかり、期間も長期にわたります。気になることや不安なことがあった際に歯科医師に質問することで解消できますが、質問するにも歯科医師と信頼関係を築けていないと難しいでしょう。
多くの矯正歯科医院は、相談やカウンセリングを無料または低価格で行っています。歯科医師の説明がわかりやすいか、丁寧に質問に答えてくれるか、雰囲気はどうかなどを確認し、ご自身の大切なお口の中を任せられるかしっかりと見極めるのが大切です。
また、歯科医院や歯科医師によって治療計画や治療方法、費用は異なるため、1箇所ではなく複数の歯科医院でカウンセリングを受け比較するのもよいでしょう。
まとめ
矯正治療を途中でやめられるのか、やめる場合のリスクなどをお伝えしました。
矯正治療は途中でやめることはできますが、リスクのほうが大きいため、余程のことでない限り最後まで続けたほうがよいでしょう。
理想の歯並びを手に入れるためには、痛みや違和感といった多少の我慢や日々の苦労も必要になります。
実際に治療を始めてみないとわからない部分もありますが、治療を始めたら想像と違ったとならないためにも、しっかり歯科医師と相談し、納得をした上で矯正治療を開始しましょう。