前歯のガタガタを短期間で治す方法はある?
ガタガタの前歯を治したいと矯正を考える方も多いと思います。では、気になる前歯の歯並びを治すには、どのような方法があるかご存知ですか?
また、できるだけ短期間で治せたら嬉しいですよね。
そこで今回は、短期間で前歯の歯並びを治す方法について解説します。
前歯がガタガタする原因
まず初めになぜ前歯がガタガタしてしまうのか、原因を見ていきましょう。
前歯は真ん中から3番目の歯まで、いわゆる犬歯から犬歯のことを指し、上下ともに6本ずつの計12本です。
この前歯がガタガタしているということは、一部の歯が重なり合って生えていたり、ねじれて生えていることが多く、これらの歯並びは「不正咬合」の中でも、「叢生(そうせい)」または「乱ぐい歯」と呼ばれています。
ガタガタした歯並びになるには、大きく分けて4つの原因があります。
・顎の大きさと歯の大きさのバランスが悪い
・生まれつき歯が多い、または少ない
・乳歯が早く抜けた
・爪や唇を噛む、舌で前歯を押すといった癖がある
これらがあることでガタガタしてしまい、半円状を描いたきれいな歯並びにならなくなってしまいます。
もし爪や唇を噛む、舌癖がある方は、歯並びをきれいに治したとしても、癖を治さない限りまたガタガタした前歯になる可能性があります。
前歯のガタガタを治す方法
前歯のガタガタを治す方法は、大きく分けて3つあります。
ワイヤー矯正
ワイヤー矯正は、歯にブラケットと呼ばれる装置を付けて、そこにワイヤーを通し、ワイヤーの力で歯を動かしていく矯正方法です。矯正装置と聞いて真っ先に思い浮かぶものがこのワイヤー矯正でしょう。
メリットは、歴史が古く最もメジャーな矯正方法であるため、治療実績が多く、ほとんどの歯並びに対応できる、細かい調整ができる、自身で取り外しをする必要がないことです。
デメリットとしては、痛みが出やすい、汚れが溜まりやすい、歯磨きがしにくい、食べ物が詰まったり引っかかるということがあります。
ワイヤー矯正には、装置を歯の表面につける「表側矯正」と歯の裏側に装置をつける「裏側矯正」があります。
装置の種類も様々で、安価なメタルワイヤー、メタルブラケット、プラスチックブラケット、目立ちにくいセラミックブラケット、ジルコニアブラケットブラケット、ホワイトワイヤーなどがあります。
マウスピース矯正
マウスピース矯正は、患者様それぞれに合ったマウスピースをはめて、少しずつ歯を動かしていく矯正方法です。
メリットとして、装置が透明なため目立ちにくく、食事や歯磨き時に取り外しができるため清潔を保ちやすい、少しずつ動かしていくため痛みを感じにくい、事前にシミュレーションをするため治療後の歯並びを確認できることが挙げられます。
デメリットは、1日の装着時間が20時間以上、自己管理を徹底しないと効果が出にくい、歯並びによっては対応できない場合があることでしょう。
マウスピース矯正はいくつか種類があり、インビザライン、アソアライナーなどがよく知られているものですが、歯科医院によって取り扱っているものが違います。
マウスピース矯正もワイヤー矯正と同様に、全顎矯正と部分矯正が可能です。
セラミック矯正
セラミック矯正は、「矯正」とつきますが歯を動かして歯並びを整えるのではなく、歯を削って被せ物を入れて、見た目をきれいにする方法です。
メリットは、他の矯正方法に比べて治療期間が短い、歯の色を白くできることです。
デメリットとしては、歯を削るため歯の寿命が縮まる、歯の神経を取る、被せ物が欠けたり外れたりする可能性がある、重度の叢生には対応できないことが挙げられます。
短期間で前歯のガタガタを治すにはどの方法がよい?
ガタガタした前歯を短期間で治すにはどの方法が適しているか解説します。
前歯だけを治すなら「部分矯正」がよいでしょう。
部分矯正は費用が比較的安く、歯の移動距離が短いため治療期間も半年から1年ほどになります。
前歯1本や数本だけが飛び出している、重なっている、ねじれているといった少しガタガタしている場合は、部分矯正が適用されます。
部分矯正は、ワイヤー矯正(表側・裏側)、マウスピース矯正のどちらでも可能です。
ワイヤー矯正の場合は、犬歯から犬歯、またはその1本後ろの歯を含んだ6〜8本の歯に装置をつけて歯並びを整えます。
一方、マウスピース矯正は部分矯正で前歯だけしか動かさなくても、歯列全体を覆うマウスピースを装着する必要があります。
部分矯正は誰でもできる?
前歯のガタガタには部分矯正がおすすめですが、誰もができるのでしょうか?
実際の歯並びや噛み合わせを見てみないと判断はできませんが、部分矯正の適応症例は以下になります。
・前歯に隙間がある
・1〜2本が少しだけ前に出ている、または引っ込んでいる
・軽度のガタガタ
部分矯正は歯を動かす範囲が狭いため、適応症例が限定されています。
そのため八重歯、歯の重なり具合が大きい、出っ歯などで抜歯が必要な場合は、部分矯正の適応外となります。
また、ご自身では前歯だけのズレと感じていても、噛み合わせが関係しており、噛み合わせ自体を改善する必要がある場合も適応外となります。
治療期間を短くするためにできることはある?
矯正の治療期間は可能であれば短くしたいものです。少しでも期間を短くするためにできることを解説します。
オルソパルス(光加速矯正装置)を使う
オルソパルスとは、マウスピース型の装置から赤外線が出ます。1日10分間赤外線を歯に当て、歯周組織を活性化させることで、矯正の効果を高められる装置です。
矯正期間を最大半分ほどに短縮できるともいわれています。
また、歯が移動することで起こる痛みを軽減する効果もあります。
オルソパルスは、アメリカFDA(米国食品医薬品局)の認定も受けた医療機器ではありますが、日本の薬機法上の承認は得られていません。
セルフライゲーションブラケットにする
セルフライゲーションブラケットは、ワイヤー矯正の時に使うブラケット装置の1つで、従来のブラケットの構造と違います。
通常のブラケットですと、ブラケットからワイヤーが外れないようにゴムや結紮線というもので固定をしていました。しかし、セルフライゲーションブラケットはブラケット自体に蓋がついているため、ワイヤーを通したら蓋をして固定することができます。
それにより、形状記憶合金ワイヤーを利用した弱い力で効率よく歯を動かすことができます。従来のブラケットと比べ、治療期間が約2割ほど短縮できる可能性があります。
また、痛みや違和感が少なく、歯に対する負担も少ないといわれています。
歯科医師の指示をきちんと守る
治療期間を少しでも短くするためには、歯科医師の指示をしっかり守りましょう。
治療途中に歯を動かすための道具が増えることがあります。大変かもしれませんが、それをきちんと使うことで、治療期間を短くできるかもしれません。
また、次の調整日の期間をきちんと守ることも大切です。
自己管理を徹底する
マウスピース矯正の方は自己管理が非常に重要です。
マウスピースの装着時間はもちろんのこと、交換時期やお手入れ、ゴム掛けなどを徹底することで、治療期間を短くすることができる場合があります。
また、インビザラインの場合は、フィット感を高めるためにチューイーの使用も効果的です。
お口の中を清潔に保つ
矯正治療中は虫歯や歯周病になるリスクが高くなります。歯磨きがうまくできず虫歯や歯周病になってしまうと、治療が中断してしまいます。そうすると期間は延長してしまうので、矯正治療中のお口のケアはしっかり行いましょう。
歯科医院で定期的にクリーニングを受けることもおすすめです。
まとめ
前歯のガタガタを短期間で治す方法についてお伝えしました。
治す方法はいくつかあり、何を重視するのかで選択肢は変わってきます。また、適応かどうかは実際のお口の中を見てみないと判断ができないため、歯科医院で診断してもらいましょう。
歯は一生物のため、治療期間の短さだけでなく、最終的な歯並びのきれいさや噛み合わせなども考慮してみてください。