インプラントに入れる歯の種類について解説!

歯を失った時の選択肢としてインプラントがあります。インプラントは顎の骨に人工歯根であるインプラント体を埋め込み、期間を置いてから被せ物にあたる上部構造といわれる人工歯を入れます。

虫歯治療のあとに被せる人工歯には保険や自費、材質を選ぶことができますが、インプラントの上部構造にも同じように保険内のものを選ぶことはできるのでしょうか?

今回はインプラントの被せ物について解説します。

インプラントとは?

まずはインプラントについて簡単にご説明します。

インプラントは、顎の骨(歯槽骨)に埋め込むネジのような人工歯根「インプラント体」、インプラント体と被せ物を連結させるもの「アバットメント」、被せ物にあたる「上部構造(人工歯)」の3つのパーツからなります。

インプラント体のことを「インプラント」、上部構造を「被せ物」と呼んで区別することもあります。

インプラント治療は、インプラント体を歯槽骨に埋め込み3ヶ月〜半年ほど待ちます。その後、インプラント体が歯槽骨としっかり結合したのを確認してから、アバットメントと上部構造を取りつけていきます。

自分の歯のようにかたいものもよく噛めて、ご自身で取り外すことがなく、見た目も自然ことから、インプラント治療を選ぶ方が増えてきました。

インプラントの被せ物の種類は?

インプラントの被せ物にも選択肢があります。それぞれ特徴が異なるため、1つずつ解説します。

ファインセラミック

ファインセラミックは、被せ物の内側にジルコニア、外側にセラミックを使用した被せ物です。

【特徴】
・強度があり天然歯よりも硬い
・審美性が優れている
・金属アレルギーの心配がない
・変色しない
・汚れや着色がつきにくい

ファインセラミックは、強度があるジルコニアと審美性に優れたセラミックの両方のメリットがあります。当院では熟練した技工士にオーダーし色調や透明感を天然歯に極限まで近づけることが可能なため、審美面でも非常に優れています。

ただ、ジルコニアを使用しており天然歯よりも硬いため、噛み合う相手となる歯がすり減る可能性があり、またジルコニアとセラミックの両方を使うため費用が高額になります。

オールセラミック

オールセラミックは、陶器と同じ素材のセラミックだけで作った被せ物です。色の種類が豊富で天然歯に近い透明感や艶を出すことができます。

【特徴】
・天然歯に近い透明感と艶が出せる
・変色しない
・汚れや着色がつきにくい
・金属アレルギーの心配がない
・衝撃に弱く割れることがある

オールセラミックは審美性が優れており、天然歯に近い透明感や艶を出せるため、前歯に入れても天然歯との違いがほとんどない仕上がりになることが最大のメリットです。しかし、陶器素材のため衝撃に弱く割れやすいことがデメリットといえます。

オールジルコニア

オールジルコニアはジルコニアだけで作られた被せ物で、セラミックの一種です。人工ダイヤモンドともいわれ、強度が優れており、見た目も白くできます。

【特徴】
・金属に匹敵する強度があるため奥歯にも使用できる
・天然歯に近い白さや光沢感がある
・変色しない
・汚れや着色がつきにくい
・金属アレルギーの心配がない
・ジルコニアは人工関節にも使用されるため、生体適合性が高い

ジルコニアの最大のメリットは耐久性が非常に高く、セラミックの中で一番強度があり、歯ぎしりや食いしばりなどで負荷がかかりやすい奥歯にも使用できるところです。
しかし高品質な素材のため、他の人工歯に比べると費用が高く、過度な歯ぎしりがあると噛み合う相手となる歯がすり減る可能性があります。

ハイブリットセラミック

ハイブリッドセラミックは、セラミックに歯科用プラスチックであるレジンを混ぜた被せ物です。

【特徴】
・比較的安い費用で白い被せ物を入れられる
・強度が劣るが、噛み合う相手となる歯がすり減るリスクは少ない
・変色する
・ほかの白い被せ物に比べると審美性が劣る
・金属アレルギーの心配がない

ハイブリッドセラミックはオールジルコニアやオールセラミックなどに比べると審美性は劣りますが、費用を抑えて白い被せ物を入れることができます。また、素材自体が硬すぎないため、噛み合う相手となる歯がすり減るリスクは少ないです。
しかし、レジンが混ざっているため経年劣化で変色したり、被せ物自体がすり減る、被せ物が欠ける・割れやすいといったデメリットがあります。

ゴールド

ゴールドは、金合金やプラチナ合金などの貴金属を使用した被せ物です。

【特徴】
・長持ちする
・適合性が高い
・適度な強度とやわらかさがあるため、他の歯に負担を与えない

ゴールドは適合性がよく、錆びることもほとんどないため、メタルタトゥーになることはありません。また、素材をきちんと選ぶことで金属アレルギーが起きにくいとされています。

強度にも優れているため、どの部位でも使用することが可能です。

被せ物の材料の中では機能面がもっとも優れているといえますが、歯の色が金色になるので、目立つ前歯には使用しにくいでしょう。また、ゴールドは時価によっては費用が高額になる場合があります。

オーバーデンチャー

オーバーデンチャーはインプラント用の総義歯のことで、歯が1本もない場合に2〜4本のインプラントを埋入します。

従来の総義歯は歯茎で支えるため、外れやすかったりカタカタと動き安定性が悪いですが、インプラントで義歯を固定するため安定性が高く、よく噛めるだけでなく、義歯のサイズを小さくできることがメリットです。また、失った歯を全部インプラントにするよりも費用が安く済みます。

しかし、義歯であるため取り外してご自身でお手入れをする必要がある点、保険適用の義歯よりも費用が高いといったデメリットもあります。

他にも、メタルボンドという内側が金属のフレームで表面をセラミックで覆った被せ物があります。強度があり、セラミック部分が割れたり欠けても、金属のフレームが壊れていなければ修理することができます。
しかし、金属を使っているため金属アレルギーを発症したり、お口の中の環境によっては金属イオンが溶け出して、歯茎が黒ずむメタルタトゥーになる可能性があります。
以前はよく使用されていましたが、オールセラミックが進化して強度が上がったため、最近は取り扱う歯科医院や選択される患者様は減り、当院でもセラミックを推奨しているため取り扱っておりません。

インプラントの被せ物には保険は使える?

インプラント治療は自費のため高額になります。そのため、せめて被せ物だけでも保険でできないかと思われる方が多いでしょう。

残念ながら保険診療と自費診療の混在は認められていないので、上部構造が金属であっても自費となります。

ただ、国が定めた一定の条件に当てはまるケースのみ、保険診療でインプラント治療が受けられます。

その条件とは

・腫瘍や怪我などにより、顎の骨を広範囲にわたって失った、もしくは失った部分を他の骨を移植するなどして補ったケース(広範囲とは、上顎骨の1/3以上、もしくは失った骨の部分が鼻や上顎洞に及んだ場合、下顎骨の1/3以上を失った場合をいいます)

・唇顎口蓋裂や外胚葉異形成症という先天性のものにより、顎骨の成長がうまくいかないケース

・唇顎口蓋裂や外胚葉異形成症という先天性の病気により、顎の骨の1/3以上の範囲の歯がないケース

これらの条件のいずれかに該当し、通常の保険で製作する義歯やブリッジでは噛み合わせの回復が難しい場合に限られます。そのため、歯周病や加齢によって顎の骨を失った場合は含まれないため、ほとんどの方はインプラントの保険診療は適用となりません。

インプラントの被せ物を選ぶときのポイント

インプラントの被せ物の種類がいくつかあることがおわかりいただけたかと思います。次に選ぶポイントをお伝えします。

ポイントは3つあり、「審美性」「耐久性」「費用」のどれに重点を置くかで変わってきます。

インプラントの寿命は、平均10〜15年といわれています。もちろんそれ以上持つ方もいらっしゃいますが、お口全体の状態や噛む力、どこに入れるのかなどよく検討することが大切です。そのため、予算を考慮しながら歯科医師に相談し、ご自身に合った被せ物を選びましょう。

前歯は見た目が重視されるため、審美性に優れた「ファインセラミック」「オールセラミック」がおすすめで、天然歯と見間違うほど自然な仕上がりになるでしょう。

奥歯では、噛み合わせ重視にするなら「オールジルコニア」「ゴールド」がおすすめです。
見た目にもこだわりたい場合は「ファインセラミック」「オールセラミック」を選択されるのもよいでしょう。

まとめ

インプラントの被せ物にはさまざまな種類があり、審美性、耐久性、費用がそれぞれ異なります。

どれが適しているかは、インプラントの埋入場所や噛む力、予算など患者様によって異なります。長期間使用するもののため、歯科医師とよく相談しながら選択しましょう。

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