なるべく早く歯並びを治したい!よい方法はある?
治療には長期間かかると言われる歯列矯正ですが、治療期間は全顎矯正や部分矯正、求める歯並びのきれいさなど治療方法や治療方針によって様々です。
矯正治療を受ける方であれば、だれもが治療期間を短くして早く歯並びを治したいと思われるでしょう。
そこで今回は、早く歯並びを治したい方に向けて、矯正治療を早く終わらせるためにできることについてお話します。
歯の動き方は個人差があることを前提に、みなさんの参考になれば幸いです。
矯正治療にかかる期間
まずは矯正治療にはどのくらいの期間がかかるのかを、その基本を見ていきましょう。
大人が行う成人矯正と子供のときに行う小児矯正とでは内容や期間が異なります。
成人矯正は歯並びをきれいに整えて見た目をよくするだけでなく、噛み合わせを改善して機能面を回復することができます。
お口全体の歯並びや噛み合わせを変える全体矯正では、ワイヤー矯正とマウスピース矯正どちらの場合も治療期間は2〜3年と言われています。
部分的な歯並びを整える部分矯正ですと、3ヶ月〜1年程度でしょう。
小児矯正は、1期治療と2期治療に分かれます。1期治療は永久歯が生えてくるスペースを作ったり、顎のバランスを整える、悪癖を改善させることを目的としています。
1期治療の期間は1〜3年で、お子様の成長を利用しながら行います。
2期治療は成人矯正と同じで歯並びを整えることを目的とし、治療期間は1〜2年と言われています。
歯科医院で行う治療期間を短くする方法
歯科医院で行う矯正治療を短くできる方法が3つあります。
インプラント矯正
インプラント矯正を併用することで治療期間を通常より短くすることができます。
基本的にはワイヤー矯正で抜歯をした場合に使用するものですが、マウスピース矯正の際に行うことがあります。
インプラント矯正と言っても、歯を失った箇所の顎の骨に人工歯根を埋め込むインプラント治療とは違い、小さな医療用ネジ(アンカースクリュー)を顎の骨に埋めて、それを固定源としてゴムなどをかけて歯を動かしていきます。
アンカースクリューを打つことで、従来の矯正治療より歯に大きな力を加えられるため、効率よく短期間で歯を動かすことができます。
アンカースクリューを埋め込む際は手術などの必要はなく、局所麻酔で済むため施術も数分程度で終わり、痛みや出血もほとんどありません。
セルフライゲーションブラケット
セルフライゲーションブラケットは、ワイヤー矯正に使用するブラケットの1つです。
従来のワイヤー矯正は、ブラケットとワイヤーを固定するために結紮線という細いワイヤーを使ったり、ゴムを使用するため、摩擦が生じて歯の動きに影響が出ていました。
一方、セルフライゲーションブラケットはブラケット自体にシャッターがついており、ワイヤーを挟むだけのため摩擦が起きにくく、弱い力でも効率的に歯が動き、治療期間も約2〜3割早くなると言われています。
コルチコトミー
コルチコトミーは、歯が埋まっている歯槽骨(しそうこつ)に切れ目を入れて骨の代謝を早く促し、骨の再生力を利用して治療期間を短縮させる外科的手術で、スピード矯正とも呼ばれます。
マウスピース矯正、ワイヤー矯正のどちらでも可能な処置で、コルチコトミーを行うことで治療期間を半年〜1年ほど短くすることができると言われています。
手術をしたからといって効果がずっと続くものではなく、その効果は一定期間になるため、手術を行うタイミングが大切です。
手術時間は1〜2時間くらいが目安で1日で終わりますが、歯茎や骨を切るため痛みや腫れ、術後感染等のリスクやデメリットあります。
自分で取り組む治療期間を短くする方法
ご自身で治療期間を短くするために取り組めることがあります。
オーソパルス
オーソパルスは光加速装置と呼ばれ、近赤外線のエネルギーを利用し、歯周組織の血流を増やして活性化させ、歯が動く時に出る痛みを和らげながらも移動させるスピードを早めるマウスピース型の装置です。
主にマウスピース矯正と併用しますが、ワイヤー矯正にも使うこともでき、オーソパルスを使用すると、アライナー(装置)の交換期間が早くなるため、矯正の治療期間を1.5〜2.5年に短縮できる場合があります。
オーソパルスはご自宅で1日1回、上顎と下顎合わせて5分ずつ合計10分間のため、お忙しい方でも比較的取り入れやすい方法と言えます。
装置は矯正費用とは別途必要ですし、取り扱っていない歯科医院もあるため、カウンセリング時にオーソパルスが行えるかどうかなど事前に確認しましょう。
歯科医師の指示を守る
矯正治療が始まると、歯科医師から装置の装着方法や時間、次回の来院の間隔、マウスピース矯正の場合であればアライナーの交換時期など歯科医師から様々な注意点を指示されますので、これらの指示を守ることが矯正治療を早めに終わらせることにもつながります。
口の中をきれいに保つ
矯正治療中は虫歯や歯周病になりやすいと言われているため、しっかりと歯磨きをするだけでなく、歯科医院でのメインテナンスを受けて口腔内を清潔に保つことが大切です。
虫歯や歯周病になってしまうと矯正治療がスケジュール通りに進まず、治療期間が延びる原因になるため気をつけましょう。
悪習癖を改善する
舌で前歯を押したり、口をぽかんと開けている、口呼吸をする、頬杖をつくといった悪習癖があると、歯が思うように動かず治療が延びることがあります。
ご自身ではなかなか気づかないかもしれませんが、歯科医師や周囲の人から指摘があった場合は改善しましょう。ご自身での改善が難しい場合は、歯科医師に相談し、装置を使ったり口周りのトレーニング指導を受けることをおすすめします。
悪習癖を改善できると、治療期間を短くできるだけでなく、矯正装置を外したあとに起こりやすい後戻りのリスクを減らすことにもつながります。
体の新陳代謝を高める
矯正治療は歯周組織の代謝によって歯を動かしていきます。そのため、骨や血流といった組織の新陳代謝が活発であれば、それだけ歯が移動しやすく、矯正の効果が高くなります。新陳代謝を高めるためには、規則正しい生活や食生活、十分な睡眠をとるといったことに気をつけるとよいでしょう。
ヘビースモーカーの方は血流が悪いため、歯の移動が遅くなるとも言われています。そのため、ヘビースモーカーでこれから矯正をお考えの方は、矯正治療を短くするだけでなく健康のためにも、少しずつタバコを吸う本数を減らし、禁煙を目指しましょう。
不具合があった場合はすぐに歯科医院に連絡する
ワイヤー矯正ですとブラケットが取れたりワイヤーが外れる、マウスピース矯正ですと装置が壊れた、紛失したなどトラブルや不具合が起こることがあります。
そういった時はすぐに歯科医院に連絡し、指示を仰ぐことが大切です。自己判断でそのままにしてしまうと、歯が思うように動かず治療が長引く原因になるため、注意しましょう。
まとめ
矯正に関する治療期間を短くする方法をお伝えしました。歯科医院で行うものとご自身で取り組めることがあります。
両方を組み合わせることが治療期間を短くする一番の方法にはなりますが、どの歯科医院でもできるという訳ではありません。しかし、ご自身で行えることもたくさんありましたね。早く矯正治療を終わらせるためにも、ご分でできることに意欲的に取り組んでいきましょう。
また、お口や歯並びに合った矯正方法を選択することも治療を早める手段の一つと言えます。いつまでに終わらせたいなどご希望がある場合は、事前のカウンセリングで歯科医師に伝えることも大切です。