マウスピース矯正のお手入れは?ケアの基本を解説!
従来、歯の矯正治療といえばワイヤー矯正が主流でした。
しかし、その見た目が気になり、矯正治療を躊躇してしまう方も少なくありません。
近年はマウスピース矯正が普及し、大人になってから矯正治療をおこなう方も増えてきました。
今回は「目立たないなら矯正してみようかな」とマウスピース矯正を検討しているものの、「マウスピース矯正ってお手入れが大変そう」といった疑問にお答えできるよう、マウスピースの基本的なケアを解説します。
マウスピース矯正とは?
まずはマウスピース矯正とはどのようなものか簡単におさらいしておきましょう。
マウスピース矯正は従来の矯正治療の主流だったワイヤーを使用せず、透明なマウスピースを装着して歯を動かしていく矯正治療法です。
・矯正装置が目立たない
・取り外しができる
・楽器やスポーツなどにもほとんど影響がない
・金属アレルギーの心配がない
などのメリットがあります。
マウスピースの汚れの原因
まずはマウスピースが汚れる原因を知っておきましょう。
マウスピースが汚れる原因は主に以下の3つです。
食事によるもの
基本的に食事の際はマウスピースを外しますが、食事の後に歯みがきをせずにそのままマウスピースを装着してしまうことで、歯についた食べ残しでマウスピースが汚れてしまいます。
食べ残しなどの汚れには、むし歯菌などの細菌が含まれていることもあります。
汚れたマウスピースを装着することは、細菌を歯につけたままで長時間過ごすことになり、むし歯や歯周病を引き起こすリスクが高くなると同時に、口臭の原因にもなります。
色の濃い飲み物によるもの
コーヒーやワインなどの色の濃い飲み物は着色しやすく、マウスピースが汚れてしまいます。
色の濃いものの飲食後は歯を磨いてからマウスピースを装着しないと、歯に残った汚れがマウスピースにそのまま残り、マウスピースの変色の原因となります。
喫煙によるもの
たばこに含まれるニコチンやタールによってマウスピースが変色します。
茶色に変色するため、汚れが目立つばかりでなく、煙によってマウスピースそのものが劣化する可能性もありますので、喫煙する方はその都度マウスピースを外すようにしましょう。
マウスピースの基本的なお手入れ手順
マウスピースのお手入れを正しくおこなうことは、マウスピースの品質を維持するとともに、口の中を清潔に保つために非常に大切です。
ここでは基本的なお手入れの流れを解説します。
①外した後は速やかに洗う
マウスピースを外した後はできるだけ早く洗浄しましょう。
唾液や食べかすがついたまま放置すると、むし歯や歯周病、口臭の原因となります。
また、マウスピースはなれないうちは外しにくいかもしれません。
無理に外そうとすると破損する場合があるため、歯科医院でコツなどを教えてもらい、練習して少しずつ慣れましょう。
②水かぬるま湯で汚れを洗い流す
外したマウスピースは、水かぬるま湯を流しながら指で優しくこすります。
マウスピースを傷つけないよう、力を入れず優しく洗いましょう。
基本的には指で洗っても問題ありませんが、汚れが気になるときは柔らかい歯ブラシを使って洗うのもよいでしょう。
③マウスピース洗浄剤で洗う
週に1~2回、または汚れやにおいが気になるときは、マウスピース専用の洗浄剤の使用が効果的です。
洗浄剤は歯科医院やドラッグストアなどで購入できますが、製品により使用方法や使用量が異なるので、使用方法をよく読んで適切に使用してください。浸ける
水やぬるま湯で洗った後に仕上げとしてマウスピースを洗浄剤に浸けることで、指では洗い切れなかった汚れを洗浄し、殺菌することができます。
④きれいにすすぐ
洗浄剤を使用したときは、マウスピースに洗浄剤が残らないよう、十分にすすぎ洗いをしましょう。
洗浄剤が残っていると口の中から身体に入り込み身体に影響を及ぼす可能性があるので、洗浄剤はきれいに洗い流すことが大切です。
⑤よく乾かし保管する
洗浄後、水分が残っていると雑菌やカビが繁殖する可能性があるので、清潔なタオルなどで水分をふき取ってから、専用ケースや風通しのよい場所でしっかり乾燥させましょう。
マウスピースは透明なため、乾燥中に見失ってしまう場合があるので、ケースを使用して乾燥することがおすすめです。その際、ケースの蓋はあけておくようにしましょう。
詳しい保管方法についてはこちらをご覧ください。
マウスピースの洗浄方法
ここからは、マウスピースの洗浄方法について、目的別に詳しく紹介します。
毎日の洗浄|水と歯ブラシ
毎日のお手入れは水と歯ブラシ、または指で優しく洗います。
水を流しながら、指や柔らかい歯ブラシで力を入れずこすり洗いをします。
研磨剤入りの歯みがき粉はマウスピースに細かい傷がつき、雑菌が入り込む可能性があるので使わないでください。
また、洗うときは40度以下のぬるま湯か水を使用します。マウスピースが変形する可能性があるので熱いお湯は避けましょう。
においや黄ばみが気になるとき|洗浄剤でスペシャルケア
週に1~2回程度、またはにおいや黄ばみが気になるときは、スペシャルケアとして目に見えない汚れやにおいを取り除き、除菌もできる専用の洗浄剤を使用しましょう。
洗浄剤は「タブレットタイプ」と「泡タイプ」があります。タブレットタイプはマウスピース全体に洗浄液が行き届くのに対し、泡タイプは隅々まで行き届くのが難しいため、二つを併用し、状況に合わせて使い分けるのがよいでしょう。
タブレットタイプ
水にタブレットを溶かし、マウスピースを浸け置きして洗浄します。
製品によって浸ける時間は異なりますが、5~30分程度が多いので、ゆっくり時間をかけてしっかり汚れを落としたい方におすすめです。
泡タイプ
泡やスプレータイプはマウスピースに直接塗布し、1~2分後に洗い流します。
洗浄時間が短く、ボトルの持ち運びができるので、外出先での洗浄などに向いています。
プラスαケア|超音波洗浄機器で
超音波洗浄機器は、超音波により細かな振動で発生した気泡が破裂したときの衝撃で汚れを浮き上がらせて洗浄します。
機械に水とマウスピースを入れてスイッチを押すだけという手軽さながら、人の手では取り除けない細かな汚れをきれいに取り除けます。
また、洗浄剤と併用すれば、より強力な汚れを落とすことができます。
マウスピースお手入れの注意点
マウスピースお手入れの際にはいくつか注意点があるので覚えておきましょう。
熱湯は使わない
マウスピース洗浄の際は、熱湯を使用するのは避けましょう。
煮沸消毒の言葉通り、熱湯の方が除菌できるのでは?と思われがちですが、マウスピースの素材は熱湯による変形や劣化などのダメージを受けやすいので、熱湯ではなく水かぬるま湯を使いましょう。
洗浄剤は用法や用量を守る
洗浄剤はたくさん使えば効果があがるというものではありません。
「しっかり汚れを落としたい」との思いから、ついたくさん使ってしまいそうですが、必要以上の量はマウスピースが傷んでしまう可能性があります。
また、決められた時間より長く浸けると洗浄液が劣化し細菌が繁殖することもあるので、長く放置するのは避けましょう。
硬い歯ブラシ、研磨剤入りの歯みがき粉は使用しない
硬い歯ブラシや研磨剤入りの歯みがき粉は、マウスピースの表面に傷がつき、細菌が繁殖しやすくなるため使用するのは避けてください。
歯ブラシは柔らかいものを使用し、歯みがき粉を使用する場合は研磨剤不使用のものを使うようにしましょう。
洗浄後はしっかり乾燥させる
洗浄後、濡れたままにしておくと細菌が繁殖しやすくなったり、においの原因になったりするので、洗浄後はしっかりと乾燥させることが大切です。
外出時はタオルやハンカチで水分をふき取ってからケースに入れましょう。
まとめ
いかがでしたか。
今回はマウスピースの矯正のお手入れについて解説しました。
マウスピースの品質維持と口の中を清潔に保つため、毎日のお手入れが不可欠です。
毎日のお手入れは多少面倒かもしれませんが、歯みがきのタイミングで一緒におこなうなど、ルーティーンで普段の生活に取り入れてしまえば、なんら難しいことはありません。
お手入れが不十分だとむし歯や歯周病などのリスクが高くなります。トラブルが発生すると、予定よりも矯正期間が延長してしまうこともあるため、毎日しっかりお手入れし、矯正治療をスムーズにすすめていきましょう。