食いしばりなどの悪習癖があっても矯正はできる?


歯並びや噛み合わせが悪くて矯正治療を検討されている方の中に、歯ぎしり・食いしばりやお口をポカンと開けている、舌を突き出すといった癖を持っている方もいると思います。

これらは悪習癖と呼ばれており、矯正治療で歯を動かすのを妨げるものです。

では、悪習癖がある方は矯正治療はできないのでしょうか?

今回は、歯ぎしり・食いしばりなどの悪習癖がある方でも矯正治療は受けられるのかについて解説します。

悪習癖とは

まず悪習癖について簡単にお伝えします。

悪習癖とは、歯並びや噛み合わせ、顎に悪い影響を与える癖を習慣的にしていることです。

歯ぎしり・食いしばり、口呼吸、唇を噛む、舌を出したり歯に押し当てる、爪を噛む、頬杖をつくなどが当てはまります。

これらの癖は無意識なことが多く、家族や周囲から指摘されないと気づかないという方もいます。

悪習癖の原因は幼少期からの癖もありますが、ストレスや不安、緊張などの精神的な要因によって引き起こされることもあります。

他にも、噛み合わせの悪さやつめ物・被せ物が合っていない、嗜好品(タバコや飲酒など)を摂取する機会が多いなども要因とされています。

なぜ悪習癖があると矯正治療の妨げになる?

次に、悪習癖があると矯正治療の妨げになると言われる理由をお伝えします。

歯の移動を妨げる

悪習癖があることによって、歯の移動が妨げられることがあります。

食いしばりの場合、グッと噛むことで上下に力が加わり、歯を左右に動かしたくても阻害されて適切に動かないことがあります。

舌で歯を押す癖がある場合、前歯を内側に引っ込める力をかけたくても、舌で常に外に押す力を加えているため、なかなか出っ歯が治らない、歯と歯の隙間が閉じないといった影響があります。

これはワイヤー矯正、マウスピース矯正どちらにも言えることで、矯正力がうまく効かず、治療の進行が遅れる可能性があります。

装置が変形したり破損したりする

歯ぎしり・食いしばりがある方は、装置に強い力が通常よりもかかります。マウスピース矯正の場合、アライナーにも過度な力がかかり、変形や破損のリスクが通常よりも多くなる場合があります。特に、睡眠時の歯ぎしり・食いしばりが強い方は注意が必要です。

また、頬杖をつく方がワイヤー矯正を行った場合、ワイヤーが外れやすかったり、変形する可能性があります。

矯正結果の不安定化

悪習癖があると、噛み合わせがズレたり歯が変に動いたりすることがあります。

矯正治療中や治療終了後にも起こりうることで、悪習癖が原因で歯の位置が安定しにくいと言われています。その結果、矯正治療の効果が安定せず、求めていた結果にならないことがあります。

矯正治療中の悪習癖の対策

悪習癖はすぐに改善するものではありません。しかし、矯正治療中にもできることはするべきなので、治療中でもできる悪習癖の対策についてお伝えします。

ナイトガードの使用

歯ぎしり・食いしばりが強い方は、歯科医師からナイトガードの使用を勧められるでしょう。

ナイトガードは矯正用のアライナーとは厚みが違う歯科用樹脂で作られ、それぞれのお口に合わせた装置です。歯ぎしり・食いしばりの力を分散し、歯や顎、アライナーへの負担を軽減する役割を果たします。

ナイトガードのかたさや形状を調整することで、歯ぎしり自体の回数を減らせる可能性もあります。

ただし、ワイヤー矯正をされている方はナイトガードを装着することができません。しかし、マウスピース矯正の方は、歯科医師と相談の上で夜間はナイトガードに切り替えるのも一つの手です。

ストレスを管理する

悪習癖はストレスや不安、緊張に関連していると言われているため、ストレスを管理することが重要です。

日常でリラックスする方法を見つけ、ストレスを軽減させることが大切です。
リラックス法は人それぞれです。適度な運動や入浴、瞑想、趣味に時間をあてるなど、ご自身に合った方法を取り入れましょう。

舌を正しい位置に置く

舌癖がある方や歯ぎしり・食いしばりをする方は、舌を正しい位置に置けていない場合があります。

舌を正しい位置に置くだけでも、噛みしめが軽減したり、前歯を舌で押さなくなることもあるため、有効な方法です。

舌の正しい位置は、舌先を上顎にあるスポットに触れ、残りは上顎のくぼみに吸着させます。そうすると、自然と上下の歯は噛み合わず顎の負担も軽減できます。

歯科医師と相談しながら定期的なチェックを受ける

矯正治療中の悪習癖への対策として、定期的に歯科医師のチェックが必要不可欠です。

矯正治療の進行状況を確認し、必要な調整や対策を個々に合わせて提案してくれます。不安なことや気になることがあれば歯科医師に相談し、定期チェックには必ず通いましょう。

悪習癖を改善するためには

悪習癖を改善するにはどのようにすればいいでしょうか。一つずつみていきましょう。

自覚と意識

悪習癖を改善する第一歩として、自分が悪習癖をしている自覚をすることです。自覚した後は、どのタイミングでしているのかに意識を向けることも大切です。

無意識に行っている場合でも、気付いた時にやめるということを繰り返していきましょう。

MFTを受ける

MFTとは口腔筋機能療法というもので、食べる(咀嚼)時、飲む(嚥下)時、発音時、呼吸時の舌や口唇の位置の改善を目的とした各種のトレーニングのことです。

MFTを継続して行うことで口周りにある筋肉のバランスを整えられ、悪習癖を改善することができます。

お子様に行うことが多いですが、もちろん大人でも受けることができ効果があります。

矯正治療で悪習癖を治せる場合もある!?

歯並びや噛み合わせが悪いと、一部の歯に負担がかかったり、舌を正しい位置に置きにくい、唇が閉じにくく、悪習癖に繋がることもあります。

このように悪習癖の原因が歯並びや噛み合わせにある場合は、矯正治療によって改善することもあります。

歯ぎしり・食いしばりの場合

歯ぎしり・食いしばりの場合、改善は難しくても、マウスピース矯正との組み合わせで軽減する可能性があります。

歯科医師とよく相談した上で、前述したナイトガードの併用や特殊なアライナーを使用することで、歯ぎしり・食いしばりの矯正治療に与える影響を最小限に抑えることができます。

舌癖がある場合

舌で前歯を押す癖や舌を外に出す癖、舌を下顎に置いているなど舌癖がある方は、裏側矯正がおすすめです。

表側矯正の場合は、舌を意識することなく治療を終えることが多いです。しかし裏側矯正ですと、装置が裏側につくため舌に触れる機会が多く、舌の位置を意識し舌を正しい位置へ置こうとするきっかけにもなります。

また、上の前歯を舌で押す癖がある場合、裏側に矯正装置が付くことでその癖を防止する役目を果たし、舌で歯を押さなくなります。
前歯を押す癖を改善することで、矯正治療が終わり装置を外した後、歯が元の位置に戻る後戻りのリスクも減るでしょう。

マウスピース矯正の場合でも、アライナーが歯の裏側まで覆っています。アライナーの縁に舌が触れると意識ができるため、歯を舌で押さなくなることが多いと言われています。

場合によっては、アライナーの裏側に出っ張りを作ったりすることもできます。舌が触れると違和感が強いため、舌を正しい位置に置く意識が強くなります。

口呼吸の場合

前歯が飛び出ていてうまく唇を閉じれないことで口呼吸になっている場合、矯正治療で歯並びが整うと口呼吸をしなくなることがあります。

ワイヤー矯正とマウスピース矯正のどちらでも、前歯がきれいに並ぶと唇を閉じやすくなります。

しかし、歯並びが良くなったからといっても長年口呼吸をしていると、口周りの筋肉が衰えているため、意識をしないと口をポカンと開けて口呼吸をしがちです。そのため、矯正治療中や終了後にMFTを受けて、口周りの筋肉をトレーニングしましょう。

装置を外した後も口呼吸が直らない場合、後戻りのリスクが高まります。数年かけてきれいに並んだ歯を口呼吸で台無しにしないためにも、MFTに意欲的に取り組みましょう。

まとめ

今回は悪習癖がある方でも矯正治療は受けられるのか解説しました。

悪習癖があると矯正治療の妨げになる場合もありますが、矯正治療ができないことはありません。
選択する装置によっては悪習慣を改善する可能性もあります。
しかし、悪習癖をすぐに改善することは難しく、日頃から常に意識してなるべくしないことが大切です。

また、矯正治療中の悪習癖の対策には、歯科医師への相談と協力が必要不可欠です。
そのため、矯正治療を始める前のカウンセリングでしっかりと相談をすること、信頼できる歯科医師かどうかも見極めましょう。
そして、悪習癖がある方はとくに治療中の定期チェックや、装置を外した後の検診と経過観察が非常に重要です。

矯正治療で歯並びや噛み合わせを整えながら、悪習癖も改善できるよう、この記事を参考にしてみてくださいね。

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