歯列矯正で口元が下がるって本当?原因と対策を解説!
歯列矯正は、歯を動かしていくことで口元の見た目が改善される治療方法です。基本的に歯の移動距離が大きいほど口元の印象は変わります。
中には歯列矯正をしたことで口元が下がり、老けた印象になったというケースもあります。ただし、歯列矯正をしたからといって必ずしも口元が大きく下がるわけではありません。
この記事では、歯列矯正によって口元が下がる原因と対策を解説します。
歯列矯正で口元が下がる理由
歯列矯正は、全体的に歯を奥に動かすことで歯並びを整えていく治療方法です。この過程では、徐々に歯が移動することで、一時的に口元の見た目が変わることがあります。
例えば、前に突出している歯が奥に移動すると、自然と口元の出っ張りも引っ込みます。そのため、中には口元が下がったように見えることもあるのです。
歯列矯正で口元が下がる原因
歯列矯正で口元が下がる原因は次のとおりです。
- 出っ歯の矯正
- 抜歯
- 上下顎前突(口ゴボ)
それぞれ詳しく解説します。
出っ歯の矯正
出っ歯の矯正では、前に突出した歯を奥に移動させることで歯並びを整えていきます。つまり、前歯が奥に移動するということは、それまで前歯によって押し出されていた上唇も引っ込むということです。
そのため、人中(鼻の下と唇の距離)が長くなったと感じる場合があります。
抜歯
歯列矯正では、必要に応じて抜歯をすることも珍しくありません。特に顎の骨が完成した成人の歯列矯正では、歯が動くスペースを確保するために抜歯をするケースがあります。
大抵の場合、バランスを見ながら極力影響のない本数を抜歯しますが、それまで歯によって支えられていた口元の皮膚が支えを失うことになり、結果として口元全体が下がって見えることがあります。
上下顎前突(口ゴボ)
口ゴボと呼ばれる上下顎前突とは、口元が全体的に前に出っ張っている状態のことを指します。この上下顎前突を矯正治療すると口が後方に引っ込んだ形になるため、口元が下がったと感じる場合があります。
口元が下がることによって生じるリスク
口元が下がることによって生じるリスクは次のとおりです。
- ほうれい線が濃くなる
- 人中が長くなる
- マリオネットラインができる
詳しく見ていきましょう。
ほうれい線が濃くなる
歯列矯正によって口元が下がると、ほうれい線が濃くなったように見えることがあります。口元が下がると顔を上に引き上げていた表情筋のバランスが崩れ、肌が下垂してほうれい線が目立ってしまうのです。
ほうれい線が濃くなると老けて見えるようになり、歯の見た目を改善しても新たな悩みの種となります。
人中(鼻の下と唇の距離)が長くなる
口元が下がってしまうと、人中が長くなることがあります。人中が長いとのっぺりとした面長の印象が強くなり、以前よりも老けて見える場合があります。
マリオネットラインができる
口元が下がることでお口周辺がたるみ、マリオネットラインができてしまうことがあります。これは歯によって支えられていた表情筋が歯が移動したことによって支えを失い、たるんでしまうことが原因です。
年齢が上がるごとに口周りの筋肉は弱くなるため、一度たるむと元に戻すことはむずかしいといわれています。
歯列矯正で口元が下がるのを防ぐ対策
ここまでは歯列矯正によって口元が下がる原因と、口元が下がることによって生じるリスクを見てきました。ここからは歯列矯正で口元が下がるのを防ぐ対策を見ていきましょう。
具体的な対策は次のとおりです。
- 歯科医院を慎重に選ぶ
- 歯科医師にしっかりと希望を伝える
- 非抜歯矯正を選択する
- セカンドオピニオンを利用する
- Eラインにこだわりすぎない
- 表情筋のトレーニングをする
それぞれ詳しく解説します。
歯科医院を慎重に選ぶ
歯列矯正を受ける際は、歯科医院選びを慎重に行いましょう。症例実績があることはもちろんのこと、次の検査をしっかり行ってくれる歯科医院だと安心です。
- 口腔内スキャン
- 口腔内写真・顔面写真撮影
- X線写真撮影
これらは治療計画を考える上で必要な検査項目になります。歯科医師は検査結果を基にシミュレーションを行い、綿密な治療計画を立てていきます。
歯科医師にしっかりと希望を伝える
矯正治療を受ける際は、どのようになりたいかしっかりと希望を伝えましょう。歯科医師は、患者様の希望を聞いた上で治療計画を立ててきます。
希望が曖昧なままだと、「思ってたのと違う」といった結果になりかねません。「こんなお願いは無理かもしれない」と思わず、悩みや希望はしっかりと歯科医師に伝えましょう。
セカンドオピニオンを利用する
矯正治療の相談後、または治療中に不安が生じた場合は、セカンドオピニオンを利用しましょう。セカンドオピニオンとは、診断や治療方針などに納得できない場合や不安が生じたときに、主治医以外の歯科医師の意見を聞きにいくことです。
例えば矯正治療のセカンドオピニオンでは、「抜歯が必要と診断されたが、歯を抜かなくても良さそうだ」といった選択肢が生まれることもあります。第三者の中立的な立場から意見をもらうことで、疑問の解消や不安の払拭をすることができます。
Eラインにこだわりすぎない
矯正治療を受ける前は、どうしても理想が膨らみがちです。特に歯並びの乱れが見た目のコンプレックスになっている場合は、とことん理想を目指したくなるでしょう。
特に患者様から多いご相談が「理想的なEラインにしたい」といった内容です。しかし、Eラインは骨格のコントロールが必要なため、矯正治療だけで改善するには限界があります。
無理に理想に近づけようとすると、結果として口元が下がりすぎたといったことになりかねません。矯正治療を受ける際はあまりEラインにこだわりすぎず、「ここまでできればOK」といった目標を設定しましょう。
非抜歯矯正を選択する
顎の状態が完成している成人の矯正治療では、歯を移動させるスペースを確保するために抜歯をすることも珍しくありません。ただし、全ての成人矯正で抜歯が必要というわけではなく、患者様によっては非抜歯矯正ができる場合があります。
抜歯を避けて治療を受けたい場合は、複数の歯科医院で相談してみるのも一つの手でしょう。
表情筋のトレーニングをする
矯正治療によって口元が下がってしまった場合は、表情筋のトレーニングを行いましょう。普段から表情筋を鍛える習慣をつけておくと、若々しい顔立ちをキープできます。
矯正治療による口元が下がってしまう症例は、筋肉の不足が影響していることが多いです。矯正治療で歯並びの見た目を整えた後は、トレーニングで口元を鍛えていきましょう。
歯列矯正で口元の下がりが気になったら
いかがでしたか。
今回は、矯正治療によって口元が下がる原因と対策についてお話ししてきました。矯正治療は歯を徐々に奥に動かしていくことで、口元が下がって見えることがあります。
しかし、こうした治療後のリスクは、事前にしっかりと歯科医師に相談することで回避することが可能です。「矯正治療を受けたいけど口元が下がるのは嫌」という方は、歯科医師としっかり相談した上で治療を受けましょう。