歯列矯正は何歳までできるの?
歯並びをきれいにするために、大人になってから矯正をする方が増えてきています。
しかし、歯列矯正と聞くと子供や20代くらいの方が受けるイメージあり、躊躇したり諦めている方もいると思います。
歯列矯正は見た目をよくするだけでなく、噛み合わせがよくなることで健康になったり、虫歯や歯周病の予防にもつながるといったメリットがあります。
「歯並びや噛み合わせは気になるけど、この年齢でもできるのかな?」という方に向けて、今回は歯列矯正は何歳までできるのかについて解説します。
歯列矯正に年齢制限はある?
歯列矯正は子供や20代くらいまでというイメージがあるかもしれませんが、歯列矯正には年齢の上限はありません。そのため、70代から矯正治療を始めて歯並びをきれいにした方もいます。
歯や歯ぐき、顎の骨が健康な状態で、認知能力にも問題なく、歯科医師と意思疎通がしっかりとれるようであれば、基本的に何歳でも矯正治療を受けることができます。
反対に、子供の場合は3歳くらいでは装置などはつけずに様子をみて、6歳頃になってから本格的な治療を開始することもあります。
歯列矯正を受けるために条件はある?
歯列矯正には年齢制限はありませんが、治療を受けるには条件があります。それは、歯や歯周組織の状態が健康であることです。
以下のことがあると、矯正治療がすぐには受けられない、治療が困難または矯正治療ができない場合があります。
- 虫歯がある
- 歯周病になっている
- 歯周病により歯を失った箇所がある
虫歯がある場合は、まず虫歯の治療をしてから矯正治療をすることになります。
軽度な歯周病でしたら、クリーニングやご自身での歯磨きを頑張っていただき、歯ぐきの状態がよくなってから、矯正治療に移行します。
しかし、重度の歯周病や歯周病によって歯を失っている場合は、矯正治療が受けられない可能性があります。
なぜなら、矯正治療は骨の代謝を利用しながら行う治療だからです。
歯周病により歯を支えている骨が少なくなっていると、矯正治療を行うことで、さらに骨が減り、場合によっては歯が抜けてしまう可能性もあるからです。
矯正治療に年齢制限はありませんが、治療を開始する年齢が高くなるほど、歯周病や歯を失っているといったトラブルはどうしても多くなってしまいます。
大人になってから歯列矯正を受けるメリット
大人になった今だからこそ歯列矯正を受けるメリットはあるのでしょうか。1つずつ見ていきましょう。
見た目・噛み合わせの改善
歯並びがきれいに整うと見た目の印象がよくなります。これは子供の時も同じですが、大人になってから行うことで、長年のコンプレックスが解消され、自信をもつことができ、表情だけでなく精神面にも大きな変化が出ることがあります。
人前に出るお仕事や接客業、営業職の方などは、口元の印象がよくなることでお仕事にもよい影響がでることもあるでしょう。
治療のスケジュールを立てやすい
子供の時だと顎の成長や乳歯の生え変わりのタイミングを考慮したりと、やりたい時に治療ができないことがあります。
一方、大人の場合は顎の成長が終わり、歯が生え変わることもないため、治療のスケジュールが非常に立てやすく、やりたい時に治療をスタートさせることができます。
スケジュールを予測しやすいことで治療費の管理がしやすく、追加治療が必要になることも少ないでしょう。
顎関節症や頭痛、肩こりが解消する場合がある
顎関節症や頭痛、肩こりといった体の不調は、歯列不正による噛み合わせのバランスが崩れ、顎や首周りの筋肉に過度な負担がかかることで起きていることがあります。
矯正治療で歯並びを整えることで噛み合わせがよくなり、筋肉への過度な負担が解消され、体の不調がなくなる可能性があります。
また、噛み合わせが正しくなることで物をよく噛めるようになります。
そうすると食事が楽しくなるだけでなく、表情筋が鍛えられ口元のたるみが解消される場合もあります。
虫歯や歯周病の予防ができる
歯並びが悪いと、歯ブラシがうまく当たらず磨き残しがある場合、虫歯や歯周病のリスクが高まり、口臭の原因にもなります。
矯正治療で歯並びをよくすると、歯磨きがしやすくなり歯垢を効果的に取り除くことができます。歯磨きがきちんとできていれば、虫歯や歯周病のリスクを下げ、お口の中を清潔に保てるでしょう。
また、歯並びや噛み合わせがよいと、食べ物をしっかり噛むことでできます。
よく噛むことで唾液の分泌が促され、細菌を洗い流し、お口の中が酸性に傾いたのを中性に戻してくれるため、虫歯のリスクを軽減できるでしょう。
大人の歯列矯正で注意すべきポイント・デメリット
大人の矯正にはメリットだけでなく、デメリットや注意すべきポイントがあります。こちらも1つずつ見ていきましょう。
虫歯や歯周病になるリスクが高まる
メリットで虫歯や歯周病の予防ができるとお伝えしましたが、矯正治療中はどうしてもリスクが高まってしまいます。
このリスクは、大人も子供も同じで、とくにワイヤー装置をつけた場合は歯磨きが難しくなり、通常時より磨き残しが増えてしまいます。
歯垢が残っていると虫歯や歯周病になりやすいだけでなく口臭の原因にもなるため、矯正治療中は念入りに歯磨きをしましょう。
また、歯間ブラシやフロスなどを使用してケアをしっかりと行うだけでなく、定期的に歯科医院でクリーニングを受けてお口の中を清潔に保つことが大切です。
歯ぐきが下がったり歯根吸収がおきる
大人の歯列矯正は子供の矯正と比べると、顎の骨が固いため歯が動きにくいです。
そのため、変に強い力をかけてしまうと、歯の根っこが吸収し短くなることがあります。
その際、歯ぐきにも負担がかかっているため、歯ぐきが下がり知覚過敏の症状が出る場合があります。
歯根吸収によって短くなった根っこは元に戻ることはなく、骨に埋まっている根の部分が短いため、歯周病や歯に強い力が加わった時に歯が揺れやすくなってしまいます。
治療期間が長い
成人の場合、歯と顎の成長が完了しているため、子供と比べると歯を動かしにくく、治療速度が遅くなりがちです。
歯列矯正は2〜3年かかると耳にしたことがある方もいると思いますが、症状や治療法、歯の動き具合によっては、3〜4年以上かかる場合もあります。
また、年齢を重ねれば重ねるほど骨は固くなるため歯を動かしにくく、治療期間が延びる傾向にあります。
矯正治療中は1ヶ月に1回など、定期的に歯科医院に通院します。
長期間に渡る矯正治療中に、転勤や結婚、出産などライフスタイルの変化があり、当初立てていた治療スケジュールに大きな影響がでることもあるでしょう。
そのため、ご自身のライフプランなど治療を始める前に歯科医師としっかりと相談した上で治療スケジュールを組み、少しでも変更があった場合はすぐに伝えてください。
まとめ
マウスピース矯正もワイヤー矯正も、年齢制限はとくになく、歯や歯ぐき、顎の骨が健康な状態であれば歯列矯正を受けることができます。
中でもマウスピース矯正は取り外しが可能でストレスが少なく、歯磨きをしやすいため虫歯や歯周病のリスクをワイヤー矯正よりは下げられます。ご高齢の方にもおすすめの矯正方法といえるでしょう。
歯列矯正はいつからでも始められますが、治療期間や歯の動きのことを考えると、早く始めるに越したことはありません。
矯正治療は見た目だけでなく、健康面にもメリットがあります。
コンプレックスや不調を抱えて生活を続けるのではなく、これからの人生を豊かに健康に過ごすために、歯列矯正を受けるのも1つの方法でしょう。
少しでも歯並びが気になる場合は、まずは歯科医院に相談に行くことをおすすめします。