子どもの歯並びが悪い。今からできることはある?
お子さんがいる方にとって、子どもの歯並びは気になることの一つだと思います。
歯並びは遺伝が関係している部分もありますが、生活習慣や食習慣などによって変化することも非常に多いです。
実際に歯並びが悪くなってから矯正治療を行うことは可能ですが、子どものうちの軽微な歯並びの乱れであれば、歯並びが改善することもあります。また、歯並びが悪くなる要因を避ければ、将来的に矯正治療をしなくて済む可能性もあります。
そこで今回は、子どものうちからできる歯並びをよくする対策を解説していきます。
子どもの歯並びが悪いとどうなる?
お子さんの歯並びが悪い場合、一番気になるのは見た目だと思いますが、問題はそれだけではありません。さまざまな悪影響について一つずつお伝えします。
見た目がコンプレックスになってしまう
近年、歯並びの重要性が伝わり、小さな頃から歯並びを整えるご家庭が増えています。
そのため、歯並びが悪いとお友達の中でも目立ったり、指摘されることがあります。
これが原因で、歯並びをコンプレックスに感じ、積極性を失ったり、人前で笑えなくなることもあります。
虫歯や歯周病になりやすい
歯並びが悪いと、食べ物が詰まりやすくなったり、歯磨きがしにくくなることがあります。
親御さんによる仕上げ磨きもしにくくなるため、虫歯を作りやすくなります。
また、口を閉じにくい歯並びの場合、口腔内が乾燥して虫歯や歯肉炎、将来的には歯周病になるリスクも高まります。
食事がしにくい
歯並びが悪いと、前歯で噛み切ったり奥歯ですり潰ぶすことが難しく、食べにくさを感じます。
これにより食事に時間がかかり、周囲から指摘されることでプレッシャーを感じることもあります。
さらに、丸呑みすることで胃腸に負担がかかり、消化不良を引き起こすことがあり、場合によっては、食事自体を苦痛に感じるようになる可能性も考えられます。
発音しづらく滑舌が悪くなる
すきっ歯や前歯が飛び出ていると、話す時に空気が漏れやすく発音がしにくい場合があります。また、舌を正しい位置に置きにくいため、滑舌が悪くなることがあります。
特に小学生になると、発表や音読など人前に話す機会が増えるため、滑舌の悪さがコンプレックスにつながることがあります。
体の歪み・全身への負荷がかかる
歯並びが悪いと、顎の左右バランスが乱れ、身体の骨格バランスが崩れる原因となります。
これにより、顎関節症や首・肩の痛み、腰痛、背骨の歪み、真っ直ぐ立てない、きちんと座れないなどが生じる場合があります。
年齢別!子どもの歯並びをよくする取り組み
お子さまの歯並びをよくするために、年齢別にできることを紹介します。
乳幼児期(0~2歳)
お子さんによって差はありますが、1年以上の母乳育児は鼻呼吸を促します。
また、口周りの筋肉の発達を促し、舌を正しい位置に置きやすくすると言われています。これらが歯並びの乱れの予防につながります。
哺乳瓶は母乳と比べると簡単に飲めるため、口周りの筋肉の発達にやや差が出る場合があるとされています。
離乳食に移行してからは、前歯で物を噛み切り、奥歯ですり潰すといった機能を正しく使うことで、口周りの筋肉や顎のバランスの正しい発達を促すことが大切です。
他には、寝る姿勢は一定の向きでなく、様々な方向で寝かせることが良いとされています。うつ伏せ寝は安全面においても問題がありますが、顎の骨格の歪みにつながることがあるので、できる限り避けたり長時間させないようにしましょう。
幼児期(3~5歳)
この時期は食事中の姿勢に特に気をつけましょう。大人用の椅子に座り足がぶらぶらする状態は、姿勢が悪くなる要因です。足の裏がしっかりつけられる椅子や台を使うのがおすすめです。
食べ物をよく噛んでから飲み込むことは、口周りの筋肉・顎の発達を促進するため、口を閉じてしっかりと噛んで飲み込ませるようにしましょう。また、噛みごたえのあるものも食事に取り入れ、よく噛む癖をつけるのも良いでしょう。
指しゃぶりやおしゃぶりは4歳を目安にやめさせましょう。歯の乱れや出っ歯、前歯が噛み合わない「開咬」の原因になる可能性があります。
小学生期(6~11歳)
6~7歳頃は矯正装置を使った治療開始に適した時期ですが、これ以降であれば治療は可能です。
口呼吸や舌を突き出す、唇や爪を噛む、頬杖、うつ伏せ寝などの口周りに力のかかる癖は骨格や歯並びを崩す原因になります。また、テレビ、ゲーム、スマートフォンなどを使用するときは、姿勢にも気を付けましょう。
顎が成長する時期でもあるため、硬い食材を取り入れて、よく噛む習慣をつけることも大切です。
永久歯の発育(12~14歳)
乳歯が抜けて永久歯への生え替わりが終わる頃です。顎の成長は15歳頃まで続くため、引き続き口呼吸やうつぶせ寝、頬杖、姿勢の悪さなどの悪習癖に気をつけましょう。
歯並びを悪くしないための予防対策
歯並びをよくするためには、歯並びを乱す行動をしないことが大事です。
姿勢をよくする
姿勢が悪いと、前歯で物を噛み切る、奥歯ですり潰して細かくする機能が十分に働きません。そうすると、顎や口周りの筋肉の発達が促されず、歯が並ぶためのスペースが不足して、きれいな歯並びになりにくいです。
普段から姿勢をチェックし、姿勢が悪い場合は改善していきましょう。
正しい姿勢を維持するには筋力も必要です。外遊びで体をたくさん動かしたり、ストレッチすることも大切です。
虫歯を作らない・放置しない
「乳歯に虫歯があっても、永久歯に生え変わるからそのままでいいかも」と思う方もいるかもしれませんが、乳歯の虫歯は永久歯の歯並びにも影響を与えるため、軽視してはいけません。
実際に、乳歯がひどい虫歯になり早めに乳歯を失ったせいで歯が移動して、永久歯が生えるスペースがなく歯並びが悪くなるということがあります。
乳歯の段階から虫歯を予防し、正しい生え替わりの時期に乳歯が抜けるようにしていくことが大切です。
鼻呼吸を意識する
口呼吸は、口周りの筋肉の発達を妨げて歯並びを乱す原因になります。また、口腔内が乾燥することで、虫歯や歯肉炎、口臭を引き起こしやすく、風邪も引きやすくなります。
もし鼻炎で口呼吸になるお子さまは、耳鼻科での治療も並行して行いましょう。
食事はしっかり噛む
しっかりと噛むことは、顎と口周りの筋肉の発達を促すだけでなく、唾液の分泌も活発になり、虫歯や歯肉炎の予防につながります。
一口30回は噛むと良いと言われています。
小さい頃から適度に硬いものを食べ、大きいままでも噛み切ってよく噛んで食べることが大切です。
定期検診に行く
定期検診では、虫歯や歯肉炎だけでなく、歯並びや噛み合わせのチェックも行います。
歯科医師と歯科衛生士が定期的に継続してお子さんの口をチェックすることで、現在だけでなく将来の歯の状態を予測し、問題が起こらないような予防ができます。
まとめ
今回は、子どもの歯並びをよくする対策についてお伝えしました。
乳幼児期から姿勢や食事の噛み方に気を配ることで、歯並びの乱れを予防できます。
早めの矯正治療が必要な場合もあるため、気になる場合は歯科医院に相談しましょう。