インプラント・矯正治療を始める前に知っておきたいこと ◆第七回◆
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咀嚼(そしゃく)が脳に及ぼす影響 〜河合 毅師〜
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前号でインプラントを応用した入れ歯についてお話させて頂きました。今回は様々な咀嚼形態が脳に及ぼす影響についてお話しさせて頂きます。
近年では歯の欠損と認知症との相関関係が囁かれています。認知症とは、脳細胞の減少等が原因で、学習能力・記憶能力が低下した状態をいいます。一般的に、脳細胞は減少する一方で増加することはないといわれています。つまり、年齢を重ねるごとに認知症になりやすくなるのは、脳細胞の減少が原因です。ところが、調査の結果、認知症の高齢者の方は健康な高齢者より、歯の残存数が平均で5本も少ない事がわかりました。それは、よく噛んで食事を取れば取るほど、脳を刺激し脳細胞の減少を防ぐ事ができるからです。しかし、歯の本数がすくなくなればなるほど、食事をよく噛む事が出来なくなり、脳への刺激が行き届かなくなります。その結果、脳細胞の減少へつながり、認知症になってしまう確率が上昇しています。
− 義歯よりインプラント –
神奈川歯科大学脳神経科学教授、咀嚼と脳の研究所小野塚實所長の発表によると、fMRIという脳の活性化部位を測る機械を使って、入れ歯と、インプラントの患者にものを咀嚼させたときの脳の反応を調べたところ、インプラントと健常歯の場合は同様の脳の活性を示すのに対して、義歯の場合は部分入れ歯から総入れ歯と入れ歯が大きくなるに従って、脳全体が異物感を示す活性化を表し、特に、ストレスを感じている指標となる扁桃体という部分が反応していることが分かっています。部分入れ歯をインプラントに置き換えると、この扁桃体の活性がみられなくなります。これらのことから、入れ歯は、多くのストレス・異物感を脳に与え続けるのに対して、インプラントは、健常歯と同様に、脳に快適な状態を提供していることが確認されています。脳科学から見ると患者さんのためには、入れ歯よりインプラントなのです。
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矯正器具ってどうやってつけるの? 〜藤田 博紀〜
− 二種類の接着法で −
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矯正器具で代表的なものとして「ブラケット」と呼ばれる装置があります。ブラケットの歯面への接着剤としては、光重合タイプ・化学重合タイプの2種類があり、双方とも虫歯治療に用いられる“白い詰め物”であるレジン系の材料と同じです。光重合というのは、接着剤やレジンというペーストを光で硬化させる様式で、化学重合というのはそれらの材料を混ぜ合わせて、硬化するのを数分間待つ様式です。下記のような長所・短所がそれぞれあります。
【光重合】
長所:硬化スピードが速い(5秒程度)
短所:光が到達していない部分が未重合になってしまい接着力が劣る場合がある。金属、プラスチック、ポーセレンなどに対して十分な接着力が発揮できない場合がある。
【化学重合】
長所:金属、プラスチック、ポーセレンなどあらゆる材質のものに強固な接着力を発揮できる。
短所:硬化スピードが遅い(数分程度)そのため、硬化を待っている間、防湿を完全に行う必要がある。
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執筆者紹介
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●河合 毅師(かわい たけし):アトラスタワー歯科 インプラントセンター長 / 印西総合病院総合歯科センター インプラント科 科長 / 東京大学医学部付属病院 顎口腔外科 臨床登録医 / 厚生労働相認定歯科医師臨床研修指導医 / 2003 東京医科大卒 歯学博士(口腔外科専攻)/ 2009 中目黒インプラントセンター長(アトラスタワー歯科内)
●藤田 博紀(ふじた ひろき):アトラスタワー歯科 院長 / 厚生労働者認定歯科医師臨床研修指導 / 1987 広島大学歯学部卒 / 1993 フジタ歯科開業 / 2009 アトラスタワー歯科開業
●山手会 アトラスタワー歯科
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