大人の矯正についてメリット・デメリットを解説
大人になってからの矯正は遅い?と疑問に感じる方も多いでしょう。確かに子どもの頃・早い段階で矯正ができれば、その後の長い人生で、歯並びや発音を気にせず過ごせるかもしれません。
しかし、矯正治療に遅いはありません。大人になって始める矯正のメリットとデメリットをしっかり解説します。
大人になってからの矯正はデメリットしかない?
「大人になってからの矯正はデメリット?」といった質問を受けることがあります。どの治療にも言えることですが、デメリットがあればメリットもあります。
大人の矯正で気になるところといえば以下の3点でしょう。
- 痛み(成長した分痛みが増すのでは?)
- 期間(子どもに比べて長くかかるのでは?)
- 費用(期間が長い分高額になるのではないか?)
ひとつずつ詳しく解説していきます。
先にお伝えするならば、「デメリットの一つひとつは克服できる」ということです。
大人の矯正は痛い?
歯の矯正は、噛み合わせや歯並びが悪いなどの理由から行われます。
歯を支えている顎の成長は思春期が終わるぐらいまでの15〜18歳といわれているので、20歳では顎の成長はほぼ完成しています。
矯正では歯の位置を動かしていくため、どうしても顎に負担がかかってしまいます。子どもの頃は顎も成長段階のために動きが柔軟でしたが、大人の矯正では歯を動かすことで顎にかかる負担が痛みとなって伝わりやすくなります。
そのため、最初から矯正ができない例として、顎関節症があげられます。矯正を行う前には、顎関節症になっていないかもきちんと調べる必要があります。
矯正治療中に生じる痛みについては歯の動きによる痛みだけでなく、矯正器具が口内で接触し痛みや違和感を感じる方もいます。
矯正治療での歯の動きは緩やかなため、装置をつけてしばらくは痛みを感じることがありますが、時間の経過とともに痛みは和らいでいきます。また、器具による痛みは微調整により改善できる場合もあるので、我慢できないような痛みがあるときは担当ドクターに相談しましょう。
矯正の期間は平均2~3年
子どもの矯正は顎の成長の柔軟性もあり、全体矯正であっても半年〜1年ほどで終わるケースがほとんどです。大人の矯正の場合は、顎の成長が完成された状態のため、子どもの矯正と比べてしまうと時間がかかります。
大人の矯正にかかる期間は、ワイヤー矯正・マウスピース矯正のどちらの場合でも、平均2〜3年とやや長めです。顎が発達段階の若いうちの矯正をすすめられるのは主に期間の短さが理由の一つでもあります。
費用は治療方法と期間によって変動
矯正はお金がかかる、これは事実です。例外もありますが、矯正治療は保険適用外のため自費で支払わなければなりません。
矯正にかかる費用ですが、一口に矯正といっても治療方法の選択肢が増えており、費用の変動も大きくなっています。
全体矯正か部分矯正か、ワイヤー矯正かマウスピース矯正か、通院型かオンライン型か、代表的なところでも様々な選択肢があります。
従来型のワイヤー矯正の費用は、部分矯正から全体矯正まで幅はありますが、一般的に60万〜100万円程度です。ただし、期間は前述したように2〜3年間かかりますし、通院を必要とします。
一方、次世代式矯正と言われるマウスピース矯正は費用の幅がさらに大きくなっています。
マウスピース矯正は、歯を緩やかに動かしながらマウスピースを変えていく手法です。全体矯正の場合は、最終的に20枚以上マウスピースを取り換えるというケースもあります。インビザラインでマウスピース矯正をした場合は、通院型でおおよそ30万〜120万円程度が目安となります。
大人になったからこそ矯正をおすすめしたいメリット
大人の矯正に関わるデメリットについてお伝えしてきました。次に大人の矯正のメリットを解説します。
- 見た目が改善され、コンプレックスの解消に繋がる
- 歯と歯茎全体が健康になり歯周病予防になる
- 体全体の健康にも繋がっていく
ひとつずつ詳しくご紹介しましょう。
見た目が改善され自然な笑顔に
歯並びが悪いと、「つい歯を隠してしまう」、「あまり歯茎が見えるように喋らない」、こうした経験をお持ちかもしれません。
大人になると仕事上で人前に立つシーンも増えるため、矯正治療により口元に自信を持てるようになると自然に笑顔も増えることもメリットの一つです。
歯周病予防にもなり口内全体の健康に繋がる
矯正が必要とされるケースは、歯の噛み合わせの問題がほとんどですが、歯がきれいに並んでいないというだけで歯磨きが非常に困難になってしまいます。通常、きれいな歯の状態であっても、口内には何百億という細菌が潜んでおり、その全てをブラッシングでは除去しきれません。
特に、大人の場合には過去に虫歯治療を経験している方がほとんどです。虫歯治療で使用した詰め物・被せ物は人工物のため、歯との隙間に汚れが生じやすくなり、さらなる虫歯や歯周病リスクが高まっています。
矯正して歯列が整うことで歯磨きがしやすくなり、口内環境も改善されていきます。また、矯正をきっかけに「きれいな歯を維持しよう」という気持ちで虫歯予防・歯周病予防への意識も高められるのではないでしょうか。
歯が健康が身体の健康に繋がる
歯の健康は、体全体の健康といっても過言ではありません。
よく「歯が痛いと頭痛がする」といわれます。身体中の痛みは全て神経を通じて脳が受け「痛い!」と判断しています。歯の痛みの場合、歯の痛みを脳に伝える三叉神経(さんさしんけい)が顔全体・こめかみ近くにまで張り巡らされているため、歯の痛み情報が、「こめかみも痛い」情報として伝わってしまうのです。そのため、歯が痛いと頭痛がするという症状を引き起こしてしまいます。
また、歯の健康は噛む力にも影響します。食べ物をよく噛んで美味しく食べることは幸せなことです。噛む力が弱くなり、そもそも歯がなくなっていくと、食事から栄養を摂取できなくなってしまいます。食欲を失うと、人間の幸福感は薄れ、心身ともに衰えてしまうといった、オーラルフレイル(口腔の衰え)の考え方もあります。
矯正は、心と体の健康も手に入れる手段の一つとも言えるのです。
まとめ
いかがでしたか?
今回は大人の矯正に関わるメリット・デメリットをお伝えしてきました。矯正に遅いはありません。これからの人生を豊かにするために、矯正治療を選択肢のひとつとして考えてみてください。
治療法や価格・期間についても多くの選択肢が増えてきています。しかし、受けるなら一生に一度、ご自身で納得できる治療となるために、矯正についての十分な理解が必要です。
当院では矯正治療に関する情報を他にも発信しています。
ぜひ最良の治療選びにお役立てください。