マウスピース矯正ができない例を徹底解説
歯列矯正といえば、歯にワイヤーを通す「ワイヤー矯正」が思い浮かぶ方は多いでしょう。以前から歯列矯正といえばこれ、といったぐらいに認知されている矯正方法です。
実際に、歯列矯正のほとんどはワイヤー矯正で解決できるといわれています。
しかし、ワイヤー矯正は見た目が悪い・痛みが強そうといった理由から敬遠されがちです。
そこで最近話題になっている歯列矯正が「マウスピース矯正」です。
- 矯正中も見た目が気にならない(矯正していると気付かれにくい)
- 取り外しが可能(食事も歯磨きもいつも通りに行える)
メリットだけを取り上げると、マウスピース矯正で歯列矯正をしたい!となるかと思います。
しかし、マウスピース矯正ができない例もあるのはご存知ですか。
ワイヤー矯正は歯列矯正のほとんどを解決できると前述しましたが、マウスピース矯正は実は万能とは言い難い面があります。
ではマウスピース矯正ができない例はどんな場合なのか。
詳しくみていきましょう。
マウスピース矯正とは?
そもそもマウスピース矯正とはなにか。おさらいしておきましょう。
比較として先に説明しておきたいのが、ワイヤー矯正です。
ワイヤー矯正では、歯の表面にブラケットと呼ばれるワイヤーを通す装置を取り付けます。このブラケット(主に銀色の金属製)とワイヤーが目立ってしまうため、矯正中の見た目が悪いと敬遠されてしまうのです。矯正は場合によっては1年以上続く長い治療ですから、見た目を気にされる方も多くなるのは当然でしょう。
ただし、ワイヤー矯正にも最近では「ホワイトワイヤー」と呼ばれる目立たないワイヤーを使用する技術が登場しています。ブラケットも目立たない色が揃えられています。
ですから、ワイヤー矯正の見た目の悪さというデメリットは改善されてきているのです。全ての治療で使えるかはドクターの判断にもよりますが、ワイヤー治療の選択肢は増えてきています。
話をマウスピース矯正に戻します。
ワイヤー矯正の見た目の悪さ・痛い・治療中はワイヤーを外せないといったデメリットを克服したのがマウスピース矯正です。
マウスピースは、歯をガードするものとしてスポーツでも用いられます。矯正で使用するマウスピースもイメージとしてはそのままで、歯に被せて歯列矯正を行うものです。
マウスピース矯正では、透明なマウスピースを歯に被せます。マウスピースを被せた状態で1日20時間ほど過ごします。ですから、食事の時に外すことも可能ですし、歯磨きも通常通りに行うことが可能です。
矯正したい歯を理想の位置へゆっくりゆっくりとマウスピースで誘導していくようなイメージです。一定期間使用し次段階のマウスピースに交換します。歯の移動を想定してマウスピースを何枚も変えていくのです。完了までに20枚以上、多いと70枚近くのマウスピースを交換していくケースもあります。
マウスピースを交換するため、衛生面での問題は少ないと考えられています。
こうしてみていくと、マウスピース矯正は治療中の負担も少なくメリットしかないように思えます。
しかし、「ゆっくりと歯を移動させる」という特徴から、重度の歯並びの悪さ・噛み合わせの悪さなどには対応しきれません。動かす歯が多い際には、マウスピース矯正は不向きなのです。
マウスピース矯正のメリット・デメリット
一般的なワイヤー矯正との違いはお分かりいただけたでしょうか。
では、マウスピース矯正のメリットとデメリットをまとめていきます。
マウスピース矯正のメリット
- 見た目が気にならない
- 緩やかなスピードで歯を動かすため痛みや刺激も少ない
- マウスピースを取り外すことができるのでブラッシングもしっかりとできる
マウスピース矯正はメリットだらけのように思えますが、実際には自己管理がとても重要です。
忘れずにマウスピースを装着する、歯周病にならないようにブラッシングをしっかりと行うといったことができないと、計画通りに矯正治療を進めることはできません。
マウスピース矯正のデメリット
- 重度の歯並びの悪さには対応できない
- 動かす歯が多い際には対応できない
- 「部分矯正」であれば対応可能
- 装着時間を守る必要があるため、自己管理が必要
歯並びを形成する要因は様々です。歯並びが悪いだけだと思っていたら、顎の骨に問題があったと分かれば、そもそも歯列矯正ではなく外科手術が必要になってきます。
また、メリットの補足でお伝えしましたが、自己管理はとにかく重要です。装着時間を守るだけでなく、歯科医院での定期的なメンテナンスも欠かさないようにしましょう。
マウスピース矯正ができない例は?
それではマウスピース矯正ができない例を詳しくみていきましょう。
重度な歯並びの悪さに対応できない
特に「出っ歯」の場合、マウスピース矯正は難しいといわれます。その理由は、マウスピース矯正の緩やかな動きは、歯を内側・外側に動かすことは得意だけれど、前や後ろに平行移動させることは不得意なのです。
歯の特徴として、歯の間に隙間があると移動しようとします。前や後ろへの移動はスペースを利用した歯の動きとは異なるため、マウスピース矯正での改善が難しいと言われています。
インプラントが入っている場合
インプラントは、歯を失った際(抜歯など)に人工歯根となる金属を顎の骨に埋め込み、その上に歯の形を被せる治療です。
マウスピース矯正では歯を緩やかに動かすとお伝えしました。しかし、インプラントは金属の歯根を利用しているので、天然の歯のように動かすことはできません。
すでにインプラントが入っているけど矯正したいといった方は、まず歯科医院に相談してください。
この他にも、マウスピース矯正では改善できない場合があります。専門家であるドクターは、患者さんの歯の状態・健康状態も含めた上で最適な治療提案をしてくれるので、ドクターとのカウンセリングを重ねることが大切です。
自分の歯並びならマウスピース矯正ができるはずと判断することなく、ドクターと一緒にどんな矯正方法が向いているかを考えていきましょう。
まとめ
いかがでしたか?
マウスピース矯正ができない例について詳しく解説をしてきました。
歯並びが良ければ笑顔も増え、歯並びが悪いことで感じていたコンプレックスを克服できる場合もあるでしょう。
マウスピース矯正がしたいと歯科医院で相談してもワイヤー矯正を勧められるかもしれません。それは、あなたのお口の状態からドクターが判断した結果といえます。しっかりとドクターの話を聞き、ご自分にあった適切な歯列矯正を選択しましょう。
選択肢で困った際にはぜひこの記事をお役立てください。
さまざまな選択肢がある矯正治療ですが、見た目や予算の他にも、治療中にどう過ごしたいかなども視野に入れて比較してみてください。