インプラントのメリット・デメリットを知りたい!治療方法も解説

近年、入れ歯やブリッジと並び、耳にするようになったのがインプラントによる治療です。
インプラントは従来の治療と比べても多くのメリットがあり、普及するようになりました。

この記事では、インプラントの治療を行う前に、知っておくべきメリットやデメリット、治療方法について解説します。インプラント治療を考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。

インプラントとは

インプラントとは、体内に埋め込む医療器具・材料を指す言葉です。しかし、一般的には歯科で扱うあごの骨に埋め込む「人工歯根」を指す言葉として用いられることがほとんどです。

インプラント治療を受けるには

インプラントの治療は、次のような方を対象としています。

  • 虫歯や歯槽のう漏、事故やケガなどで歯を失った方
  • 先天的に歯がない方


治療は、1本の歯から全ての歯まで対応が可能です。しかし、誰でも治療を受けられるわけではありません。インプラントの治療は手術が必要なため、次に当てはまる場合は治療が受けられないケースもあります。

  • 全身の状態が悪い方
  • インプラントを埋め入れる予定部位のあごの骨が丈夫ではない方


また、次の既往症がある場合も注意が必要です。

  • 循環器系疾患
  • 呼吸器系疾患
  • 糖尿病
  • 骨粗しょう症など


その他にも歯周病等の基礎疾患がある場合は、歯科医師への相談を必要とします。

インプラントのメリット

ここからは、インプラントの治療のメリットについて詳しく解説していきます。

審美性に優れている

インプラントは被せ物にセラミックやジルコニアなどを使用します。そのため、天然の歯とあまり変わらない見た目にすることが可能です。

また、入れ歯やブリッジのように金具が見えたり、不自然な色味であったりして、見た目の印象が悪くなることもありません。
そのため、会話や食事のように口元が見えてしまう場面でも、気兼ねなく過ごすことができます。

耐久性が高い

インプラントは適切なメンテナンスを行うことで、長持ちさせることができます。インプラントは主にチタンやチタン合金という金属で作られており、メンテナンス次第で10年以上、使い続けた方もいるそうです。

これらの金属は、生体親和性に優れ、あごの骨としっかり結合するので、強く噛み締めても耐えられる強度があります。

他の歯への負担が少ない

インプラントにすることで、周囲の歯の負担をなくすことができます。インプラントの治療は、人工歯根を1本1本埋め込み、独立した歯にする治療方法だからです。

たとえば、ブリッジや入れ歯の場合、周囲の歯を削ったり負担がかかったりするため、歯の寿命が短くなるリスクがあります。したがって、インプラントは周囲の歯をできるだけ守りたい方におすすめです。

本物の歯と同じように咀嚼できる

インプラントは、人工歯根の上に被せ物が入るため、根っこの機能が回復した形になります。そのため、本来の自分の歯のような感覚で咀嚼でき、違和感なく食事を楽しむことが可能です。

インプラントのデメリット

インプラントには、3つのデメリットがあります。それぞれ詳しく解説します。

治療が保険の対象外

インプラントは原則的に保険適用外で自費診療です。ですが、次のような方は健康保険が適応になる場合があります。

  • 外傷・腫瘍であごの骨を失った方
  • 骨移植を行った方
  • 先天的に歯やあごの骨がない方


該当する方は治療を受ける前に、歯科医師へ相談しましょう。また、健康保険の適応にならなかったとしても、医療費控除の対象なので治療費の負担を軽減することができます。

治療期間が長い

インプラントの治療期間は一般的に3〜6ヶ月、長いと1年以上といわれています。しかし、そのほとんどは免荷期間というインプラントと骨が結合するのを待つ期間です。
そのため、実際に治療を目的に通院するのは1本の歯の場合、4〜7回程度が平均といわれています。

定期的なメンテナンスが必要

インプラントは、手術の後も年に3〜4回の定期的なメンテナンスを必要とします。メンテナンスを怠るとインプラントの脱落につながり、長期的な使用ができなくなる恐れがあるからです。

また、定期的なチェックとメンテナンスはインプラント周囲炎の予防にもつながります。
しかし、天然の歯でもメンテナンスが必要なのは同様です。加えて、天然の歯は一度失うと二度と戻ってくることはありません。天然の歯を守るためにも、インプラントを長持ちさせるためにも定期的なメンテナンスは必要不可欠です。

インプラント治療の流れ

ここからは、インプラントの治療の流れについて解説します。

インプラントの手術には、一度の手術で終わらせる「1回法」と、二度の手術で完了させる「2回法」の2種類の手術があります。
手術の回数が少ない方が良いと感じるかもしれませんが、「2回法」の方が感染リスクが低く、短時間で終わるので身体への負担も下げることができます。

ここでは、「2回法」の治療の流れについて解説していきます。

カウンセリング

まずは、歯や口腔内、全身の状態などを確認します。次に、どのような治療を行うのか、手術の成功率や起こり得るリスク・デメリットについての説明を受けます。

その後、術前検査としてCT撮影や歯周病の検査などを行います。とくに、歯を支えるあごの骨には神経や血管が数多く通っているため、歯科専用のCTスキャンを用いて行なわれます。

一次手術

手術は一般的な歯科治療と同様に、局所麻酔で行われます。歯科治療が苦手な方や不安感の強い方は、リラックスした状態を作る「笑気麻酔」、半分寝た状態になる「静脈内鎮静法」を併用することも可能です。
また、「静脈内鎮静法」は健忘作用があるため、手術後には治療中のことを覚えていないという特徴もあります。一次手術では、あごの骨にインプラントを埋め込む段階まで進めていきます。

具体的な手術の流れは以下の通りです。

  • 歯ぐきを切開したらドリルを使って、インプラント体を埋めるための穴をあごの骨に開ける
  • 開けた穴にインプラント体を埋め込み、上部の穴にカバーを被せる
  • 切開した歯茎を縫い合わせる


所要時間はインプラントの本数にもよりますが、一般的に1〜3時間程度といわれています。早い場合だと20分ほどで終わることもあります。

二次手術

一次手術から3〜6ヶ月後にインプラント体があごの骨としっかり結合したら二次手術を行います。二次手術はインプラントと人工歯を接続させるアバットメントの取り付けが目的です。

具体的な手術の流れは以下の通りです。

  • カバー上の粘膜(歯ぐき)を切開し、カバーを外す
  • 人工の歯を装着するためのアバットメントを取り付ける


手術時間はインプラント1本につき5〜15分ほどです。
仮歯の調整なども含めると1本につき約1時間ほどかかります。

型取りをする

人工歯を入れるための型取りを行います。変形が起きないようシリコーンゴムでできた材料を使うことが多いです。

人工歯装着

できあがった人工歯は、スクリューでしっかりと留めたり、セメントを用いて固定したりして装着します。歯ぐきは切開はしないため、手術の必要はありません。

定期的なメンテナンス

手術後は歯科医院での定期的なチェックとメンテナンスが必要です。適切なケアを行わないとインプラント周囲炎を起こす可能性があるため注意しましょう。

まとめ

インプラントは自分の歯と変わらない咀嚼ができるなどメリットも多い治療です。しかし、治療が保険の対象外であったり、定期的なメンテナンスが必要だったりとデメリットもある治療法となっています。

インプラントの治療をご検討されている方は、そのようなデメリットもしっかりと理解した上で、治療に臨むようにしましょう。

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