ワイヤー矯正中に歯石がついてしまったら?

ワイヤー矯正中は、歯石がつきやすい傾向にあります。歯石の除去は、虫歯や歯周病を予防するためにも必要な工程です。歯石を取る必要性を感じていない人も多いですが、歯石を取ることで口元の印象も向上します。また、歯石取りでは血が出てしまうこともあり、できるだけしたくないという人もいることでしょう。

この記事では、ワイヤー矯正中の歯石除去の重要性、ケアを行う頻度や方法について解説します。
「ワイヤー矯正中の人」「これからワイヤー矯正を始める予定のある人」は、ぜひ参考にしてみてください。

歯石取りで得られる3つの効果

歯石取りを行うことで、以下の3つの効果が得られます。すでに口腔環境で気になる部分があるという人は、歯石取りを検討してみましょう。

虫歯や歯周病を予防できる

歯石は歯垢や歯茎の炎症を引き起こし、取り除くことで虫歯や歯周病を予防できます。特に、ワイヤー矯正中は歯磨きが十分に行えていない場合が多く、虫歯や歯周病になりやすい口腔環境といえます。
虫歯や歯周病になってしまうとその治療に時間がかかってしまい、矯正治療が計画通りに進まなくなることがあります。

また、歯石は歯茎の奥深くにまで広がることがあり、そうなると歯茎を切開しないと取り切れないことがあります。歯茎の炎症はのちのち歯茎が下がる原因にもなるので、歯石は早めに除去しましょう。

口臭を抑えられる

歯石は表面がザラザラしているため歯垢が付着しやすく、歯垢の中の細菌が毒素を出すことで口臭の元になってしまいます。
そのため、ワイヤー矯正を始めてから口臭が気になるようになったという人は、歯磨きの不十分さが原因で歯石ができ、歯垢が溜まっている可能性があります。
少しであれば口臭が気にならないこともありますが、溜まっていくことで口臭が気になっていくため注意が必要です。
歯石はできてしまうと自分で取り除けないため、歯科医院で取り除いてもらうようにしてください。

着色汚れを落とせる

歯石は歯の表面にできるため、触るとデコボコになっているのがわかります。先程述べましたが、表面のザラザラは汚れがつきやすく、着色汚れの原因にもなります。また、ワイヤー矯正中は歯の表面に装置を装着するため、普段よりも着色汚れがつきやすいといえます。

歯石の上についた着色でしたら、歯石を取ることで付着した汚れも一緒に落ちます。しかし、歯の方についた着色は歯石を取るだけでは落ちず、専用の器械や研磨剤を使って落とします。

着色汚れは第一印象を下げてしまうほか、清潔感がないと思われてしまう場合もあります。そのため、着色汚れが気になる方は、歯石取りと同時にクリーニングもお願いしましょう。

ワイヤー矯正中の歯石取りについて

ここからは、ワイヤー矯正中の歯石取りについて解説します。歯石取りに適した頻度の目安についても解説しているので、ぜひ参考にしてください。

矯正中でも歯石取りは可能

ワイヤー矯正中だと、ワイヤーやブラケットが邪魔して歯石取りができないと考えてしまう人も多いでしょう。しかし、ワイヤー矯正中でも問題なく歯石取りを行えます。
ただし、ワイヤーがついたままでは歯石が取りにくいため、一度ワイヤーを取り外してから歯石を取り除く場合もあります。ワイヤーの取り外しは矯正歯科のみで、一般歯科では行えません。
矯正の治療内容に歯石除去の項目が入っていることもあるため、一度歯科医師に確認しましょう。

基本的に歯科医院で歯石取りを行う

矯正歯科では、歯石取りが治療範囲外になってしまう場合があります。また、矯正を専門とする歯科医院は、歯周病や虫歯に関する治療を行わないといった可能性も高いです。
その場合は、矯正歯科でワイヤーを外した状態で一般歯科へ行き、歯石取りを行うといいでしょう。
また、一般の歯科医院ではワイヤー矯正中の歯石除去に対応していない可能性もあるので、ワイヤー矯正中の方は、かかりつけの歯科医院で歯石除去ができるのか確認しましょう。

歯石取りは1~2ヶ月に1回が目安

歯石取りは口の中の状態にもよりますが、2〜3ヶ月に1回行うのが目安です。しっかりと歯磨きを行っており、歯石がついていないのであれば6ヶ月に1回ほどでも問題ありません。

矯正歯科では、装置を調節するタイミングで歯石を取る場合もあります。歯磨きの時間を十分に確保できないという人は、こまめに歯石取りを行うようにしましょう。

歯石がつきやすい人の特徴

歯石のつきやすさは、人によって異なります。だからこそ、歯石がつきやすい人は念入りにケアを行うようにしてください。

歯石がつきづらいからといってケアを怠っていいわけではありませんが、自分が歯石がつきやすいかどうかを知っておくと、歯石取りの頻度をある程度予測できます。

唾液の分泌量が多い

唾液には、再石灰化を促す作用があります。歯石は唾液に含まれるカルシウムなどのミネラルと歯垢が結びついてできるため、唾液の量が多い人ほど歯石がつきやすいとされています。
再石灰化とは、虫歯菌などによる酸がエナメル質表面にある無機成分を溶かし、再度歯の表面に形成することです。
再石灰化は初期の虫歯の進行を抑制する力がありますが、うまく歯ブラシができておらず虫歯ができやすい人は、歯石がつきやすい人ともいえます。

唾液がアルカリ性

唾液が酸性に傾くと、歯の表面のカリウムやリンが溶け出します。これにより虫歯ができやすくなるため、アルカリ性に傾けたいと考える人が多いでしょう。
しかし、アルカリ性に傾いた歯は歯石がつきやすい傾向にあります。歯石は、前述の通り歯垢が唾液内に含まれるカリウムやリンを結びつくことでできます。
そのため、アルカリ性の唾液は虫歯はできづらいですが、歯石がつきやすいです。

唾液がサラサラしている

唾液がサラサラしている人も、歯石がつきやすいとされています。
理由は、サラサラとした唾液は再石灰化しやすいからです。
サラサラな唾液は、ネバつきのある唾液よりもいいといわれることが多いですが、歯石のつきやすさだけに着目すると悪い傾向にあります。
そのため、普段から口腔ケアをしっかりと行っている人も、今一度歯石ができていないか確認しましょう。

歯石がつきやすい箇所

歯石がつきやすい箇所は、主に以下の3つだといわれています。唾液が分泌される唾液腺の近くにつくことが多いとされています。
歯石がつきやすい箇所を知り、しっかり予防しましょう。

前歯の裏側

下の前歯の裏側近くには、舌下腺と呼ばれる唾液腺があり歯石がつきやすいです。前歯の裏側は最も歯石のつきやすいといわれており、特に注意が必要です。
前歯の裏側は自分で確認しづらいため、歯科医院で定期的に確認、クリーニングをしてもらうようにしてください。

奥歯の表面

上の奥歯の表面には、耳下腺があります。耳下腺は、舌下腺と顎下腺に続いて唾液の分泌量が多い場所なので、上の奥歯の表面にも歯石がつきやすいです。
奥歯の表面も自分では確認しづらい箇所のため、歯科医院で確認してもらう必要があります。また、奥歯は磨きづらい箇所ということもあり、念入りに歯磨きを行うことで歯石の予防を行いましょう。

歯並びが悪い箇所

ワイヤー矯正中の人は、歯が重なって生えていることがあります。このように歯並びが悪い箇所は歯磨きがしづらく、歯垢が溜まりやすいのです。
歯の隙間は歯ブラシだけでは届きづらい場合が多いため、デンタルフロスや歯間ブラシを使ってケアを行いましょう。
また、歯並びが悪い箇所もほかの箇所と同じで、自分のケアだけでは不十分な場合があるため、定期的に歯科医院でケアを行ってもらいましょう。

まとめ

ここまで、ワイヤー矯正中の歯石取りについて解説しました。

ワイヤー矯正中は装置を装着しているため、普段よりもケアに時間がかったり、ケアそのもののが手間に感じることもあるかもしれません。

ですが、歯石が付着したまま放置してしまうと、矯正治療が完了するまでに口腔内の環境が悪化してしまうことも考えられます。
綺麗な歯並びを手に入れるために始めた矯正治療のはずなのに、歯石や着色汚れが目立ち自分の口元が好きになれないなんてことにならないよう、日々のケアも頑張っていただき、また定期的に歯科医院に通って歯石取りを行うようにしましょう。

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