再矯正って何?リスクはあるの?
「以前矯正治療をしたことがあるけど、歯並びが悪くなっている気がする」
このような方もいらっしゃるかと思います。
矯正治療をしたら、ずっときれいな歯並びが保てるという訳ではありません。
「悪くなったならまた矯正すればいい」と思うかもしれませんが、再矯正には相応のリスクがあります。
今回は、再矯正のリスクと再矯正を防ぐ方法について解説します。
再矯正が必要なのはどんな人?
歯は、前歯のほうに傾いたり歯がない所に動いていくなど、常に動いています。
とくに矯正治療で歯を動かした場合、元の歯並びに戻ろうとして乱れた歯並びになる「後戻り」という現象が起きます。
それにより、矯正したのに歯並びが悪くなったと感じる方も多くいます。
以前治療した歯並びが悪くなった時に再びきれいな歯並びにすること、それが「再矯正」です。
ですので、後戻りが起きて再矯正する方はもちろん、歯並びはきれいなままでも加齢と共に歯がすり減り噛み合わせがズレてきた方、現在の矯正治療に納得がいかない方、矯正治療を中断してしまった方など、再矯正を必要とする方は様々です。
後戻りの原因
先程、常に歯が動いているから後戻りするとお伝えしましたが、歯が通常より余計に動き、後戻りを早めてしまう原因がいくつかあります。
・保定装置を装着していない
矯正治療で動かした歯は、すぐには顎の骨に固定されません。骨にしっかり固定されるまでには約3年かかります。この期間に保定装置を使用しないと、歯は動いてしまいます。
・親知らずがある
親知らずが生えてくる時に、手前の歯などを押すことで、せっかく矯正治療をしてきれいに並べた歯が動いてズレてしまう可能性があります。できれば親知らずは矯正治療をする前に抜歯することをおすすめします。
・歯周病
歯の根っこは歯槽骨(しそうこつ)という顎の骨の中に埋まって支えられています。歯周病になると歯槽骨が下がってしまい、歯を支えることができなくなり、矯正治療できれいな歯並びにしても支えが弱く動いてしまうことがあります。最悪の場合、歯が抜けてしまうこともあります。
・歯ぎしり、くいしばり、舌習癖がある
歯ぎしり、くいしばり、舌の癖などがあると、後戻りしやすくなります。
矯正で動かしたばかりの歯は、顎の骨に固定されておらず、強い力がかかったり、舌で歯を常に押していると歯が動いてしまいます。
癖は無意識に行ってしまうので、矯正治療前または治療中に改善させ、治療後も意識してしないようにするのが大切です。
再矯正をするリスクとは
矯正中は、歯磨きがしにくいことで虫歯になりやすい、歯ぐきが腫れやすいなどのリスクがあります。初回の矯正のリスクにプラスして、再矯正はリスクがあるのでお伝えします。
・歯根吸収が起こりやすい
歯根吸収とは、元々ある根っこの長さが短くなってしまうことです。
お口の中にトラブルがない時はいいのですが、歯周病になった時や噛み合わせで過度な負荷がかかった時に歯がグラつきやすくなります。そうすると、通常より歯を残すことが難しくなります。
歯根吸収は、歯に強い力が長期間かかった時に起こりやすいため、初回の矯正治療で歯根吸収が起きる方も中にはいます。ですが、一度負荷がかかっている分、再矯正で歯を動かした時のほうがリスクとして高いです。
もちろん、歯根吸収をする人としない人がいるので、必ずなるとはいえません。
歯列矯正を行うと、歯にとっては歯根吸収をしてしまうリスクはありますが、噛み合わせのバランスが良くなるのであれば、再矯正はおすすめといえるでしょう。
・歯肉退縮が起こりやすい
歯ぐきが下がり歯の根っこの部分が見えてしまう現象が歯肉退縮です。
見た目が悪くなるだけでなく、知覚過敏の症状を引き起こしたり、根本が虫歯になりやすくなってしまいます。
矯正治療で歯を動かす際、過度な力がかかってしまうと、歯ぐきが刺激を受けて下がってしまいます。
もともと日本人は歯ぐきが薄く繊細といわれているため、矯正治療をすると歯肉退縮しやすい傾向にあります。
とくに、下の前歯は歯ぐきが薄く、自分でもよく見える場所なので、歯ぐきが下がったと感じやすいです。
初回の矯正治療中や治療後に歯ぐきの下がり具合が気になった方は、再矯正するとさらに歯肉退縮が起きてしまう可能性があるため、歯科医師に相談することをおすすめします。
再矯正は誰でもできる?
「リスクを承知の上で、もう一度きれいな歯並びにするために矯正をしたい」という方もいるでしょう。
しかし、再矯正は誰もができるのでしょうか?
基本的には、再矯正は誰でもできます。しかし、できないもしくはおすすめしない場合もあります。
それは、リスクにもある
- 歯肉退縮
- 歯根吸収
が初回の矯正で起きた方です。
再矯正をすると、初回の矯正治療の時と同じように歯に負荷がかかります。
そうすると、現状の状態より悪くなり、最悪歯を失ってしまう原因になります。
また、歯周病が進行している方も矯正をすることが難しい場合があります。
歯周病の進行が見られると、歯槽骨が少なくなるため、矯正装置で歯を動かす時の力で、歯が抜けてしまうことがあります。
どれも症状の具合によるため、上記に当てはまる方は、事前に歯科医師に相談してください。
再矯正を防ぐには?
何回も矯正治療をするとなると、時間や精神面、経済面に負担がかかってしまいます。
そのためには、後戻りをさせないことが大切です。後戻りをさせないためには以下のことに取り組むといいでしょう。
・保定装置をきちんと装着する
後戻りの原因でもお伝えしましたが、矯正治療で動かした歯はすぐに顎の骨に固定されません。
歯科医師からの指示通り、歯磨きや食事以外では保定装置を装着することが大切です。
また、固定させるまで最低でも治療に要した期間と同じくらいはしっかり保定装置を使用する必要があります。
・親知らずを抜く
矯正治療前に親知らずを抜いておくことがベストですが、初回の矯正治療時に年齢的に生えていなかった場合もあります。
そのため、親知らずが生えてきた時点で歯科医師に診てもらうことをおすすめします。
斜めに生えてくるようであれば、歯並びに影響が出る前になるべく早く抜いたほうがいいでしょう。
まっすぐ生えてくる親知らずだとしても、手前の歯を少し押しながら出てくることがあるため、自己判断で放置しないようにしましょう。
・お口のケアをしっかりする
虫歯や歯周病で歯の本数が変わったり、歯が動いたりすると後戻りしやすくなります。
そのため、歯磨きやフロスなど日頃からきちんとお口のケアをすることはもちろん大切ですが、定期的に歯科医院でのクリーニングを受け、自分では取り切れない汚れを除去してもらいましょう。
定期的に通院していると虫歯や歯周病になっていないかチェックすることができるため、歯のトラブルを予防しながら健康な口腔内を保ちましょう。
・癖を直す
歯ぎしり、くいしばり、舌癖はどは無意識に行っていることが多いです。
マウスピースを使って歯ぎしりやくいしばりで歯や顎の負担を軽減したり、口腔筋機能療法(MFT)を受けて口周りの癖を治すことをおすすめします。
また、片側ばかりで噛む、頬杖を付くなどもやめましょう。
まとめ
歯並びは、時間の経過とともに少しずつ変化していきます。
しかし、自分の行いによっては悪い方向への変化を早めてしまいます。
せっかく時間とお金をかけて行った矯正治療も、きれいな歯並びが安定せず、後戻りをしてしまっては意味がなかったことになってしまいます。
歯並びが再び悪くなった場合は再矯正という手段はありますが、解説したようにリスクもともないます。
現在再矯正をされている方、再矯正を検討中の方は、今回を最後にして、何度も同じことを繰り返さないように意識を変えていきましょう。