保険の白い歯にもメリットはある?セラミックとの違いは?
白い歯の代表的なものといえば、セラミックのイメージがありますが、自費診療になるため治療費が比較的高額になります。
しかし、保険で治療できる素材でも白い歯にすることは可能です。
保険の白い歯には治療費以外にどのようなメリットがあるのでしょうか。
今回は保険の白い歯にもメリットはあるのか、自費診療のセラミックとの違いなどについてお話していきます。
白い歯で治療をお考えの方はぜひ参考にしてください。
保険で治療できる白い歯の種類とメリット
保険の白い歯にはどのような種類があるのか、その特徴を解説していきます。
コンポジットレジン
コンポジットレジンは、微細なガラスやセラミックなどと合成樹脂を混ぜた白いプラスチック樹脂の素材で、ペースト状の樹脂に特殊な光を当てることで固まります。
様々な歯の形に合わせて修復可能で、型取りをせず、直接歯に詰めるためその日のうちに治療が完了します。
使用できる範囲に制限がなくどの箇所の歯でも使用可能ですが、強度が劣るため、強い力が加わる奥歯では破損する可能性があります。
また、同じように強度が劣ることから、深いむし歯や、歯のほとんどを失っているような歯には適していません。
【メリット】
- 歯を削る量が少ない
- 自然な白さを再現できる
- 治療期間が短い
- 歯型を取らなくてよい
- 治療費が比較的安価で済む
硬質レジン前装冠
硬質レジン前装冠(ぜんそうかん)は裏面、内側の金属の枠に白いプラスチック素材をコーティングしたもので、保険適用になるのは前歯の6本で奥歯は保険適用外になります。
表面は白く自然で、中は金属で強度があり強い噛み合わせでも対応できます。
しかし、表面はプラスチックのため汚れがつきやすく、経年により変色し、中の金属にはパラジウム合金が使われているため、金属アレルギーの方は使用できません。
【メリット】
- 色が白く見た目が自然
- 中は金属で強度がある
- 治療費が比較的安価で済む
CAD/CAM冠
CAD/CAM冠(キャド/キャムかん)は歯型のスキャンをデータとしてコンピューターに入力し、ハイブリッドレジン(レジンとセラミックを混ぜたもの)のブロックからデータの歯型通りに削りだして作製する被せ物です。
他の被せ物や詰め物は歯科技工士がつくりますが、こちらは全てコンピューターが自動で作製するため、治療費の節約、治療期間の短縮につながります。
しかし、セラミックや金属に比べると強度が劣るため、歯ぎしりや食いしばりなどで強い力が加わると破損する場合があること、接着しづらいため、安定性に欠け外れてしまうことがあります。
【メリット】
- 色が白く自然に仕上がる
- 金属アレルギーの心配がない
- 天然の歯より柔らかく、他の歯に負担がかからない
- 治療費が比較的安価で済む
セラミックの特徴
これまで保険で治療ができる白い歯の特徴を解説してきましたが、自費診療での白い歯の代表的なものといえばセラミックではないでしょうか。
セラミックは「歯科用陶材(しかようとうざい)」と呼ばれる素材でつくった人工歯です。食器などの陶器と同じような素材でツルツルしているため、汚れが付きにくく、見た目は天然の歯と見分けが付かないくらい自然に仕上がります。
メリット
・見た目がきれい
セラミックは天然の歯に近い透明感があり、周りの歯の色に合わせた白さの調整が可能なため、治療した歯だとわからないくらい自然できれいに仕上がります。
銀歯が見えて気になる方がセラミックにやり替えた場合、人前でも見た目を気にすることなく堂々と会話や食事を楽しめます。
・二次カリエス(むし歯)のリスクが低い
セラミックはツルツルした素材のため、むし歯の原因となる汚れが付きにくく、汚れが付いてもとれやすくなっています。
また、金属は劣化によって変形し、隙間や段差ができることからそこに菌が入り込みむし歯の原因となりますが、セラミックは劣化しにくく、隙間や段差もできにくいため二次カリエスのリスクが低くなります。
・金属アレルギーの心配がない
金属を使用していないので、金属アレルギーをお持ちの方、将来的にアレルギーが心配な方でも安心して使用できます。
また、金属を使用していないセラミックであれば、金属が経年により溶け出してくることで歯ぐきが黒ずむ「メタルタトゥー」の心配も不要です。
デメリット
・歯を削らなければならない
セラミックは割れにくくするためにある程度の厚みが必要になるので、その分歯を削らなければなりません。神経の近くまで削ると、その部分がしみる可能性があります。
歯は削った分だけ寿命が短くなりますので、歯を削ることはリスクをともなうことを覚えておきましょう。
・衝撃に弱い
通常の生活では割れることはほとんどありませんが、陶器のお皿を落とすと割れてしまうように、強い衝撃が加わると割れたり欠けたりする可能性があります。
歯ぎしりや食いしばりの強い方は、就寝時にマウスピースを装着したり、セラミックの中でもジルコニアなど強度の高いものを選ぶようにしましょう。
・自費診療での治療になる
セラミックのほとんどは自費診療のため治療費が比較的高額になります。せっかく高額な治療費をかけて治療したのに、短い期間で破損やトラブルがおきてしまうと非常に残念ですし、精神的にも金銭的にも負担が大きくなります。
保険の白い歯とセラミック、どちらを選ぶ?
むし歯などの治療の際、詰め物や被せ物は銀歯よりも白いものを選ぶ方が多いのではないでしょうか。
昔は詰め物といえば銀歯でしたが、最近は保険で治療できる白い歯も様々あるので、同じように安価で治療できるのなら白い歯を選びますよね。
しかし、自費診療で治療費が高額になっても保険の白い歯ではなく、セラミックの白い歯にしたい方は多いものです。
その理由をあげてみましょう。
保険の白い歯は着色しやすい
保険の白い歯はセラミックに比べ着色しやすい特徴があります。
例えば、陶器のお皿やお茶碗などはカレーなどの汚れも落ちやすいですが、お子さんが使うようなプラスチックの食器はカレーなどの色の濃いものは洗っても薄く色が残ったりします。
審美性を求める場合は、着色により歯の色が変色する素材ではなく、セラミックで治療するほうがメリットが多いでしょう。
劣化するのが早い
保険の白い歯はセラミックに比べて長持ちしません。
数年後には着色による変色がおきたり、隙間ができたり、見た目にわかるような劣化を実感することになります。
劣化後に再治療をする際にセラミックに変える方もいますが、最初からセラミックで治療した場合に比べると、結果的に余計に治療費がかかってしまいます。
保険の白い歯は二次カリエスのリスクが高くなる
被せ物で治療をおこなうほとんどはむし歯の治療になりますが、むし歯が再発することを二次カリエスといいます。
保険の白い歯はセラミックに比べ接着しにくい特徴があるため、接着のセメントがとれたり、歯と歯ぐきの間に隙間ができたりします。
そこからむし歯菌が入り込み、被せ物の中の見えないところでむし歯が進行してしまうリスクがあるため、予防の意味でもセラミックを選ぶ方が多くなっています。
まとめ
いかがでしたか。
今回は保険の白い歯のメリットと、セラミックとの違いについて解説してきました。
治療費が気になり「まずは保険の白い歯で」と考える方も多いと思います。
しかし、歯は一生必要なものなので、長期的にみてどうなのか?と考えてみることも大切です。
その場の費用はかかりますが、結果としてセラミック治療にしてよかったという声も多く聞かれます。長期的なメリット・デメリットをしっかり検討し、ご自分にとってどの治療が最適か、ぜひ歯科医師に相談してください。