あごを拡大するってどういうこと?その仕組みやメリット、注意点を徹底解説!

矯正治療と聞くと、歯にワイヤー装置を装着したり、マウスピース装置を使用して歯を動かす治療を想像する方が多いのではないでしょうか。
成人してから矯正を始める場合、上記の方法で歯並びを整える方がほとんどですが、子どものうちに矯正を開始する場合は、さまざまな方法があります。
中でも成長期を利用してあごの骨を拡大する矯正治療は、永久歯がきれいに生えるスペースを確保し、将来的な歯並びの乱れを予防できる効果的な治療方法です。

あごの骨を拡大するという言葉はあまり聞き慣れないため、「どのように治療するの?」「痛みはないの?」など、不安に思う方もいらっしゃるでしょう。
今回は、あごの骨を拡大する矯正治療についてわかりやすく解説していきます。

あごの骨を拡大する矯正治療の仕組み

現代人の多くは、昔と比べてあごが小さくなってきていると言われています。食生活の変化によって噛む回数が減少し、あごの骨や筋肉が発達しにくくなっていることが背景にあると考えられます。
小さなあごに大きな永久歯が生えてきた場合、 歯がきれいに並びきらずデコボコの歯並びになってしまったり、不適切な位置に歯が飛び出してしまうことがあります。
このようにあごの大きさが原因で歯並びが悪くなっている場合、子どものうちにあごの骨を拡大することで、永久歯がきれいに生えそろうためのスペースを確保することができるのです。


そこで、あごの骨を拡大するために使用するのが「拡大装置」です。拡大装置にはさまざまな種類があり、個々の歯並びや目的に合わせて使い分けます。
今回は代表的な「急速拡大装置」を例にその仕組みをご紹介しましょう。

上あごは、2つの骨が中央で合わさってできています。この2つの骨は、あごの骨が成長している子どもの場合、まだ完全にはくっついていません。そこで、固定式の装置で2つの骨が離れるように力を加え、あごの幅を拡大するというのが急速拡大装置の仕組みです。

急速拡大装置は右上奥歯と左上奥歯をつなぐように装着し、装置の真ん中に付いているネジを回して装置自体の横幅を広げることであごの骨を拡大させます。
拡大する期間は歯並びによって異なりますが、一般的には1日に1〜2回ネジを回す習慣を数週間実施します。あごの骨が十分に広がったところでネジを回すのをやめ、2つの骨の間に新しい骨が作られて安定するまで数ヶ月間装着したまま過ごします。

あごの骨を拡大する矯正治療は、上あごのみに適応しています。下あごは上あごと違って1つの骨でできており、基本的に骨格自体に力をかけて拡大することはできません。
ただし、下あごは上あごの成長に伴って大きくなっていきます。そのため、拡大装置で上あごを広げることは、結果的に下あごの成長を促すことにもつながるのです。

あごの骨を拡大することによるメリット

1.永久歯が並ぶスペースを確保できる

あごが小さいと歯並びのアーチも狭くなり、歯がきれいに並ばずデコボコの歯並びになることがあります。
また、乳歯のときは歯並びがきれいに見えても、永久歯は乳歯よりも一回り大きいため、生え替わる際にずれたりねじれたりする可能性があります。

あごの骨を拡大することで永久歯が並ぶスペースを確保でき、将来的に歯並びが整う可能性が高まります。歯が窮屈に並んでいる場合は、一度かかりつけの歯科医院で相談してみると良いでしょう。

2.矯正のための抜歯を避けられる

成人の矯正治療で歯がきれいに並ぶためのスペースが足りない場合、健康な歯を抜いてスペースを確保する「便宜抜歯」を行うことがあります。
成人は成長期が終了しているため、あごの骨を拡大してスペースを確保する矯正治療はできません。抜歯は心身に大きな負担を伴うため、特に健康な歯を抜くことには躊躇する方も多いでしょう。

子どものうちにあごの骨を拡大しておくことで歯が並ぶスペースを確保できるため、将来的に便宜抜歯をせずに歯並びを整えられる可能性が高まります。

3.口呼吸を改善できる

上あごを拡大すると鼻の空洞である「鼻腔」も一緒に広がるため、鼻呼吸がしやすくなります。その結果、子どもによく見られる口呼吸を改善することができます。

お口の中の唾液には、細菌を撃退したり汚れを洗い流したりするなど、重要な役割がたくさんあります。
唾液が常に分泌されている状態が正常ですが、口呼吸を続けるとお口の中が乾燥し、唾液が十分に行き渡らなくなってしまいます。その結果、虫歯や歯周病の原因菌が繁殖しやすくなります。
さらに、お口が乾燥すると歯に汚れが付きやすくなり、黄ばみや口臭の原因にもなります。
鼻呼吸を心がけるとお口の乾燥を防ぐことができ、上記のトラブルの予防につながるでしょう。

また、鼻呼吸は口呼吸よりもウイルスを体内に取り込みにくいため、感染症予防にも効果的です。

あごの骨を拡大する矯正治療は何歳までできる?

個人差もありますが、あごの骨を拡大する矯正治療が可能なのは、あごの成長が期待できる12歳くらいまでです。
上あごは成長が早く、12歳頃には成長が止まります。15歳以降は下あごも含めてほとんど成長が止まるため、矯正装置で拡大することは難しくなります。

成人後でも外科手術を行うことであごの骨を拡大することができますが、全身麻酔や入院が必要になります。
心身への負担を軽減するためにも、可能であればあごが成長している子どもの間に矯正治療を検討することをおすすめします。

あごの骨を拡大するときに痛みはある?

あごの骨を拡大するときの痛みは、拡大のスピードによって変わります。
ゆっくりと時間をかけてあごの骨を拡大する場合は、それほど強い痛みは伴いません。
一方、短期間で強い力をかけてあごの骨を拡大する場合、比較的強い痛みを感じることがあります。特に、拡大装置の調整をした直後は一時的にあごにかかる負担が大きくなるため、強い痛みが現れやすいです。
痛みは徐々に慣れていくことがほとんどですが、我慢できない場合は遠慮なく主治医に相談しましょう。

あごの骨を拡大する矯正治療の注意点

1. 装置による違和感がある

拡大装置は歯に固定されており自分自身では取り外しができないため、慣れるまでは違和感を感じることがあります。
具体的には、発音がしにくくなる、食べ物を飲み込みにくくなる、不快感や痛みを感じるなどが挙げられます。
これらの違和感は一般的に数日〜数週間程度で消えていくため、治療開始後しばらくは様子をみてみましょう。
違和感が長く続き日常生活に支障が出るような場合は、検診の際に主治医に伝えて指示を仰いでください。

2. 虫歯や歯周病のリスクが高まる

拡大装置はワイヤーやネジの部分に汚れが付着しやすく、しっかり清掃しないと虫歯や歯周病を引き起こす原因となります。
特に小さな子どもが治療を受ける場合、仕上げ磨きをしっかり行う、間食を控えるなど家族の協力が重要です。
拡大装置は取り外しができず、清掃には少しコツが必要なため、歯科医師や歯科衛生士に相談して適切なケア用品や効果的な清掃方法を教えてもらいましょう。

3.将来的に二次的な矯正が必要になる場合がある

子どもの矯正は、あごの成長を利用して行う「1期治療」と、ワイヤー装置やマウスピース装置などを使用して歯の位置や角度を整える「2期治療」に分かれます。
あごの骨を拡大する治療は1期治療にあたるもので、その目的は永久歯が生えるスペースを確保することです。1期治療だけでは歯の傾きや位置の微調整が難しく、場合によっては治療終了後に2期治療に移行することがあります。

つまり、拡大装置だけでは矯正治療が完結しないことがあるのです。しかし、1期治療をしっかり行うことで、抜歯を避けたり、2期治療の期間を短縮したりするなど、多くのメリットがあります。

矯正治療は、歯並びによって一人ひとり異なるアプローチが必要です。矯正を始める前に、歯科医師から長期的な見通しについてしっかり説明を受けておくことで、安心して治療に臨むことができるでしょう。

まとめ

いかがでしたか?
あごの骨を拡大する矯正治療は成長期の子どもだからこそ可能であり、さまざまなメリットがあります。
信頼できる歯科医院でしっかり説明を受けた上で、家族で協力しながら治療を進めることが成功のカギになるでしょう。
ぜひ今回のコラムも参考に、治療の選択肢のひとつとして検討してみてくださいね。

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