ガミースマイルって何?ガミースマイルの原因や治療方法を解説
笑ったときに、上の歯ぐきが通常よりも多く見えている状態のことを「ガミースマイル」といいます。
笑顔は自身の心を豊かにしたり人間関係を円滑にしたりなど、私達にとってとても重要な役割を担っていますが、ガミースマイルがコンプレックスになって満足に笑顔が作れなくなってしまっている方も多いようです。
そこで今回は、ガミールマイルの原因や体に及ぼすリスク、主な治療方法などを解説します。
ガミースマイルとは?
ガミースマイルに明確な定義はなく、一般的には笑ったときに上顎の歯ぐきが3mm以上見えている状態をガミースマイル、あるいはガミーフェイスと呼んでいます。とくにアジア人(モンゴロイド)に多く見られ、欧米人(コーカソイド)には少ないようです。
ガミースマイルをチャームポイントとしている芸能人もいるため、ガミースマイルが必ずしも審美的にマイナス要素であると言い切ることはできません。しかし、ガミースマイルをコンプレックスに感じ、歯ぐきが気になってうまく笑えない、笑うときに口元を隠す癖がついてしまったなど、ガミースマイルに関する悩みを抱えている方が多いのも事実です。
ガミースマイルの原因は?
ガミースマイルの原因は1つではありません。ここでは、主な原因をいくつかご紹介します。
骨格や歯並び
ガミースマイルの原因で最も多いといわれているのが、骨格や歯並びの問題です。
上顎が前に突出している「上顎前突」、いわゆる出っ歯では、上唇に歯ぐきが収まりきらず露出してしまいますし、下の歯が見えなくなるほど上の歯が深くかみ合う「ディープバイト」も、歯ぐきが見えやすくなります。
ほかに、上の歯が低い位置に生えていたり上顎の骨が縦に長かったりする場合も、歯ぐきが見える範囲が通常よりも多くなりがちです。
上唇や口周りの筋肉
上唇が通常よりも薄い場合は、本来なら唇で隠れている部分の歯ぐきが見えてガミースマイルになるケースがあります。また、上唇を持ち上げる筋肉(上唇挙筋)の力が強いと、上唇がめくれ上がって歯ぐきが見えやすくなります。
歯茎や歯の大きさ
歯ぐきが過剰に発達して前歯に覆いかぶさっている、歯が小さい、あるいは短いなどの状態も、結果として歯ぐきの見える範囲が多くなるため、ガミースマイルになりやすいといってよいでしょう。
ガミースマイルは治療したほうがいい?
ガミースマイルは病気ではありませんが、前述した通りガミースマイルがコンプレックスになって生活に支障が出ている場合は、改善を目指して治療を検討してみることをおすすめします。
また、ガミースマイルの方は口の開け閉めがしにくく、口の中が乾燥しやすい傾向があります。口腔内が乾燥すると唾液の分泌が減って自浄作用が低下するので、口臭の発生、虫歯や歯周病が発症したり風邪などの感染症に罹患するリスクが上昇するなど、健康面のデメリットも少なくありません。
このようなリスクが心配な方、もしくはすでにガミースマイルによる悪影響が出ている方は、一度歯科医院で相談をしてみるとよいでしょう。
ガミースマイルは自然に治ることはある?
子どものガミースマイルの場合は、乳歯から永久歯に生えかわる時期に改善される可能性もありますが、それ以降で自然に治ることはありません。そのため、大人がガミースマイルを治そうと思った際は、歯科医院などで治療を行う必要があります。
ガミースマイルの治療法6選
ガミースマイルは、症状や原因によって治療方法が異なります。ここでは、一般的に行われている主な治療方法をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
1:矯正治療
ガミースマイルの原因が、出っ歯やディープバイトといった歯並びや噛み合わせにある場合は、「ワイヤー矯正」や「マウスピース矯正」などの矯正治療を行います。
歯の移動のみで改善するケースもありますが、症状の程度によっては、歯が正常な位置に移動するスペースを確保するために抜歯が必要な場合もあるため、治療の内容については担当の歯科医師とよく相談をしましょう。
2:矯正治療と外科手術の併用
前述した矯正治療のみでの改善が難しい場合は、上顎の骨を削って全体的に後ろに移動させたり、上顎の犬歯あたりの骨を一部切り取ってつなぎなおしたりなど、外科手術を併用して治療を行うケースもあります。
外科手術を伴う治療は、根本的にガミースマイルを治せるのが大きなメリットですが、手術は基本的に全身麻酔で行われるため、術後は数日間の入院が必要です。また、術後数週間は手術による疼痛や顔の腫れが起き、術後半年くらいは神経の痛みや口の開けにくさなどの症状があらわれることがあります。
3:歯肉整形
上前歯に歯ぐきが過剰に覆いかぶさったり、歯ぐきの位置が不ぞろいだったりする場合は、歯肉を電気メスやレーザーで切り取り、歯が見えるラインを美しく整える治療を行います。歯肉をカットしただけでは、しばらくすると元の位置に戻ってしまうため、多くの症例では前歯の上からセラミックの被せ物を装着する「セラミック治療」を併用します。
ただし、セラミックの被せ物を装着する際は健康な歯を削る必要があり、場合によっては神経を抜いたり抜歯をしたりするケースもあるため、担当の歯科医師とよく相談をしてから治療方針を決定しましょう。
4:歯冠長延長術(クラウンレングスニング)
歯肉整形と同様、歯肉をカットして歯の露出面積を増やす治療方法ですが、こちらは歯ぐきを支える骨(歯槽骨)も必要に応じて削ります。前述したセラミック治療や、後述する上唇粘膜切除術と併用するケースが多いのが特徴です。
短期間で治療が完了し、後戻りが起きにくいメリットがありますが、術後に腫れたり虫歯や知覚過敏のリスクが高まったりするデメリットもあります。
5:上唇粘膜切除術(LIP)
上唇と歯ぐきの間にある粘膜を切除し、適切な位置でつなぎ合わせる治療方法です。上唇が過剰に上がるのを防止する処置を行うため、歯ぐきの露出面積を抑えることができます。
手術は60分程度かかりますが、1回で終了して効果も長続きするのが特徴です。こちらも、審美性を高めるためにセラミック矯正を併用するケースがあります。
6:ボトックス注射(ボツリヌス注射)
ボトックス注射とは、ボツリヌス菌が作るA型ボツリヌス毒素(たんぱく質)を人体に投与する治療方法です。A型ボツリヌス毒素には筋肉を弛緩させる作用があるため、緊張している筋肉に注射をすることで、その筋肉をリラックスさせる効果が期待できます。美容整形の分野ではしわ改善によく用いられていることから、名称を知っている方も多いでしょう。
ガミースマイルの治療でボトックス注射を用いる際は、上唇を持ち上げる働きがある上唇挙筋に投与して筋肉の動きを抑制し、必要以上に上唇が上がらないよう調整します。患者様の身体的負担が少ない、施術時間が短いなどのメリットがありますが、即効性がなかったり4~6ヶ月程度で元の状態に戻ってしまったりするデメリットもあるため、ボトックス注射を検討する際はこれらの点にご留意ください。
また、ガミースマイルの治療目的でのボトックス注射は美容外科で行える場合もありますが、口腔内の状態を正確に診断できるのは歯科医院です。そのため、自己判断で最初から美容外科に行くのではなく、まずは歯科医院でしっかりと検査を受けることをおすすめします。
ガミールマイルが気になるときは歯科医院に相談を
ガミースマイルが気になるあまり、うまく笑えなかったり笑うことを辛いと感じてしまったりする方は少なくありませんが、多くの場合、適切な治療で改善することができます。
ガミースマイルは原因によって治療方法が大きく異なるため、「ガミースマイルを治したい」と思ったら、まずは歯科医院で原因を探り、適切な治療によりガミースマイルを改善していきましょう。