部分矯正が可能な症例は?部分矯正のメリットとデメリットも解説!

矯正治療というと、歯の表面に「ブラケット」と呼ばれる装置を付けてワイヤーを通す「ワイヤー矯正」や、歯列を覆うマウスピースを装着して歯を動かす「マウスピース矯正」が有名です。歯全体を動かす大がかりな治療というイメージをもっている方が多いかもしれませんが、歯の一部のみを動かして歯並びを整える「部分矯正」という治療方法があることをご存じですか?
今回は、部分矯正の方法やメリットとデメリット、部分矯正が可能な症例などを解説します。

部分矯正とは?

一般的に矯正治療というと、上下の歯全体を動かしながら歯並びを整える「全体矯正」を指すことがほとんどです。歯列全体にワイヤーを巡らせたり、歯を動かすために抜歯をしたりなど、さまざまな治療を行いながら、整った歯並びを目指します。

一方「部分矯正」とは、「MTM(Minor Tooth Movement)」とも呼ばれている歯の一部分のみを動かして歯並びを整える治療方法です。主に前歯に対して行われる治療方法で、抜歯や骨切りなどの大掛かりな治療は行わず、1本~数本の歯を動かします。
歯を動かすスペースを作るために歯の表面を0.5~1mm程度削ることがありますが、歯の表面を覆うエナメル質は2~3mmほどの厚みがあるため、しみたり痛んだりすることはほぼありません。

部分矯正の方法

部分矯正は、ワイヤー矯正かマウスピース矯正で行うのが一般的です。大まかな流れは全体矯正と大差ありませんが、装置の数が少ないなど、部分矯正は効果を与える範囲が限定されています。

ワイヤー矯正は歯の表面にブラケットを接着し、そこにワイヤーを通して歯を動かす治療方法です。部分矯正では、前歯4~6本にブラケットとワイヤーを取り付けます。症例によっては、歯科矯正用の小さなネジ「アンカースクリュー」を顎の骨に埋め、そこを固定源として力をかけるケースもあります。
ワイヤー矯正には表側矯正と裏側矯正があり、これはワイヤーを歯の表面に付けるのか裏面に付けるかの違いです。裏側矯正は目立ちにくく審美性が高いのがメリットですが、痛みが出やすかったり表側矯正よりも高額になるといったデメリットもあります。

マウスピース矯正は、透明なマウスピースを装着して歯を動かす治療方法です。基本的には1日20時間以上、食事と歯磨き以外の時間は装着し続ける必要があります。マウスピースは透明なので装着していても目立たず、素材に金属を使用していないため金属アレルギーの方でも安心して使用できるのがメリットです。ただ、マウスピースの着脱や管理はご自身で行わなければならないので、少し手間がかかります。

部分矯正のメリット

治療期間が短い

全体矯正は多くの場合2~3年ほどかかりますが、部分矯正は動かす歯が少ない分治療期間も短く、半年~1年半程度で終了するのが一般的です(保定期間を除く)。
矯正にあまり時間をかけたくない、受診する回数を減らしたいという方にも適しています。

治療費を抑えられる

症例にもよりますが、矯正期間が短かく、使用する矯正器具が少ないことから、部分矯正は全体矯正よりも費用が抑えられるケースがほとんどです。
ただ矯正治療は自費診療なので、費用は歯科医院によって異なります。

全体矯正よりも痛みが少ない

矯正治療では歯が動くことで痛みを感じやすいですが、動かす歯が少ない部分矯正では、その分痛みも少ない傾向にあります。また矯正期間自体が短く、全体矯正よりも痛みを感じる期間が短くなるため、痛みに弱い方や恐怖心がある方にとっては、治療に踏み切る安心材料になるかもしれません。

気になる部分だけ矯正できる

前歯の隙間をなくしたい、少し曲がった歯だけを整えたいなど、噛み合わせに大きな問題がなければ気になっている部分だけを矯正することが可能です。

部分矯正のデメリット

噛み合わせの改善はできない

部分矯正は、歯を一部分だけ動かして審美性を高めることを主な目的としており、噛み合わせの矯正には適していません。噛み合わせをしっかりと改善したい場合は、全体矯正で歯列全体を動かし、根本から治療を行うといいでしょう。

対応できる症例が限られている

部分矯正はあくまでも一部分のみ歯並びを矯正する治療方法なので、歯を動かす方向や距離に限界があります。また、歯並び全体を整えなければ治療できない症例にも対応することができません。

後戻りしやすい

部分矯正では、歯並びが悪くなった根本的な原因を解決することが難しいため、矯正後にしっかりと保定を行ったとしても、歯並びが後戻りしてしまうリスクは全体矯正よりも高いと考えられています。

歯の表面を削ることがある

部分矯正の説明で記載したように、歯を動かすスペースを作るために歯の表面を削ることがあります。ただ、全体矯正でも健康な歯を削ったり抜いたりする処置を行うことがあるため、部分矯正に限ったデメリットではありません。

部分矯正が可能な症例

ご紹介したように、部分矯正は対応可能な症例が限られています。部分矯正に適している主な症例は、以下のとおりです。

軽度の出っ歯

前歯と隣り合う歯に少し段差がある、歯が少し上向きに生えているなど軽度の出っ歯(上顎前突)であり、骨格や噛み合わせに問題がない場合は、部分矯正での治療が可能です。
ちなみに、出っ歯の定義は「上の前歯が下の前歯よりも5mm以上前に出ている歯並び」とされています。

軽度の叢生

「叢生(そうせい)」とは、歯が正常な位置からずれたりねじれたりしてガタガタに生えている状態のことで、ガチャ歯と呼ばれることもあります。前歯が数本前に傾いている、あるいは後ろに倒れている、少しだけ重なっているなど、少しいびつな程度なら部分矯正による治療が可能です。

軽度のすきっ歯

前歯に隙間があるいわゆる「すきっ歯」も部分矯正で治療が可能な場合がありますが、隙間を埋めるために前歯の一部を動かすと、その分他の部分に隙間ができてしまうデメリットがあります。
部分矯正だけでは前歯の隙間を完全に埋めることが難しいため、すきっ歯の治療を希望する場合は、担当の歯科医師と相談して治療方針をしっかりと話し合いましょう。

軽度の開咬(オープンバイト)

歯を噛みしめた際、上下の前歯に隙間が生じる「開咬(かいこう)」も、開咬が生じているのが前歯のみで開咬以外の問題がなく、骨格にも異常がない場合は部分矯正による治療が可能です。

前歯1本だけの矯正

前歯が1本ずれて生えていたり前や後ろに傾いていたりなど、1本だけに焦点を当てて矯正をしたい場合は、部分矯正で対応が可能です。

過去に矯正した歯が後戻りしてしまった場合

矯正済みの歯列の一部が後戻りしてしまった場合の微調整には、部分矯正が適している場合があります。

部分矯正が難しい症例

部分矯正は一部分しか歯を動かすことができないため、以下に当てはまる場合は部分矯正での治療は難しいと考えられます。

・重度の開咬や過蓋咬合(かがいこうごう)など、噛み合わせに問題があって歯並びに不具合が生じている
・顎の成長具合や位置関係など、骨格自体に問題がある
・歯の位置が大きく乱れていて、部分的な治療では十分な成果を得ることができない

どのような症例でも、まずは精密検査を行ってから部分矯正が可能かどうかを判断します。部分矯正が難しい場合は、歯科医師から全体矯正をすすめられることもあるため、受診する前に「部分矯正が難しかった場合はどうしたいか」を想定しておくといよでしょう。

まとめ

前歯の一部分だけを動かして治療する部分矯正は、全体矯正と比べて短期間で終了するうえ、比較的安価で行えることから、とても魅力的な治療方法といえます。しかし、部分矯正が可能かどうかは症例によって異なるため、部分矯正に興味がある方は歯科医院で相談してみましょう。

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