矯正の認定医ってなに？信用できる歯科医院の見つけ方
矯正治療は費用が高額なため、信用できる歯科医院で治療を受けたいと願うのは当然のことです。
認定医がいる歯科医院は信用できると耳にしたことがある方もいると思います。
しかし、信用できる歯科医院かどうかを、認定医がいるだけで判断してよいのでしょうか。
そこで今回は、矯正治療の認定医とは何なのか、信用できる歯科医院の見つけ方について解説します。
矯正治療の認定医とは
まずはじめに認定医についてお伝えします。
矯正治療は専門的な知識や技術を必要とするものですが、実は歯科医師免許を持っていれば誰でも治療を行うことができます。
多くの矯正治療を担う歯科医師は、歯科医師免許取得後に大学病院などで専門的に勉強して技術を身につけますが、中には矯正の専門知識や技術を持たずに、矯正歯科の看板を掲げ、矯正治療を行い、トラブルが発生している歯科医院もあるのが現実です。
そのため、矯正歯科団体の一つである日本矯正歯科学会は「矯正歯科治療に関し、適切かつ十分な学識と経験を有する者を、認定医・指導医・臨床指導医（旧専門医）と認定する」として、基準とするレベルをクリアしている専門性の高い歯科医師を選定しています。
そうすることで、一般歯科や知識の少ない矯正歯科医師と区別する基準となっています。
矯正歯科団体は複数あり、それぞれ独自の認定制度により認定医などを選定しています。
おもな団体は以下です。
- 公益社団法人 日本矯正歯科学会
- 一般社団法人 日本矯正歯科協会
- 特定非営利活動法人 日本成人矯正歯科学会
ちなみに、「公益社団法人 日本矯正歯科学会」の資格者の内訳は以下です（2021年8月時点）。
- 学会員：7,000人程
- 認定医：2,664人
- 指導医：549人
- 臨床指導医：363人
なぜ認定医は信用できるの？
認定医についてお伝えしましたが、ではなぜ認定医は信用できるといわれるのかを日本矯正歯科学会の基準でみていきましょう。
まず、認定医になるためには
- 日本矯正歯科学会に5年以上在籍していること
- 学会が認めた大学病院や矯正歯科医療機関に2年以上の研修制度を受け、かつ矯正指導医のもとで3年以上の専門知識の習得、専門性を有していること
- 日本矯正歯科学会が発行する学会誌などに矯正歯科臨床に関する論文を発表していること
- 試験に合格すること
という基準をクリアしなければなりません。
つまり、歯科医師になるために6年間勉強し、歯科医師国家試験に合格したうえで、さらに5年以上矯正歯科について専門的に学び、学会の試験に合格しなければ認定医になることができません。
また、厚生労働省によると2018年12月31日時点で歯科医師は104,908人が届け出ているとされており、歯科医師全体の中で矯正歯科の認定医資格を保有しているのは約2.5％です。
矯正歯科の他団体の認定医を含めると、もう少し割合は高くなるかと思いますが、認定医の資格を保有しているとなると十分信用性の高い数値といえるでしょう。
そのため、矯正歯科の認定医を保有している歯科医師は全歯科医師の中でもわずかで、矯正治療にあたり歯科医師を選ぶ判断基準の一つといえるでしょう。
認定医の見つけ方
認定を保有しているかどうかが、信頼できる歯科医師選びの基準の一つになることがわかりました。
次に、認定医を見つける方法をお伝えします。
矯正歯科団体のホームページで認定医以上の資格保有者を検索する
矯正歯科団体の各学会のホームページから都道府県別に認定医を検索することができます。地域に何人の会員がいて、どの資格を保有しているのか、どの歯科医院に勤務しているのかを見ることができます。
そのため、通える地域の認定医を検索すると、ある程度歯科医院を絞れるでしょう。
各歯科医院のホームページを確認する
学会のホームページで認定医以上が在籍し、通院できる歯科医院を見つけたら、次は歯科医院のホームページを確認しましょう。
歯科医院のホームページでは勤務している歯科医師のプロフィールや経歴を紹介していることが多いため、認定医以上の資格を保有しているかを確認できます。
また、認定医資格を持つ歯科医師の人数を見ておくのもおすすめです。
勤務している歯科医師は多くても認定医が少ない場合、自身の矯正治療を認定医でない歯科医師が担当する可能性があるためです。
信用できる歯科医院を見つけるためには
治療に長期間かかる矯正治療は、信用できる歯科医院・歯科医師のもとで治療を受けたいものです。
認定医の資格以外にも歯科医院を選ぶポイントがあります。
- インターネットで情報収集する
- 担当歯科医師との相性をみる
- 歯科医院の立地や設備をみる
インターネットで情報収集する
インターネットが普及している現在、歯科医院のホームページを見たり、様々なサイトに載っている口コミなどで情報を仕入れることが可能です。
ただし、口コミを100％信用することはできません。口コミはあくまでも参考程度に考え、気になる歯科医院があれば実際にカウンセリングを受け、しっかりご自身の視点で判断してください。
担当歯科医師との相性をみる
歯科医師の中には、淡々と治療を行う人、コミュニケーションをこまめにとる人、必要最低限のことしか話さない人など様々です。認定医以上の資格を持っていたとしても、ご自身とは合わないと感じることもあるでしょう。
そのため、カウンセリングや相談時に相性が合うかどうかをみるのも一つです。治療期間が長い矯正治療のため、歯科医師との相性は通常の治療よりも大事なポイントです。
歯科医院の立地や設備をみる
各団体のホームページから認定医を見つけ、矯正歯科医院を探す場合、歯科医院の立地も重要です。
矯正歯科は、基本的に数年の間は1ヶ月に1回など継続的に通院が必要になります。
そのため、いくら技術や知識があり相性も良い歯科医師だったとしても、通院に1時間以上かかる、電車など乗り換えが多い、車でなければ通えないが駐車場が近くにないなど、通いにくい場所にあると、通院の負担は大きくなります。
また、学校や職場の近くにした場合、卒業後も通えるのか、転勤になる可能性はあるのかなども考慮する必要があります。
他にも、歯科医院の設備にも目を向けましょう。矯正歯科に限らず、医療は日々進化しているため、器械などの設備もどんどん新しいものが出るでしょう。
最先端の医療設備だから良いという訳ではありませんが、積極的に採用しているということは日々歯科医師の知識もアップデートしていることが多いので、信用できる目安の一つになるのではないでしょうか。
まとめ
今回は、認定医、信用できる歯科医院の見つけ方について解説しました。
矯正治療を受ける時は、認定医以上の資格を保有している歯科医師のもとで治療を受けることで、満足する仕上がりになる可能性は高いといえます。
しかし、それだけで矯正歯科医院を決めてしまうのはおすすめできません。
矯正治療は長期間通う必要があるため、歯科医院の立地・通いやすさは重要な項目です。
また、日々進化している歯科治療を学び、最先端の知識や技術、設備を導入しているか、口コミはいいか、他にも歯科医師との相性はどうかもみることが大切です。
矯正治療は基本的に中断する、途中で辞める、歯科医院を変更するということは難しいものす。
そのため、認定医資格は信用できる歯科医師とする基準の一つとして考え、様々な要素を含めて総合的に判断する必要があります。
