マウスピース矯正で使用するチューイーって何?使用する理由や使い方について解説!
近年、マウスピース型の装置を利用した矯正治療が浸透してきています。
「マウスピース矯正」にはいくつかの種類がありますが、中でも有名なのが「インビザライン」という矯正システムです。
インビザラインではさまざまな器具を駆使して矯正治療を行いますが、今回はインビザラインで使用される「チューイー」という器具について、使用目的や使い方などを解説します。
マウスピース矯正「インビザライン」とは?
マウスピース矯正とは、マウスピース型の透明な器具を装着して歯の移動を促す矯正治療のことです。「ワイヤー矯正」はワイヤーを歯に固定して矯正をするのに対し、マウスピース矯正は取り外しのできる器具を使用するため、口腔内を清潔に保ちやすいメリットがあります。
そんなマウスピース矯正の中でも、多くの歯科医院で採用されているのが、アメリカのアライン・テクノロジー社が開発した「インビザライン」というシステムです。
世界シェアはトップを誇り、1700万人以上の治療実績(2023年12末時点)があります。
インビザラインは独自の3Dシミュレーションソフトによって歯の動きをシミュレートしながら治療計画を立て、一人ひとりに適したマウスピースを作製して適宜交換しながら歯列を整えていきます。
インビザラインで使用する「チューイー」とは?
インビザラインでは、歯列にはめるマウスピースのことを「アライナー」と呼び、アライナーと歯を密着させるために使用する器具のことを「チューイー」と呼んでいます。
ちなみに、インビザライン以外のマウスピース矯正システムを行う場合も同じような器具がありますが、こちらもチューイーという名称で呼ぶのが一般的です。
チューイーは、シリコンやソフトプラスチックなど弾力性のある素材で作られたチューブ状のアイテムです。アライナーを装着したあとにチューイーを強く噛むことで、歯とアライナーの密着度を高めます。
マウスピース矯正で歯を動かすためには、自身の歯とマウスピースがしっかりと密着している必要があります。アライナーが浮いてしまっていると、歯列を動かすための力がうまく歯に伝わらず、計画通りに動きません。
また、インビザラインでは歯の表面に「アタッチメント」と呼ばれる小さいボタンのような器具を取り付けて、その上にマウスピースを装着するケースがほとんどですが、アタッチメントがあると歯とアライナーを密着させるのが難しいため、しっかりと密着させるためにもチューイーが欠かせないのです。
最近では、口に入れたときの不快感を和らげるために、ミントやフルーツのフレーバーが付いているチューイーや、噛みやすいように棒付きの飴のような形状をしているチューイーもあります。
チューイーの使い方
チューイーを噛む前に、まずはアライナーを前歯から奥歯にかけて両指でしっかりと押し込み、歯とアライナーを密着させましょう。
次にチューイーを前歯ではさみ、噛み切るような強さで数回噛みます。アライナーが前歯とフィットしたら、今度は前歯と隣接している歯にチューイーを移動させて数回噛み、また少し位置を奥にずらして数回噛み、最後は奥歯でもしっかりと数回噛みましょう。
これを左右どちらも行ってすべての歯でチューイーをしっかりと噛み、歯とアライナーがぴったりと密着すれば完了です。
チューイーが2つある場合は、口腔内で左右対称になる位置に入れて、サイドの歯や奥歯を左右同時に噛むと、よりうまくフィットするようになります。
また、アライナーを新しくした直後や、歯とアライナーがうまく密着していないと感じたときは、チューイーを10~20分程度ガムのように噛み続けるのがおすすめです。これを数日続ければ、次第になじんでくるでしょう。
ただ、長時間噛み続けると顎関節症の原因になることがあるため、1時間など長い時間噛み続けるのは避けてください。
チューイーを噛むと顎に痛みが生じるようになったり、いくら噛んでもアライナーのフィット感が得られなかったりする場合は、早めに担当の歯科医師に相談しましょう。
チューイーの管理方法
チューイーは口に入れるものなので、清潔な状態を維持する必要があります。使用したあとは水で洗い、しっかりと乾燥させてからアライナーの保管ケースにしまいます。
ちなみに、チューイーは10日前後で弾力がなくなってしまうことが多いので、使用感が悪くなったら新しいものと交換しましょう。
チューイーを使用しないとどうなる?
ご紹介した通り、マウスピース矯正においてチューイーはとても重要な役割を担っています。
「チューイーに頼らず、手だけでアライナーを押し込むだけで十分では?」と思う方がいるかもしれませんが、歯とアライナーの密着度を高めるために最も有用なのが、ほかならぬチューイーです。
チューイーを使わずに手で押し込んで密着させようとしても、チューイーほどの効果は望めませんし、手で無理やりはめようとするとアライナーやアタッチメントが破損するおそれがあります。
また、マウスピースは食事のたびに取り外してはめなおす必要があります。装着のたび密着度に差があると、結果的にうまく密着していない状態が長時間続くことになり、歯がうまく動かなかったり矯正期間が長引いたりするおそれがあるため、必ずチューイーを使用するよう心がけましょう。
チューイーを紛失してしまったときの対処方法
前述したとおり、マウスピース矯正を成功させるにはチューイーの存在が必須です。
しかしチューイーはとても小さくて軽いため、紛失しやすいのが現実です。また、チューイーは丈夫な素材で作られてはいるものの、毎日しっかりと噛んで使用する器具なので、数日で破損してしまうことも少なくありません。
そもそもチューイーは、アライナーと一緒に歯科医院で購入するのが一般的なので、チューイーを紛失したり破損したりした際は、歯科医院で新しいものを購入するのが一番です。
ただ、すぐに歯科医院を受診することができない場合もあるため、それまでのつなぎになる代用品をいくつかご紹介します。
タオル類
厚みがあるタオルや、何枚も重ねたハンカチなどを強く噛めば、チューイーの代用になります。ただ、大きなタオルを使用すると奥歯で噛むことが難しくなるため、小さいものを使用したほうがいいでしょう。
ティッシュ
タオルよりも薄くてもろいため、重ねて畳んだり丸めたり、厚みが出るようにしてから使用します。口の中の水分が奪われたり、誤飲の危険性があったりするため、あまりおすすめすることはできませんが、出先でもすぐに手に入るのはメリットです。
割りばし
硬く噛み応えもあるため、チューイーの代わりとしては比較的役立ちますが、アライナーが傷つくことがあり、矯正治療自体に支障が出るケースがあります。
赤ちゃんの歯固め
歯固めとは、生後半年~1歳くらいの赤ちゃんが使用するおもちゃの一種です。
赤ちゃんは、歯が生え始めると違和感やむずむず感を解消するために口にものを入れたがります。
歯固めは、その欲求を解消したり、口腔内を刺激して顎や歯の成長を促したりする目的で使用されるおもちゃです。
噛むために作られているため丈夫で、赤ちゃんが噛んでも痛くないように柔らかめの素材で作られているので、代用品の中では一番適しているといえるでしょう。
ただ、歯固めの形状によっては奥歯で噛むのがむずかしく、そもそも乳幼児がいる家庭でないと家にないアイテムなので、使用できるシチュエーションがかなり限られるのがネックです。
ご紹介したものは、あくまでも歯科医院で新しいチューイーをもらうまでの代用品です。
できる限り早急に歯科医院を受診し、正規の製品を手に入れるようにしましょう。
まとめ
インビザラインによるマウスピース矯正では、歯とアライナーをしっかりと密着させることがとても大切ですが、その重要な役割を担うのがチューイーです。
アライナーを装着するたびにチューイーを噛むのは少し面倒だと感じる方も多いと思いますが、矯正治療を成功させるために必要なことなので、忘れずに行うようにしましょう。