矯正が必要な歯並び・噛み合わせとは?
矯正治療を検討する時、「自分は矯正治療が本当に必要?」「この程度の歯並び、噛み合わせなら矯正はしなくてもいいのかな?」などと悩む方もいるでしょう。
ご自身では矯正治療は必要ないと思っていても、歯科医師からみたら必要なレベルの方もいれば、治療が必要のない方、無理にやらないほうがいい方もいます。
そこで今回は、矯正治療が必要な歯並び・噛み合わせについて解説します。
矯正治療が必要かどうか自分で判断する基準はある?
歯並び・噛み合わせは、顔の印象や健康に影響を与えることがあります。
そのため、歯並び・噛み合わせの悪さを矯正治療で改善することで、見た目が整うだけでなく体の不具合がなくなる場合があります。
矯正治療が必要かどうかご自身で判断する基準を紹介します。
- 歯並びにコンプレックスがある
- 虫歯や歯周病になりやすい
- うまく噛めない
- 頭痛や肩こりがひどい
それぞれ詳しく説明します。
歯並びにコンプレックスがある
矯正治療を検討する方の中で最も多いのが「歯並びにコンプレックスを感じている」だと思います。
口元が気になるせいで、口元を隠して会話をする、思い切り口を開けて笑うことができないなど、周囲の目が気になって自信を持てない方もいます。
このような場合は、矯正治療を受けることで自信が持て、周囲の目を気にせずに過ごせるようになるでしょう。
虫歯や歯周病になりやすい
歯並びが悪いと、歯磨きをしても磨き残しが多く、虫歯や歯周病、口臭などのトラブルにつながります。
とくに歯が重なり合う箇所は歯ブラシの毛が届きにくいため、汚れが残りやすいので注意が必要です。
また、歯並びが悪い箇所は、唾液がうまく流れていかず汚れを洗い流しにくい環境となります。
そして、噛み合わせが悪いと噛む回数が減るなどの理由から唾液量が減ってしまいます。唾液には抗菌作用もあるため、量が減ったり歯に行き渡らないと口腔環境が悪化し、虫歯や歯周病に侵されやすくなるため、矯正治療をおすすめします。
噛み合わせが悪い
食事中に頬を噛みやすい、顎に痛みを感じる、前歯で麺類や薄いものを噛みきれないといったことがあると、噛み合わせの悪さが原因で不具合がでていると考えられます。
噛み合わせが悪い状態が長く続くと、自然と噛む回数が減り、消化器官に影響が出て消化不良を起こす可能性があります。
とくに小さいお子さんにおいて噛む回数が少ない場合、体の成長にも影響が出るとも言われているため、年齢に関係なく矯正治療を検討したり、早めに歯科医院で相談してみてください。
他にも、噛み合わせの悪さから顎関節に負担がかかり、顎の骨や筋肉のバランスが悪くなり、顔や体が歪んでくる場合もあります。
矯正治療が必要な噛み合わせなのか、被せ物などが原因で噛み合わせが悪いのかなど、歯科医院で正確に診断してもらいましょう。
頭痛や肩こりがひどい
歯並び・噛み合わせが悪く、片側ばかりで噛むなど顎のバランスが悪い場合、顎や口周りの筋肉バランスが崩れ、やがて体全体の歪みや口や顎周りの骨にも悪影響を及ぼすことがあります。
長年の悪影響が蓄積されることで、体の歪みや慢性的な頭痛、肩こり、腰痛などといった症状を引き起こしているかもしれません。
もちろん姿勢などが原因の可能性もありますが、歯並びや噛み合わせが悪い場合は歯科医院で診てもらいましょう。
歯科医師が判断する矯正が必要な歯並び・噛み合わせとは
歯並びが悪くても「見た目は気にならない」「とくに食事で不自由していない」「体の不調を感じない」という方は矯正治療は必要ないと思うかもしれません。
しかし、以下の歯並びや見た目に当てはまる方は矯正治療をすすめられるでしょう。
- 叢生(そうせい)
- 上顎前突(じょうがくぜんとつ)
- 下顎前突(かがくぜんとつ)
- 過蓋咬合(かがいこうごう)
- 交叉咬合(こうさこうごう)
- 開咬(かいこう)
- 正中離開(せいちゅうりかい)
矯正治療は見た目を改善するためだけではなく、健康を守るためにも必要な場合があります。それぞれ詳しく解説しますので、ご自身の歯の状態と照らし合わせてみてください。
叢生
歯が前後にずれていたり、歯が重なっているなどガタガタした歯並びのことを叢生といい、ガチャ歯、乱杭歯(らんぐいし)と呼ばれることもあります。
日本人で最も多い不正咬合で、顎が小さいため歯がきれいに並ばないことが原因と言われます。
八重歯も叢生の一つです。
上顎前突
上顎前突は一般的には出っ歯と呼ばれ、上顎が下顎よりも前に出ている状態のことです。見た目のコンプレックスになりやすかったり、歯が前に出ることで歯ぐきが乾いたりするため、歯列矯正を考える方が多いです。歯ぐきが過剰に見えてしまうガミースマイルを併発している場合もあります。
上顎前突は、遺伝だけでなく、幼少期からの口呼吸や指をしゃぶり、舌で歯を押すといった悪習癖が原因のこともあります。
下顎前突
下の歯並びや下顎が前に大きく出ている状態のことを下顎前突、一般的には受け口といいます。
こちらは遺伝的要因が大きいですが、下顎を突き出す習慣が子供の時にあり、顎の位置や大きさなどが決まるとされる思春期に口呼吸をしていたといった悪習慣の影響が大きいです。
下顎前突は通常より咬合力が低下しやすく、発音・滑舌が悪くなることもあります。
過蓋咬合
過蓋咬合は上の歯が下の歯を通常よりも深く覆い、噛んだ時に下の歯が隠れてしまう状態で、一般的にはディープバイトと呼ばれます。
放置すると健康面での問題が非常に多く出てしまい、歯周病の進行を早めたり、歯にヒビが入ったり割れやすい、顎関節症のリスクを高めるといったことがあります。
他には、噛む力が強いため、エラが張りやすかったり横顔などの顔の印象に大きく関わる可能性もあります。
過蓋咬合は遺伝的要因で元々上顎と下顎の長さの差が大きいため、悪い噛み合わせになるとされています。
交叉咬合
通常、上の歯が下の歯に被さるのが一般的ですが、交叉咬合は歯並びの途中で上下の噛み合わせが逆になる、つまり上の奥歯が下の奥歯より内側に入る状態をいいます。
クロスバイトやシザーズバイトとも呼ばれ、顎が歪んだり、顔の左右差が目立つことがあるため、見た目のコンプレックスに悩む方が多いです。
顎が完成する思春期前に、日常的に頬杖をつく、片側ばかりで噛むといったことが原因になるとも言われています。
開咬
奥歯で噛んだ時に上下の前歯が噛み合わず隙間がある状態のことで、オープンバイトとも呼ばれます。
開咬は遺伝的に顎がずれている場合もあれば、幼少期の指しゃぶりの期間が長かったり、口呼吸、舌で前歯を押すなどの後天的なことが原因となることもあります。
開咬は前歯でものを噛み切れないため、奥歯に過度な負担がかかるだけでなく、発音にも影響が出ることもあります。
正中離開
正中離開は真ん中にある前歯との間に隙間がある状態で、すきっ歯とも呼ばれます。
原因としては、歯の大きさが不揃いだったり、歯の大きさに対して顎が大きいことが挙げられます。長年、前歯の裏を舌で押すことで隙間ができることもあります。
隙間があることで汚れが溜まりやすく、歯磨きもしにくいため虫歯や歯周病になりやすいです。
また、隙間から空気が漏れるため、滑舌が悪い場合もあります。
まとめ
今回は、矯正治療が必要な歯並び・ 噛み合わの判断基準について解説しました。
歯並びが悪くても、ご自身が気にならなければ矯正治療をする必要はないかもしれません。
歯並びは見た目の問題だけではなく、体の不調にもつながっています。
長い目で見た時の健康を考えて、あの時矯正治療をしておけば良かったと後悔しないために、ご自身の歯並びや体調について気になることがある方は、歯科医師に歯並び・噛み合わせを判断してもらうとよいでしょう。