知っておいて損はない!いまさら聞けない矯正の基本6選
近年、矯正治療はとても身近な存在になってきています。ただし、矯正治療自体の知名度が上がる一方で、治療の内容や方法についてよく知らない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、矯正治療に関する基本的な知識の中から、矯正治療の目的や種類、治療期間、料金など、6つのポイントを解説します。
矯正治療の目的とは?
矯正治療の目的は、おもに「見た目」と「健康面」の改善です。
①審美性を高める
歯並びを整え、審美性を向上させます。
歯並びの悪さをコンプレックスと感じている方は、口を開けて笑うことができなかったり、笑うときに手で口元を隠す癖がついたりなど、日常生活に支障が出る場合があります。
矯正治療によって歯並びが整い見た目が改善されると、そういったコンプレックスが解消され、自信がもてたり、心から笑えるようになったりする方も少なくありません。
また、歯並びや噛み合わせが整うことで、口元や横顔の美しさが向上する場合もあります。
②歯並びや噛み合わせを整え、体全体の健康を守る
矯正治療の重要な目的のひとつが、噛み合わせの改善です。歯並びが悪いなどで上下の歯がうまく噛み合わないと、以下の不調が起こるリスクがあります。
- 歯並びが悪く歯ブラシがうまく行き届かない部位がある場合、歯茎に炎症を起こす「歯周病」や虫歯のリスクが高まる
- 噛み合わせの悪さによって顎の筋肉に負荷がかかり、頭痛や肩こりが起きやすくなる
- 顎の関節に負荷がかかり、顎関節症になるリスクが高まる
- うまく咀嚼ができないことにより、しっかりと噛まずに食べ物を飲み込む癖がつき、胃腸に負担がかかる
- 歯の隙間から息が漏れたり、舌を自由に動かせなかったりすることによって、滑舌が悪くなる
矯正治療は歯並びや噛み合わせをよくするだけでなく、心身の健康を改善する効果も期待できるのです。
矯正治療にデメリットはある?
前述したとおり、矯正治療で得られるメリットは複数ありますが、医療行為である以上デメリットも存在します。主なデメリットは、以下のとおりです。
- ほとんどの場合で自費診療となるため、高額な費用がかかる
- 矯正器具を装着することにより、口腔内に痛みや違和感が出たり、歯磨きがしにくかったりなどの不便がある
- 歯の状態によっては、抜歯が必要になるケースがある
- 矯正中は、ワイヤーの装着などで見た目に影響が出ることがある
矯正治療の種類は?
ワイヤー矯正
「ワイヤー矯正」とは、歯の表面に接着したボタン状の器具「ブラケット」にワイヤーを通し、歯を徐々に動かしていく方法です。
ほとんどの症例に対応できる治療方法で、ワイヤーを調整することにより効率的に歯に力を与えられます。ただ、器具を取り外すことができないため、ブラケットやワイヤーなどの装置が目立ちやすく、歯磨きがしにくい点がデメリットです。
マウスピース矯正
「マウスピース矯正」とは、取り外し可能なマウスピース型の矯正装置を使用した方法です。さまざまなメーカーのシステムがありますが、当院ではアメリカのアライン・テクノロジー社が開発した「インビザライン」を採用しています。
マウスピースは透明で目立ちにくく、取り外しが可能なので口腔内を清潔に保ちやすいメリットがあります。
一方で、マウスピースを1日に20時間以上装着しなければならず、自己管理が必要です。また、症例によってはマウスピース矯正が適用できない場合があります。
コンビネーション矯正
「コンビネーション矯正」とは、ワイヤー矯正とマウスピース矯正を併用する方法です。多くの場合、矯正治療の前半にワイヤー矯正を行い、後半でマウスピース矯正を行います。
外科矯正
外科矯正とは、骨格のずれなどにより歯の移動だけでは改善が難しい場合に用いられる方法です。手術を行って顎の骨を動かすことで、噛み合わせを改善します。ワイヤー矯正やマウスピース矯正など、他の矯正と併用することが一般的です。
矯正治療はいつから始めたらいいの?
お子さまの場合
乳歯期または混合歯列期(乳歯と永久歯が混在している時期)に行う「1期治療」と、すべての歯が永久歯に生え変わってから行う「2期治療」に分かれます。
顎が成長する時期に合わせて矯正治療を行うことで、スムーズに歯の移動が行えたり、将来的に大掛かりな矯正治療をしなくてすんだりするケースがあります。
1期治療は、早ければ3歳頃から始めることができるため、お子さまの歯並びや噛み合わせが気になったら、早めにかかりつけの歯科医院に相談してみるといいでしょう。
大人の場合
顎の成長が完全に止まった大人の場合は、年齢に関係なく矯正治療を始めることができます。歯と歯茎の状態が健康であれば、何歳までという制約も基本的にはありません。
矯正治療の治療期間は?
矯正には大きく分けて2つのステップがあり、その2つを合計した期間が矯正期間となります。
①矯正期間(動的治療期間)
矯正器具を用いて、歯を動かす期間を指します。すべての歯を移動させる「全体矯正」の場合、歯の状態によって治療期間は大きく異なり、1~3年程度です。
歯の一部分(多くの場合、前歯の歯列)のみを移動させて歯並びを整える「部分矯正」の場合、こちらも歯をどのように動かすか、どの部位を動かすかによって治療期間が異なりますが、2か月~1年半程度が一般的です。
また、ワイヤー矯正よりもマウスピース矯正のほうが、治療期間が長くなる傾向にあります。
②保定期間
矯正治療直後の歯は、とても動きやすい状態です。そのままにしておくと元の位置に戻ってしまうため、歯の後戻りを防ぐために「リテーナー」と呼ばれる保定器具を装着しなければなりません。その期間を「保定期間」と呼びます。
保定期間の目安は、全体矯正でも部分矯正でも、動的治療にかかった期間と同程度です。動的治療期間が2年だった場合は保定期間も約2年となり、矯正治療の合計期間は約4年となります。
矯正治療の料金は?
矯正治療は、厚生労働大臣が定めた一部の疾患を除いて、そのほとんどが自費診療です。そのため、矯正治療の料金は歯科医院によって異なります。矯正方法や歯の状態で費用に差がありますが、大まかな費用は以下のとおりです。
矯正治療の種類 | 金額 |
全体矯正(ワイヤー矯正) | 60~150万円 |
全体矯正(マウスピース矯正) | 70~150万円 |
部分矯正(ワイヤー矯正) | 30~60万円 |
部分矯正(マウスピース矯正) | 30~40万円 |
コンビネーション矯正 | 60~150万円 |
どの矯正方法を行うにしても、決して安い金額ではありません。支払い方法は、現金以外にもクレジットカードによる分割払いや、歯科治療に関する高額な医療費を分割で支払うためのローン「デンタルローン」などが選べることもあるため、料金や支払い方法については歯科医院と事前に相談しておくことをおすすめします。
まとめ
歯並びや噛み合わせを整える矯正治療は、審美性の向上だけでなく、心身の健康を守るために行う場合もあります。見た目のコンプレックスや身体の不調の改善が期待できるため、そのような悩みがある方にとっては魅力的な治療方法だといえるでしょう。
しかし、ご紹介したとおり矯正治療にもいくつかのデメリットがあります。口腔内の状態によっては、大掛かりな外科手術を必要とする場合もあるため、矯正治療を検討した際は、ご自身でもしっかりと調べ、担当の歯科医師とも納得がいくまで話し合いを行ってから治療を行うかどうかを決断するといいでしょう。