インプラントがあっても矯正はできる?

歯並びや噛み合わせを整えたい、見た目をきれいにしたいと検討している方の中には、インプラント治療をすでに受けている方がいるかもしれません。

「インプラントが入っていても歯列矯正はできるの?」「矯正を始める時にはインプラントを取り外す必要はあるの?」といった疑問も出てくるのではないでしょうか。

今回は、インプラントがある場合に歯列矯正はできるのか解説していきます。

インプラントと天然歯の違い

歯列矯正ができるかどうかをお伝えする前に、インプラントと天然歯の違いについて、簡単に解説します。

天然歯

歯の根っこが歯槽骨(しそうこつ)に埋まっており、歯の頭の部分が歯茎から見えている状態です。また、歯の根っこの周りを歯根膜という歯の靭帯のような組織が覆い、歯槽骨と結びついています。

この歯根膜があるおかげで、噛む力の衝撃を緩和したり、噛み応えなどを脳に伝えます。

インプラント

歯の根っこの代わりにチタン製のインプラント体(人工歯根)を歯槽骨に埋め込みます。そして、インプラント体の上に土台となるアバットメント(接続部分)があり、上部構造(被せ物)を入れます。天然の歯のようにしっかり噛むことができますが、歯根膜は存在しません。

2つの大きな違いとしては、歯根膜があるかないかです。

歯根膜があると、衝撃を緩和するだけでなく、食べる時のほんの僅かな感覚も、歯根膜の働きによって感じられます。また、かたい食べ物は力を入れて、やわらかい食べ物は軽い力でという風に、食べ物によって噛む力を無意識のうちに適切にコントロールして噛めるのも、歯根膜があるからです。

インプラントは歯根膜がないため、噛む力の微調整が難しく、よく噛める反面、強い力で噛みがちで、衝撃がダイレクトに骨に伝わって負担がかかる場合があります。

この歯根膜は矯正治療にも大きな役割があります。

歯列矯正で歯が動く仕組み

歯根膜は歯列矯正で歯を動かすために必要不可欠な存在です。

ワイヤー矯正とマウスピース矯正ともに、歯に矯正力をかけると、歯根膜が伸びたり縮む動きをします。

歯根膜があることで、矯正力がかかった部分の歯槽骨は「骨吸収」をし、歯が移動する方向に沿って少しずつなくなります。

一方、引っ張られる側では「骨形成」により動いたことで隙間ができた部分に新しい骨が添加されます。

このようなことを繰り返すことで、歯がだんだんと動いていきます。

インプラントしていても歯列矯正はできる?

インプラントは歯根膜がないから歯列矯正ができないと思われてるかもしれませんが、インプラントが入ってても歯列矯正をすることは可能です。

しかし、全体矯正はできなく、部分的な矯正しか行えません。

前述にもありますが、インプラントは顎の骨としっかり結合しており歯根膜が存在しないため、矯正で力をかけても動かせません。

しかし、インプラントではない歯を動かすことは可能です。例えば、インプラントが奥歯にあり、前歯の歯並びを整えたい場合でしたら、前歯の部分矯正は可能です。

また、インプラントが動かないことを利用して、インプラントに装置を付けて前歯を奥へ引っ込めることもあります。

インプラントがある歯列矯正のメリット・デメリット

インプラントがあっても、必ずしも歯列矯正ができないわけではないことはご理解いただけたかと思います。

次に、インプラントがある場合の矯正治療のメリットとデメリットについてお伝えします。

メリット

インプラントは矯正力が加わっても動かない点をメリットと考え、固定源の一つとして使うことができます。

固定源があることで、特定の歯のみを動かすことが可能になったり、微調整ができるといったメリットがあります。

インプラントを利用することで、スムーズに歯列矯正を進めるためだけでなく、インプラント周囲の歯並びを改善し、見た目や噛み合わせを改善できる点もメリットとなります。

歯並びが悪く歯のアーチが乱れていると、歯磨きが難しく、磨き残しが多くなってしまう場合があります。磨き残しがあると細菌を増殖させる原因となり、虫歯や歯周病のリスクを高めます。

インプラントは虫歯にはなりませんが、歯周病にはなります。インプラントには歯根膜がなく骨と結合しているため、歯周病菌に対する組織の防御反応が天然歯と比較すると劣っていて、進行すると一気に進んでしまいます。

それだけでなく、不適切な噛み合わせは歯に余分な力を加えてしまったり、顎関節に負担がかかるリスクもあります。

これらも歯周病の原因になるため、歯列矯正で歯並びと噛み合わせを整えることによって得られるメリットは、長期的に口腔内をいい状態に保つ場合に非常に有効となるでしょう。

デメリット

インプラントは歯槽骨と結合しているため歯列矯正で動かすことができません。

そのため、歯を動かしたい方向にインプラントがある場合は、歯列矯正は困難になります。動かす方向にインプラントがなければ問題なく動かせるため、お口の中の状態によって制限ができてしまいます。

歯列矯正後にインプラントのやり直しは必要?

歯列矯正のあとにインプラントのやり直しが必要なのではと不安に感じる方もいるでしょう。

基本的には、インプラントの手術を再度やり直す必要はありませんが、稀なケースとして、矯正の妨げになる位置にインプラントが入っている場合は、状況を説明しインプラントを再度埋入することもあるでしょう。

ですが、場合によっては上部構造をやり直す必要があります。

歯列矯正をして正しい噛み合わせになると、以前入れていた被せ物では噛み合わせがそこだけずれていることがあります。

インプラントの部分だけ噛み合わせがずれていると、そこだけ強い負荷がかかったり、顎関節症や頭痛、肩こりといった全身にまで影響が及ぶ可能性があります。

そのため、再度上部構造の費用はかかってしまうかもしれませんが、全体のことを考えて新しく作り直す方がいいこともあります。

まとめ

インプラントが入っていても歯列矯正を行うことはできますが、全体矯正は難しいです。

また、場合によっては上部構造を新しくする必要があるかもしれません。

自分がインプラント後に矯正できるかどうかわかるには歯科医院で適切な検査・診断を受ける必要があります。

矯正のカウンセリングを受けられる際は、インプラントの有無、今後インプラント治療をする予定があるなども伝えるようにしましょう。

お口の中の環境は一人ひとり違い、それぞれに合った治療計画を立てるためには、「歯を失った本数」「インプラントが何本入ってるか」「歯並び」「虫歯や歯周病の有無、進行状況」など、今の状況を細かく調べる必要があります。

また、どんな診断結果を出すかは、歯科医師によっても異なるため、1箇所で無理と言われても他の歯科医院では可能な場合があります。

反対に、インプラントの治療をこれからする予定で、歯列矯正をするか悩まれている方は、治療する順番を事前に歯科医師に相談しましょう。

歯列矯正をしてから、インプラント治療を行った方が歯並びや術後の経過がよいためです。

もしかすると、インプラントをいれる予定の箇所の隙間を歯列矯正で埋めることができて、費用を抑えることができるかもしれません。

インプラント治療後の歯列矯正は可能かどうか、インプラント治療と歯列矯正どちらもする予定があって、どちらを先にするか悩んでいる方、どちらでも相談する際は、インプラントと矯正それぞれの治療に対応している歯科医院を選ぶと一つの歯科医院で行えてスムーズな治療ができるためおすすめです。

news
ニュース

ニュースの新着記事

歯科コラム

歯科コラムの新着記事

取材情報

取材情報の新着記事

調査結果

調査結果の新着

RESERVATION
               
contact us
お問い合わせ
Access
医院案内
アトラスタワーデンタルクリニック医療法人社団山手会
住所
153-0051
東京都目黒区上目黒1-26-1
アトラスタワー2F.3F
アクセス
東横線・日比谷線中目黒駅徒歩30秒
電話番号

2F) 03-5721-4188

3F) 03-5724-3604

診療時間 日・
祝日
10:30-13:00
15:00-19:30
アトラスタワーデンタルクリニック