矯正治療の費用はどのくらい?矯正方法や矯正装置による費用の違いを解説!
歯並びや噛み合わせを整えるために行う矯正治療は、ほとんどの場合が自費診療です。
治療方法や歯科医院によって価格が大きく異なるうえ、決して安くない治療費がかかるため、矯正治療に対して二の足を踏んでいる方も少なくないでしょう。
そこで今回は、ワイヤー矯正やマウスピース矯正などにどのくらいの費用がかかるのかを解説します。
ワイヤー矯正にかかる費用
歯の表面にボタン状の「ブラケット」と呼ばれる器具を接着し、そこにワイヤーを通して歯を動かす矯正方法をワイヤー矯正といいます。ワイヤー矯正は歴史が長く症例も多いため、最もスタンダードな矯正方法です。
ワイヤー矯正にかかる費用は30万~190万円程度と幅広く、症例や治療内容で大きく異なります。
■表側矯正(全体矯正の場合:60万~130万円)
表側矯正とは、歯の表側にブラケットを装着する方法のことです。一般的にワイヤー矯正と聞いてイメージするのは、この表側矯正でしょう。
重度の出っ歯や受け口、左右の噛み合わせのずれなど、ほとんどの症例に対応が可能な点と、他の方法と比べて比較的安価で矯正ができる点で、多くの患者様に選ばれています。
費用のふり幅が大きいのは、軽度の症例であればあるほど費用も安くすみ、逆に重度であると費用がかさむ傾向にあるためです。これは、ほかの矯正方法も同様です。
後述しますが、ワイヤー矯正に使用する装置は現在さまざまな種類があり、装置の種類によっても料金が異なります。
■裏側矯正(全体矯正の場合:100万~190万円)
裏側矯正とは、歯の裏側にブラケットを装着してワイヤーを通し、歯を動かす矯正方法のことです。舌側矯正やリンガル矯正とも呼ばれます。
表側矯正では矯正装置が目立つことが大きなデメリットでしたが、裏側矯正は外からは見えにくい場所にブラケットとワイヤーを装着するため、見た目を気にせずに治療を行うことが可能です。
ただ、裏側矯正は高い技術を要するため表側矯正よりも高額になりやすく、そもそも裏側矯正を行っていない歯科医院も少なくありません。裏側矯正を希望する場合は、受診予定の歯科医院で裏側矯正を行っているかどうかを、事前にチェックしておくといいでしょう。
■ハーフリンガル矯正(全体矯正の場合:80万~150万円)
ハーフリンガル矯正とは、表側矯正と裏側矯正を組みあわせた矯正方法のことです。一般的には、上の歯には裏側に、下の歯には表側に矯正装置を装着します。
費用の相場は、表側矯正と裏側矯正の中間です。すべて裏側矯正にするよりは費用が安くすみ、すべて表側矯正にするよりも装置が目立たないため、両方のメリットを享受できる矯正方法だといえます。
■部分矯正(30万~80万円)
気になる部分のみを矯正する方法が、部分矯正です。主に前歯に用いられ、前歯に4~6個のブラケットを取り付けてワイヤーを通し、部分的に歯を動かして歯並びを整えます。使用する装置が少なく、治療期間も短いため、全体矯正よりも費用が安くすみます。
また、部分矯正にも表側矯正と裏側矯正があり、表側の場合は30万円程度、裏側の場合は50万~80万円程度が相場です。
矯正器具による価格の違い
ワイヤー矯正で使用する矯正器具には、いくつかの種類があります。使用する装置によっても価格が異なってくるため、ぜひチェックしておきましょう(記載する価格は、表側矯正の一般的な相場です)。
・メタルブラケット(30万~80万円)
金属でできている、最も一般的なブラケットです。耐久性に優れており価格も安価ですが、目立つ見た目をしていることや、金属アレルギーの方は使用が難しいことがデメリットといえます。
・プラスチックブラケット(60万~90万円)
ポリウレタンやポリカーボネートなどのプラスチック素材で作られたブラケットです。透明なので目立ちにくいものの、金属のブラケットと比較すると耐久性に劣ります。
・セラミックブラケット(65万~100万円)
陶器の一種であるセラミック素材で作られたブラケットです。セラミックは自然な白色をしているため、歯の色となじみやすく、目立ちにくいメリットがあります。
さらに、メタルブラケットと同程度の耐久性もある優れた素材ですが、メタルブラケットやプラスチックブラケットと比較すると、やや高額です。
・ハイブリッドブラケット(35万~80万円)
プラスチックとセラミックを混ぜた素材で作られたブラケットです。白い素材なので目立たず、プラスチックとセラミックのメリットを同時に得ることができますが、耐久性の面ではメタル素材や純粋なセラミック素材には劣ります。
・ジルコニアブラケット(65万~100万円)
セラミックの一種であり、人工ダイヤモンドと呼ばれるほどの強度を誇るジルコニア素材で作られたブラケットです。白いため目立ちにくく、耐久性に優れるうえ汚れが付きにくい特徴がありますが、費用は高めです。
・ホワイトワイヤー(70万〜120万円)
一般的なワイヤーは金属なので銀色ですが、近年は白い見た目のホワイトワイヤーを選択することができるようになりました。
もともと白い金属であるロジウムを使用しているものもあれば、銀色のワイヤーを白く着色しているものもあります。ロジウムのホワイトワイヤーは、その希少性からやや高額です。
マウスピース矯正にかかる費用
マウスピース矯正とは、取り外し可能なマウスピースを1日に20時間以上装着し、定期的にマウスピースを交換しながら徐々に歯を動かす矯正方法のことです。
多くの場合、治療を始める際はまずコンピューター上で歯の動きをシミュレーションし、必要なマウスピースを一気に作成して使用します。
マウスピースは透明なので、ワイヤー矯正と比べると目立たず、取り外しができて口腔内を清潔に保ちやすいメリットがありますが、マウスピースの管理を患者様ご自身で行わなければいけません。
マウスピース矯正はさまざまなメーカーがありますが、全体矯正の場合は60万~100万円程度、部分矯正の場合は10万~60万円程度が一般的です。
ただ、マウスピースを紛失した、装着時間が足りなくて歯の動き方が想定とずれてしまったなどの場合はマウスピースを作り直さなければならず、その際は追加料金がかかります。
マウスピース矯正の費用を抑えるためには、自己管理をしっかりとすることがとても大切です。
ちなみに当院では、全世界で1500万件以上の治療実績がある、アメリカのアライン・テクノロジー社が開発した「インビザライン」というシステムを導入しています。
小児の矯正治療にかかる費用
小児矯正は、大きく分けて1期治療と2期治療に分かれています。
1期治療
5~6歳頃、乳歯が永久歯に生え変わる時期に行う治療を、1期治療と呼びます。症例によって治療内容は異なりますが、正しい舌の使い方を訓練したり、永久歯が生えるスペースを作るために顎を拡大したりするのが一般的で、かかる費用は30万~50万円程度です。
2期治療
12歳前後、永久歯が生え揃ってから行う治療が、2期治療です。治療内容は成人の矯正治療とほとんど同じで、ワイヤー矯正などを用いて歯並びを整えます。かかる費用は1期治療と同じく、30万~50万円程度が相場です。
矯正治療が保険診療になることはある?
前述したとおり、矯正治療は基本的に自費診療です。
これは、矯正治療は見た目を改善する側面が強いためだといわれていますが、厚生労働省が定めた特定の疾患であることが証明された場合のみ、矯正治療が保険診療になるケースがあります。
ただ、保険診療の矯正治療が可能な医療機関は限られているため、もし保険診療が可能な疾患だと診断された場合は、担当の歯科医師と今後の進め方をよく相談するといいでしょう。
まとめ
自費診療の矯正治療は、どういった矯正方法でも高額な費用がかかります。
お金の面で後悔しないためにも、矯正治療を検討する場合は、各矯正方法のメリットとデメリットをよく調べ、ご自身が納得できる決断ができるよう心がけましょう。