週刊新潮(2014.09)

骨量の少ない場所へのインプラント(下あごの場合)

インプラント・矯正治療を始める前に知っておきたいこと ◆第四回◆

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骨量の少ない場所へのインプラント 〜河合 毅師〜
 − 下あごの場合 −
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前号では上顎の骨量の少ない場所へインプラントを施術する方法についてお話し致しましたが、、今回は下顎の骨が『薄い』という下顎の厚みや幅の問題に対応できる治療方法を紹介します。下顎には下顎管という神経・動脈が入った管があるので手術でもその走行に留意して施術することが必要となります。

仮骨延長術‥歯槽骨の吸収が垂直方向に起こっている場合に用いる手法で、垂直方向における歯槽骨の長さが足りない場合に行います。この手術は簡単に言うと、歯槽骨をストレッチして、歯槽骨を伸ばす方法です。まず伸ばしたい部分に歯槽骨をブロックに分割します。そして基底部の骨とブロックの骨の両方に純チタン製の骨延長器を取り付けます。1日1ミリくらいのスピードで伸ばしていき、最終的には全体で10ミリ以上延長することができます。延長後は3カ月ほど固定し、骨の成熟化を待って、インプラントを植立し、骨延長器は取り外します。

②遊離自家骨移植‥これは顎の骨が大きく溶けてしまい、薄い歯槽骨の人に用いられる手法です。オトガイや、下顎の後ろの方から移植する骨を採取します。頻度は少ないですが、まれに腰骨からとることもあります。移植した骨を丸く形成して、骨の量が足りないところに移植し、細いチタン製のネジで固定し、4カ月後にネジをとってインプラント植立します。

③インプラントオーバーデンチャー‥前記①・②以外でも歯槽骨の残存している部分にインプラントを埋入し、入れ歯のアタッチメント(維持装置)として入れ歯内部とマグネットや特殊なバネで固定し入れ歯の安定を図る方法があります。この方法は従来の粘膜の上に置く入れ歯より維持力が増すので堅いものも噛めるようになります。

以上①〜③が代表的ですが、それ以外にも患者様の口腔内の状況により治療方針は様々です。下顎は前述したように神経・動脈が近いので、手術により神経麻痺などのトラブルに見舞われる患者様もいらっしゃいますので、かかりつけ医にも、メリット・デメリットや手術のリスクについて詳しく相談することをお勧めします。

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舌側矯正と表側矯正の効果の違いは? 〜藤田 博紀〜
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ワイヤー矯正を行う際に“ブラケット”と呼ばれる四角い金具を歯の表面に貼り付けますが、歯の裏側に貼り付けて行う矯正を『舌側矯正』と呼び、近年、成人矯正の主流になりつつあります。

基本的な治療効果、期間、仕上がり等は表側矯正と大差ありませんが、狭い口腔内の裏側を覗き込んで行うため、術者の技量によっては期間が長くなったり、仕上がりが不完全になったりなどのトラブルも報告されています。また、裏側矯正は、下顎の場合は、発音にほとんど影響がないのですが、上顎の場合はサ行・タ行を発音する際に舌が器具に触れて、舌足らずになることがあるので、アナウンサー、歌手、役者さんら繊細な発音が要求される方は、歯科矯正の際は慎重に検討されたほうが良いと思います。

現在、舌側矯正を行っている医院は多数ありますが、『世界舌側矯正学会』『日本舌側矯正学会』の認定医が在籍している医院を選択されると良いと思います。

矯正治療に痛みはつきものですが、近年、この痛みを軽減する装置が開発されています。

歯科矯正では、ブラケットと呼ばれる四角い金具を歯に貼り付け、その金具にワイヤーを通して力をかけ歯を動かします。従来のやり方では、それぞれの金具とワイヤーを細い針金で縛りつけていたためその部分に摩擦が生じ、歯の動きが悪化したり歯に無理な力がかかって痛みが出たりしていたのですが、最近では、針金を使わないブラケットの出現で、より効率の良い治療が可能になったのです。これはブラケットの溝に通したワイヤーをシャッター型の蓋によって外れなくする方式で、溝の中を自由にワイヤーが動くことができるので、歯に無理な力がかからないぶん痛みも少なく動きも速くなっています。また、ワイヤー素材が柔軟性に富んだニッケル・チタン系の形状記憶合金に移行してきていることも痛みの軽減に役立っています。

矯正中は歯が少しぐらつきますので、硬いものを噛まないなどの注意も必要です。

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執筆者紹介
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●河合 毅師(かわい たけし):アトラスタワー歯科 インプラントセンター長 / 印西総合病院総合歯科センター インプラント科 科長 / 東京大学医学部付属病院 顎口腔外科 臨床登録医 / 厚生労働相認定歯科医師臨床研修指導医 / 2003 東京医科大卒 歯学博士(口腔外科専攻)/ 2009 中目黒インプラントセンター長(アトラスタワー歯科内)

●藤田 博紀(ふじた ひろき):アトラスタワー歯科 院長 / 厚生労働者認定歯科医師臨床研修指導 / 1987 広島大学歯学部卒 / 1993 フジタ歯科開業 / 2009 アトラスタワー歯科開業

◼山手会 アトラスタワー歯科
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