マウスピース矯正はどうやって歯を動かす?

「歯並びを良くしたい」「きれいな歯並びにしたい」そう思った時に歯列矯正を考えるでしょう。
歯列矯正は大きく分けると、ワイヤー矯正とマウスピース矯正の2つがあります。
マスクを外せるようになったため、矯正をするなら目立たないマウスピース矯正を選択される方も多いと思います。
しかし、「本当にマウスピース矯正で歯が動くの?」「歯をどうやって動かすの?」と疑問に感じる方もいるでしょう。

そこで、今回はマウスピース矯正の歯の動かし方について解説していきます。

マウスピース矯正とは

まずは簡単にマウスピース矯正について説明します。
マウスピース矯正は「アライナー」と呼ばれる透明なマウスピース型の装置をつけ、歯並びを整える矯正方法です。
ワイヤーを使う矯正方法に比べ、器具が目立ちにくいため、周りに気づかれずに矯正治療をすることができます。
接客業などでこれまで装置の見た目を気にしてできなかった方、金属アレルギーの方も矯正に踏み切りやすくなりました。

マウスピース矯正のメリットは、目立ちにくいだけでなく、自由に取り外しができることです。
ワイヤー矯正ですと装置に食べ物が引っかかったり、固いものを食べると装置が壊れる、歯磨きがうまくできず虫歯や歯周病のリスクが高まるなどデメリットがあります。
しかし、マウスピース矯正ですと、食事中や歯磨きをする時に取り外せるため、食事の邪魔になることがありません。
また、装置を外せるためしっかりと磨け、虫歯や歯周病予防にもなります。

マウスピース矯正はメリットが多いですが、もちろんデメリットもあります。
マウスピースを1日に20時間以上装着しておく必要があります。
自由に取り外しができる反面、装着時間を守らないと治療計画通りに歯が動かない可能性があります。
そのため、基本的に食事や歯磨きの時以外は装着することが大切になります。
また、マウスピースの管理はご自身ですることになります。
マウスピースの交換時期を忘れない、使う順番を守るなど歯科医師からの指示通りにすることが大切です。

ワイヤー矯正と同様に、治療後は移動した歯が安定しておらず、元の位置に戻ろうする「後戻り」を防ぐため、保定装置(リテーナー)の装着が必須になります。

歯はどうやって動く?

マウスピース矯正やワイヤー矯正に限らず、どの矯正治療も「力を少しずつかける」という原理で歯を動かしていきます。
そして、

  1. 矯正する力が歯にかかる
  2. スペースができる
  3. 元の厚さに歯根膜が戻ろうとする


このステップを踏み歯は動いていきます。

一つずつ解説していきます。

1.矯正する力が歯にかかる

歯の周りには歯を支えるための骨「歯槽骨(しそうこつ)」があり、骨と歯根の間には、「歯根膜」があります。
歯根膜とは薄いクッション性のある繊維状の膜で、歯にかかる圧を感知し、緩和させる役割があり、食事の時は歯にかかる衝撃をやわらげます。
それだけでなく、歯を動かす時にも歯根膜は大切な働きをします。

マウスピース矯正は、現状から理想の歯並びになるまでをシミュレーションし、マウスピースを数十枚作製します。
現状の歯並びから1枚使う毎に少しずつ理想に近づく形なので、その都度矯正する力が歯にかかり、その力は歯根膜に伝わります。

2.スペースができる

歯が動くということは、骨の代謝と関係があります。
骨の代謝とは、骨を溶かしたり新たに作ることで、骨の中にいる細胞の働きによるものです。
骨を溶かすのは「破骨細胞」、新たに作るのは「骨芽細胞」で、歯を移動させる力が常にかかっていると、骨芽細胞と破骨細胞が活性化され、骨芽細胞は力が加わった歯の反対側に新たに骨を作り、破骨細胞は力が加わった側の骨を溶かし始めるのです。
このように、骨芽細胞と歯骨細胞の働きにより、歯が少しずつ動いていきます。

この時、歯根膜が伸びたり縮んだりし、縮んだ歯根膜は破骨細胞の働きでスペースを作り出し、そこに歯が移動します。
一方、伸びた方の歯根膜は骨芽細胞が出てきて、歯が移動したためにできたスペースを埋めていきます。

3.元の厚さに歯根膜が戻ろうとする

歯根膜には、一定の厚さを保とうとする性質があります。
歯に力がかかることで歯根膜の厚さが変わると、歯根膜に接している破骨細胞と骨芽細胞が作用するため、歯根膜が元の厚さに戻ります。
この作用のおかげで、マウスピースを新しくする毎に歯が少しずつ動きます。

器具で圧力をかけて無理矢理歯を動かしていると思われている方もいるかもしれませんが、そうではないとご理解いただけたかと思います。

1枚のマウスピースで歯はどれくらい動く?

マウスピース1枚でどれくらい歯が動くのかご存知ですか?

歯が動くには骨の代謝が関係するとご説明しましたが、骨がそう簡単に溶けて新たに作られるわけではありません。
歯が動く距離はごくわずかで、1ヶ月に動く距離はわずか0.5mmほどです。
歯並びが悪くでこぼこしていると、歯のズレは平均すると4.0mmくらいあるといわれているため、1本の歯を動かして正常な位置まで移動させるには、半年以上かかるのです。

マウスピース1枚で歯を移動させられるのは0.25mmほどで、そこまで動いたら、もうそのマウスピースでは歯に力が加わりません。
そのため、歯が動いたらマウスピースを交換する必要があります。

マウスピース矯正でも少しずつ力をかけ歯を動かすため、1ヶ月に動かせるのは0.5mmほどになります。
新しいマウスピースに交換しながら、歯を少しずつ移動させ、理想の歯並びにもっていきます。

マウスピースによる歯の動かし方

次に、どうやってマウスピースで歯を動かすのか解説します。

1.アタッチメントをつける

歯の表面に「アタッチメント」と呼ばれる歯に似た色の突起をつけて凹凸を作ることがあります。
それほど目立つものではありませんが、気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

アタッチメントを取りつけると、下記のような利点があります。

歯の動きを細かく調整できる

アタッチメントがあることにより、歯にかかる力を細かく調整し、微調整することができます。
つける位置やアタッチメントの形状、数によってかける力をコントロールでき、歯の移動を助けます。

軽度な歯列不正や、単純な動きのみで治療可能な場合は、アタッチメントをつけずにおこなうこともありますが、歯根から傾いていたり歯のねじれなど、治療に複雑な動きが必要な場合は、アタッチメントを使用することが一般的です。

フィット感が高まる

アタッチメントがあるとマウスピースと歯のフィット感が高まるため、マウスピースが歯からずれないように維持できます。

2.マウスピースを交換する

マウスピース矯正は、数十枚作製したマウスピースを2週間に1枚交換していきます。

新しいマウスピースに交換する毎に、今の歯並びから少しずつ歯が動き、歯並びが整っていき理想的な歯並びになっていくという仕組みです。

ちなみに、ワイヤー矯正は曲げたワイヤーが元に戻ろうとする力で歯が動いていきます。

どのような力を加えて歯を移動させる?

マウスピース矯正、ワイヤー矯正に限らず歯列矯正での歯の動かし方には種類があり、いくつかの方法を組み合わせて歯を動かしていきます。

1.水平移動

歯の頭部分を歯根と一緒に水平に移動させ、歯と歯のスペースが無くなるように動かしていきます。
歯を並行に並べるために多くの矯正治療でおこなう動かし方です。

2.傾斜移動

歯の頭部分を動かし、歯根はあまり動かさないようにします。
水平移動と一緒にすることで、きれいな歯並びにより近づいていきます。
マウスピース矯正が最も得意な動かし方です。

3.歯根移動(トルキング)

歯根をメインに動かし、あまり歯の頭部分は動かしません。
このような動かし方は、歯体移動とも呼び、抜歯によってスペースを作る場合にはこの移動法がメインになります。

4.回転

歯の軸に沿いながら歯を回転させ、ねじれて生えている歯の向きを正常の向きに治す動かし方です。
歯に回転する力を上手くかける必要があります。

5.圧下

他の歯より飛び出ている歯を引っ込めるために、骨のほうに沈ませる動かし方です。
他の動かし方に比べると治療が難しいため、高度な技術が必要になります。

6.挺出(ていしゅつ)

圧下の反対で、歯根を上に引っ張り上げるように動かす方法です。
挺出は比較的動かしやすい方向のため、マウスピース矯正の場合、アタッチメントを使用しておこなうことができます。

まとめ

今回はマウスピース矯正での歯の動かし方について解説しましたが、いかがでしょうか?
マウスピース矯正での歯の動かし方や動く仕組みが分かると、より治療への理解が深まるかと思います。
マウスピース矯正で理想の歯並びにもっていくには、歯科医師の指示を守ることが大切になります。
信頼のおける歯科医師・歯科医院の下で歯列矯正を行い、理想の歯並びを手に入れてください。

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