子供用の矯正の種類は?マウスピース矯正もできる?
歯の矯正治療というとワイヤー矯正のイメージが強いため、お子さんの歯並びが気になり、矯正治療をお考えの親御さんの中には「子供にさせるのはかわいそう」「他に矯正の方法はないの?」とお悩みの方もいらっしゃるかと思います。
近年、大人の矯正治療ではマウスピース矯正が普及してきて、矯正治療に対するハードルも下がってきましたが、子供用のマウスピース矯正はあるのでしょうか?
今回はそのような疑問にお答えすべく、子供用の矯正治療の種類について解説します。
お子さんの矯正治療をお考えの方はぜひ参考にしてください。
子供の矯正の種類
子供用の矯正の種類は大きく分けて「可撤式矯正装置」「固定式矯正装置」「顎外固定装置」の3種類になります。
それぞれどのようなものか解説します。
可撤式矯正装置(かてつしききょうせいそうち)
可撤式矯正装置は取り外しができる装置です。
そのため、お子さんが自分で取り外してしまうと効果が出にくくなりますので注意が必要です。
装置の種類は
- 拡大床
- バイオネーター
- リップバンパー
- ムーシールド
- ツインブロック
- アクチバトール
- インビザラインファースト
- プレオルソ
などがあります。
固定式矯正装置
固定式矯正装置は、その名の通り、口の中に固定されているので取り外しができない矯正装置です。
取り外しができないため効果は出やすいですが、痛みのあるときなどは歯科医院を受診して調整をおこなう必要があります。
また、歯磨きがしにくく、むし歯などのリスクが高くなるので、セルフケアや歯科医院での検診は欠かせません。
装置の種類は
- ワイヤー矯正
- 急速拡大装置
- 固定式拡大装置
- リッガルアーチ
- 部分ワイヤー
などがあります。
顎外固定装置(がくがいこていそうち)
顎外固定装置は、通常口の中に矯正装置を装着するところ、顎やおでこに装置を固定する方法です。
装置の種類は
- 上顎前方牽引装置
- チンキャップ
- ヘッドギア
などがあります。
子供用のマウスピース矯正で治療可能なケース
子供の矯正装置の種類をいくつかあげましたが、その中でも近年特に注目されているのがマウスピース矯正です。
子供用のマウスピース矯正で治療ができる症例について解説します。
反対咬合(はんたいこうごう)・下顎前突(かがくぜんとつ)
「反対咬合」「下顎前突」は受け口と呼ばれ、下の前歯が上の前歯より前に出ているケースです。
大人になってからの治療だと抜歯になる場合もあるため、子供のころに治療することをおすすめします。
上顎前突(じょうがくぜんとつ)
上顎前突は一般的に「出っ歯」と呼ばれ、上顎や上の歯やが大きく前に出ている状態です。
口をきちんと閉じることが難しいため唾液の分泌が少なくなり、口内が乾燥することで口臭の原因になります。
叢生(そうせい)
叢生とは顎のスペースと歯の大きさが合わず、スペースが足りなくなり、歯が重なりガタガタに並んでいる状態です。
八重歯や乱杭歯と呼ばれるものになり、歯が重なっていたりデコボコしているため、磨き残しが多くなりむし歯や歯周病のリスクが高くなります。
子供用のマウスピース矯正の種類
子供用のマウスピース矯正にはいくつか種類がありますので、それぞれ解説していきましょう。
プレオルソ
日本の歯科医師が開発した子供用のマウスピース矯正装置です。
出っ歯や受け口の治療に適しており、非常に柔らかく、痛みや違和感が少ないためお子さんでも使いやすいでしょう。
ムーシールド
3歳前後から使用できる受け口の治療に適したマウスピースです。
装着は基本的に就寝時だけでよく、しっかり装着できていれば、3ヶ月ほどで効果が出ることもあります。
インビザラインファースト
インビザラインファーストは日本では2018年からスタートした比較的新しいマウスピース矯正治療法です。
混合歯列期(生え変わりの時期)に使用され、透明で目立ちにくく取り外しが可能です。
1日22時間程度は装着の必要があるので、基本的に食事と歯みがき以外は装着しておかなければなりません。
T4K・マイオブレイス
ほぼ全ての歯並びに対応できるマウスピースで、特に出っ歯の症例で高い効果が期待できます。
主に機能訓練を取り入れた矯正法になるため、歯を動かす治療ではなく、歯並びや噛み合わせの改善、口呼吸や舌を出すなどの悪習癖の改善に使用されます。
装着時間は日中の1時間と就寝時になりますが、口の周りの筋肉トレーニングも平行しておこなうため、歯科医院でのトレーニングの他に毎日自宅でのトレーニングが必要です。
子供用マウスピース矯正のメリット
では、子供用のマウスピース矯正にはどのようなメリットがあるのか詳しくみていきましょう。
大人の矯正より痛みが少ない
大人はすでに顎の骨が完成しているため、歯が動きにくく、治療が長期間になったり、強い痛みを伴ったりします。
一方、子供の顎は成長途中で骨が完成していないため、骨が柔らかく、歯が動きやすいので大人と比べて痛みが少なくて済みます。
顎の成長を促す
近年食生活の変化により、柔らかく、あまり噛まずに済む食事が増えているため、口の周りの筋肉や顎の骨も発達しにくい状況にあります。
子供用マウスピース矯正はトレーニングによって口の周りの筋肉を鍛え、顎の正常な発達を促せるため、将来的に整った永久歯が生えるスペースを確保できます。
口呼吸を防ぐ
口呼吸をしていると常に口が開いている状態のため、口の周りの筋肉が低下し、顎の発達に影響が出たり、骨格が歪んだりします。
その結果、噛み合わせが悪くなったり、歯並びが乱れたりなどの問題が出てくることがあります。
むし歯や歯周病のリスクを減らす
就寝前にフッ素入りの歯磨き粉で歯を磨いた後にマウスピースを装着すると、唾液でフッ素が流れるのを防ぐため、フッ素が歯にとどまる時間を長くすることができます。
また、矯正治療中は定期的に通院する必要があり、そのたびに口の中の状態のチェックやクリーニングなどおこなうため、むし歯や歯周病の予防に役立ちます。
子供用マウスピース矯正のデメリット
治療を検討するにあたり、メリットだけではなく、デメリットもきちんと理解しておきましょう。
親御さんのサポートが必須
子供のマウスピース矯正を成功させるには、親御さんのサポートが必要不可欠です。
大人に比べると装着時間が短いとはいえ、マウスピースは自分で取り外しができるため、わずらわしさからいつの間にか外してしまうお子さんもいますので、親御さんの目配り・気配りは欠かせません。
また、マウスピースを装着する他に、口呼吸の練習や口の周りの筋肉を鍛えるために毎日トレーニングをする必要があります。
お子さんが自分から毎日トレーニングを続けるのは難しいことが多いため、お子さんのやる気を促すような声がけや一緒にトレーニングに取り組むなど、お子さんに寄り添う姿勢が大切です。
成長期の矯正だけでは終わらないケースがある
子供用のマウスピース矯正は、将来の整った歯並びにするための土台作りが目的になりますが、必ずしもマウスピース矯正だけで歯並びを改善できるものではありません。
歯並びや噛み合わせが整わないときは、二期治療といった大人と同じようなワイヤー矯正やマウスピース矯正で歯並びを整える治療が必要になり、治療が長期間に及ぶケースがあります。
まとめ
いかがでしたか。
今回は子供用のマウスピース矯正について解説しました。
メリットもたくさんあるマウスピース矯正ですが、矯正の種類は様々です。
お子さんの歯並びや性格などによって適した方法も異なるため、まずは歯科医院に相談しましょう。